表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
315/473

第六章 ミュセドーラス平野大決戦! 第二十一話

フランシスの号令のもと、第一軍団が保有する全二〇基の投石機から、同じ数の砲丸が放たれた。砲丸は風圧に負け、自壊すると、それぞれ一〇〇の子砲丸に分裂した。


「……なんだ? まずい! 全隊、散開……」


先頭を飛ぶ第二軍団龍騎兵大隊長ワルター・フォン・ティボーが叫ぶと同時に、二〇〇〇の砲丸が一斉に炸裂した。


昼間の太陽の数倍は明るくしたような閃光と、地を揺るがすほどの轟音が上空を飛ぶ龍たちに襲いかかる。視覚と聴覚に大きなダメージを受けた龍の群れが意識を失い、次々と落ちていった。龍騎兵大隊の精鋭たちは突然の危機にも懸命に、そして冷静に対処したが、制御を失った龍に彼らが出来ることは、何もなかった。地面に叩き付けられる前に、彼らは泣きながら愛騎を捨てていった。そして龍たちは彼らが属する軍団に真っ逆さまに突っ込んで行ったのである。


「何て……。何てことを……」


落馬し、一時的にではあるが、閃光と轟音で、視覚と聴覚を奪われたマレーネは、痛みと憎しみに顔を歪めた。どんなときも慈愛の心を失わなかったワイバニアの聖母が初めて憎悪の感情を現したのである。


「マレーネ様! 伝令から、報告です! ……マレーネ様! しっかりしてください!」


副官のエアハルトが血相を変えて、マレーネを助け起こした。泣きそうな顔で、彼はマレーネに何か言おうとしていたがマレーネには彼の言葉が聴き取れなかった。マレーネは顔を青くさせながら少し笑うと、紙とペンを取り、指示を書くと彼に手渡した。


「全軍、散開……。わかりました!」


自分自身も耳をやられている。それでも構わずに大声で話した副官は、何とか正気に戻した馬を駆り、伝令に走っていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ