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第一章 オセロー平原の戦い 第二十四話

同じ頃、フォレスタル王城の王国宰相執務室でティーカップが割れる音がした。


「申し訳ありません! マクベス様」


ポーラがマクベスにあやまり、破片を拾おうとした。


「あぁ、いいよ。ポーラ。わたしがやろう」


マクベスは椅子から立ち上がると、ポーラの足下に行き、破片を拾い始めた。


「申し訳ありません……」


マクベスを前にただ謝ることしか出来ないポーラにマクベスは苦笑した。


「わたしが怪我をした訳ではないし、君に怪我をさせては、あとでヒーリーに叱られてしまう。……ヒーリーのことが心配かい? ポーラ」


マクベスは穏やかな口調でポーラに尋ねた。ポーラは一瞬体を震わせ、マクベスから目をそらしながら言った。


「はい……」


マクベスはティーソーサーの上に破片を集めながら、ポーラを見ずに静かに語った。


「ポーラ。わたし達は今、自分のやるべきこと、果たすべきことをしているんだ。ヒーリーはわたし達を、ポーラを守るために戦っているんだ。わたし達が今出来ることは彼を信じることだ。彼が勝って、そして生きて帰ってくることをね」


カチャカチャとは編がティーソーサーに当たる音とマクベスの穏やかで優しい声が執務室の中を支配していた。やがて破片の音がマクベスは執務室の中を支配していた。やがて破片の音がしなくなった。マクベスが破片を拾い終えたのだ。マクベスは破片を集めたティーソーサーをポーラに手渡して言った。


「だから君も彼を信じるんだ。ポーラ。彼は必ず帰ってくる。わたし達の前に眠そうな顔を見せながらね。信じて待っているといい」


「はい」


ティーソーサーを受け取ったポーラは、マクベスに頷くと部屋を辞した。廊下を歩くポーラは立ち止まると、窓から空を見やった。


「ヒーリー……」


ポーラは空に向かってヒーリーの無事を祈った。


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