表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
305/473

第六章 ミュセドーラス平野大決戦! 第十一話

フランシスとウェルズリーの芸術的とも言えるコンビプレーによって翻弄されたワイバニア第二軍団だったが、マレーネはこの局面で、上位軍団長らしい手腕を発揮した。リピッシュとヒッパーの助けを借り、後退を成功させると、すぐに戦力を再編して、攻撃を再開したのである。


マレーネは自軍団を三つに分け、フランシスの横陣に同時攻撃を仕掛けた。意図的に戦力の不均衡を生じさせて優位に立つピットの戦術を、マレーネは逆手に取ったのである。


マレーネは敵が包囲にかかる直前で部隊を後退させると、さらに全軍を五つに分け、逆突出した敵部隊に再度攻撃を加えた。息つく暇も与えないマレーネの攻撃に、フランシスの横陣の鋭鋒はじわりじわりと浸食され、じりじりと後退を始めた。


最前線にいたピットとウェルズリーは馬を走らせ、さらに全軍が見渡せる司令部まで戻っていった。


「さすがは、上位軍団長……。一筋縄ではいかんようじゃの。なかなか恐ろしい娘御だて」


野戦指揮所となる軍団長専用馬車の屋根に上ったフランシスは口笛を吹いた。


「……よっと、これは年寄りにはきついですな。……うぅむ。あまりいい展開では、ありませんな。前線がこれより後退すると、背後の一個軍団が出しゃばることになります」


息を切らして、やっとのことで屋根に上った老参謀長はフランシスに尋ねた。


「いまいましいが、仕方あるまい。今のままでは、戦線が保たんからのぅ」


「後ろの一個軍団はどうしますか?」


「たまには、若いもんに甘えてみるのもいいだろう。坊の心づけ、無視したのでは師としては失格じゃからの」


「なるほど」


ウェルズリーは自慢の三つ編みをいじって笑った。ワイバニア軍の死角には、未だアルレスハイム連隊が息をひそめている。フランシスは彼らに賭けたのだ。フォレスタル軍人、アンジェラ・フォン・アルレスハイムの戦いが始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ