表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
281/473

第五章 決戦! 第七十六話

「やられた……!」


ベーレトは歯がみした。エリザベスの術中にまんまとはまってしまったのである。


「あっはっは。こいつはいい! 面白いくらい敵が引っかかってくれたよ」


ベーレトとは反対にエリザベスは高笑いしていた。エリザベスは脇街道に入る前に隊を二分していたのである。ひとつは補給物資と護衛隊2,000を振り分けた本隊。もう一つはエリザベスが直率する陽動専門の特殊部隊。脇街道より南の街道は未だメルキド軍の勢力圏内であり、比較的安全が確保されていたのである。エリザベスは遠回りになる街道を行く本隊に快速馬車をあてがって合流を急がせると同時に、鈍足の装甲馬車を陽動部隊に振り分けて囮としての価値を増したのである。


自分が襲撃した部隊が真っ赤な偽物であると知ったベーレトは撤退を指示した。


「野郎ども! 斬り込むよ! 第十一から第十五中隊は正面。第一から第三中隊は左翼、第四から第六中隊は右翼だ! さぁ、いけいけいけぇ!」


エリザベスは持てる戦力のほとんどを前面の敵に投入した。敵も一騎当千の傭兵ではあるが、エリザベス達も劣らぬ武勇の持ち主である。しかも、数も多い。たちまちのうちに雁部隊は劣勢になっていった。


「隊長からは退却命令が出ているんだぞ! さっさと退くんだ!」


「こいつら……やる!」


雁と陸戦隊の激闘は続いていた。意外なことに劣勢にありながらも傭兵達は善戦していた。これは陸戦隊の強さが兵士個人の実力に依存するものだったのに対し、雁部隊はそれに加えて、小部隊による兵力の運用も得意としていたためである。彼らは隊伍を組み、効率的な射撃と、防御、そして白兵戦闘によって、エリザベスら陸戦隊と局地的には互角の戦いを演じていたのである。


「ちぃぃ、やるねぇ……」


自慢の剛剣で屈強な傭兵を一刀のもとに斬り捨てたエリザベスは舌打ちした。雁の1.5倍の兵力を投入しているのにも関わらず、敵を壊滅に追い込むことが出来なかったのである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ