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第五章 決戦! 第六十五話

二人を乗せたアトラスはヒーリーの司令部がある装甲馬車に降り立った。大きな翼を広げた雄々しいエメラルドワイバーンを見たモルガンは膝を屈した。


「え、エリク殿下! どうして、こちらに?」


「久しいな。モルガン隊長。弟の陣中見舞いだよ」


アトラスから降りたエリクは親指を立てて後ろのポーラを指すと、さわやかに笑った。エリクに手を引かれたポーラはアトラスから降りると、真っすぐ作戦室の扉目指してかけていった。


「ヒーリー!」


作戦室の中では、メアリとヒーリーが抱き合っていた。


「メアリ……そろそろ離してくれ。皆を呼ばないと……」


「ヒーリー!!」


二人だけの作戦室の扉が勢いよく開いた。一瞬、時が止まった。ポーラの目にはメアリとヒーリーが仲睦まじく抱き合っているように見えただろう。いや、誰が見てもこの状況をそれ以外説明出来る者はいなかったであろう。ポーラは髪を逆立てると、鞄を持ち上げ、ヒーリーの頭上めがけて一気に振り下ろした。


「こ、この、バカヒーリー!」


「ま、待て! ポーラ! うわぁぁぁぁぁ!」


ポーラの一撃はヒーリーに見事命中した。昼間であるのに、星が降ったようにヒーリーは感じただろう。星の雨を見ながら、ヒーリーの意識は遠のいていった。


「ヒーリー! 大丈夫! ちょっと待って、ポーラ! 誤解よ!」


「何が誤解よ! メアリ姉! メアリ姉も一緒よ! ひどいじゃない!」


ポーラはそう言うと作戦室から駆け出した。


「待って! ポーラ!」


メアリはポーラを追いかけた。モルガンとエリクがそうっと扉を覗き込むと、そこには失神したヒーリーが残されていた。


「我が弟ながら……朴念仁の割にもてるものだな」


エリクは呆れ気味に笑うと、モルガンに衛生兵を呼ぶように指示した。ワイバニア軍の動向を考えると、滞在出来る時間はごくわずかしかない。ヒーリーがそれまでに目覚めてくれるといいが……。エリクはため息をついて作戦室の壁にもたれた。

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