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第六章 ミュセドーラス平野大決戦! 第六話

「マレーネ様!」


陣に戻ったマレーネを副官のエアハルトが出迎えた。


「……だめだったわ。全軍に攻撃命令! 前方の敵軍団を突破するわ。第一重装歩兵大隊を前へ出し、くさび形陣形で突撃!」


星王暦2183年7月17日は第二軍団の龍旗が最もきらめいた日と言われている。マレーネの性格故に積極的戦闘を行なわなかった第二軍団が、隠していた牙をむき出しにしてフォレスタル軍に襲いかかったのである。


「おぅおぅ、何とも整然として、美しい陣形ですな」


望遠鏡でその様子を確認したウェルズリーがため息をついた。


「あの娘御らしいわ。機動歩兵と重装歩兵大隊の準備はどうなっておる?」


「完了していますよ。久しぶりに楽しめそうですな」


老将二人は笑いあった。三十年前、幾度もワイバニア軍団を撃退したフォレスタル最強軍団の力が、今発揮されようとしていた。


「いいかぁ! 味方の弓兵と機動歩兵の矢にはあたるなよ! ついでに、敵の矢にもな!」


がっしりとした筋肉の鎧を身にまとったフォレスタル兵が部下を叱咤した。


「むちゃくちゃ言うな。矢を避けながら戦えってか。そんな器用な真似が出来るかよ」


「そうそう」


敵が目前に迫り来ているのに、気負いも恐怖も何も無い。のんきに話ができる余裕すらあった。大軍の突撃が起こす地の震えすら、歓喜に変える。彼らの強さと矜持がここにあった。


「要は死ななきゃいいんだろ?」


「そうだ! ……死ぬなよ」


「おぅ!」


兵士達は互いに構えた槍を重ねあった。共に死地へと向かう仲間との連帯の儀式。生きて再び重ねあおう。今度は槍ではなく、勝利の美酒で満たされた盃に変えて。兵士達は殺意のかたまりに相対した。


「行くぞ」


両軍の間に轟音が響き渡った。


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