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第一章 オセロー平原の戦い 第二十五話

龍のあぎとに食いちぎられると覚悟したヒーリーは思わず目をつむった。だが、いつまでたっても、その瞬間はやってこなかった。ヒーリーが目を開けると、エメラルド色をした翼竜が敵の翼竜ののど元に食らいついていた。


「ヴェル!」


ヒーリーは相棒の翼竜の名を叫んだ。ヴェルはヒーリーをちらっと見ると口から火炎を吐くと、龍騎兵もろとも敵の翼竜を火だるまにした。火を吐くことができるのは、この世界の中でもエメラルドワイバーンだけだった。


こうしてワイバニアの第一波、第二波攻撃隊が全滅し、戦力の四割を失った龍騎兵隊は直ちに撤退を開始した。


この報に接し、ジークムントは激怒した。ワイバニア龍騎兵が壊滅し、撤退するなど、彼にとっても信じられないことであったからである。


「ブルーノは何をやっている? たかが四〇〇〇の小勢だぞ! こうなれば本隊前進! 敵軍を一気に叩きつぶしてくれる!」


ジークムントは主力部隊に前進を命じた。ジークムント配下の兵力は二個重装歩兵大隊二〇〇〇名、三個歩兵大隊三〇〇〇名、一個弓兵大隊一〇〇〇名、二個騎兵大隊二〇〇〇名、司令部直営大隊一〇〇〇名の約九〇〇〇名だった。ジークムントは両翼に騎兵大隊を配し、鶴翼陣形を保ちながらヒーリー軍を包囲する作戦をとった。


ヒーリーが前方の歩兵大隊と戦闘を行えば、間違いなく勝利はジークムントの手に入っただろう。だが、ヒーリーはそうしなかった。


ヒーリーは騎兵大隊と主力の歩兵大隊との機動力の差を見抜き、攻城兵大隊をのぞく三〇〇〇名でワイバニア軍右翼の騎兵大隊に攻撃をかけたのである。


「そうれ。走れ、走れ! 全軍鶴翼陣形を展開。ワイバニア騎兵隊を半包囲するんだ」


馬車に飛び乗った弓兵隊三〇〇〇名はヒーリーの命令どおり、素早く兵力展開を行った。騎兵隊一〇〇〇名の前に三〇〇〇名の弓矢の壁ができた。


「全員、ひるむな。フォレスタルの弱兵どもを蹂躙してやれ!」


剣を抜いたワイバニア軍右翼隊長のケスラーが叫んだ。


龍騎兵同様、騎兵もまた歩兵に対して絶対的な強さを持っており、相手が弓兵三〇〇〇名と言えど、ひけをとる相手ではなかった。ケスラーは騎兵隊に突撃を命じた。


「撃てぇ!」


近衛弓兵大隊長であるモルガンの号令一下、弓の一斉射がはじまった。龍騎兵を一瞬にほふった。その威力は騎兵隊に対しても絶大な威力を示した。


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