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第六章 ミュセドーラス平野大決戦! 第三十九話

「まだ、攻撃命令はでませんの!?」


四つ目の軍団が目の前を通り過ぎる頃、マーガレットは装甲馬車から飛び出した。戦いたい。マーガレットが軍団長になってから、初めての実戦である。兄に負けられない。とくに、ヒーリーには。武勲が欲しい。ヒーリーを超える武勲が。フォレスタルきってのおてんば姫は斜面に仁王立ちにしてワイバニアの大軍を見下ろした。


「軍団長、くれぐれも軽挙は慎んでください。今はまだ、時ではありません。じっと待つことが肝要です」


「うるさいですわ。わたしに意見しないで!」


最年少の軍団長は参謀長を一喝した。スタンリーはまたハンカチで汗をぬぐう仕草をすると、軍団長に一礼した。


「参謀長、軍団長はわたしですわ。差し出がましい意見をするのはおやめなさい」


「はい、申し訳ありません」


「兵を率いて戦うのはわたしの役目。参謀長はだまってわたしの後ろについているのが仕事。わかって?」


「……はい」


第四軍団配属十年の古株は、組織でうまく生きる術を知っていた。自分を殺し、黙々と仕事をこなすのみ。青々とした空の下、スタンリーは心の中でこぶしをにぎりしめていた。


マーガレットは目の前を通過する軍団を見た。旗印は第十二軍団、ワイバニア軍の中でも最弱の軍団だ。勝算は十二分にある。相手は安心して前進を続けている。奇襲の価値はある。マーガレットは決断した。


「第四軍団全軍、攻撃準備!」


「軍団長!」


「だまりなさい、参謀長」


後ろを振り向きもせず、マーガレットは言った。


「今の状況では危険です!」


「何度言わせれば分かるんですの? 軍団長はわたし。あなたはだまってついていればいいの!」


「軍団長!」


「うるさいですわ! ……スタンリー・ホワイトを第四軍団参謀長から解任します。司令部にあなたは必要ありませんわ。出て行きなさい!」


マーガレットはスタンリーを解任すると、すぐに愛馬に飛び乗った。この場から一刻も早く離れたかった。虫酸がはしる小男と同じ空気を吸いたくなかったのである。


マーガレットは司令部大隊の陣地の外れまで飛び出すと、伝令の一個小隊に命じた。


「全軍を魚鱗の陣形へ。敵第十二軍団の側面から攻撃します。前進!」


フォレスタル第四軍団長、羽衣のマーガレットは剣を抜き、前進を命令した。

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