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第五章 決戦! 第六十一話

「作戦の骨子としては、了解した。だが、疑問点がひとつ存在する。今の作戦経過がそれだ。メルキド軍の防御の要であるはずの第二軍団が動いていない。まるで、敵第二軍団が存在しないかのように。これはどうしてだ?」


腕を組んだ、ハイネはシモーヌを眼光鋭くにらんだ。シモーヌはその質問を待っていたかのように笑うと、ハイネに言った。


「良い質問よ。クライネヴァルト軍団長。その第二軍団は存在しないの。だから、攻撃もしないし、動きもしない。それだけよ」


成る程とハイネは頷いた。おそらく、敵第二軍団は戦う前に瓦解するのだろう。アーデン要塞のときと同じように。表面で平静は装いつつも、ハイネは内心怒りで荒れ狂っていた。一度ならずも武人の戦いを汚すか……ワイバニア最強の軍団長は、帝国を裏で操ろうとする女狐に明確な殺意を抱き始めていた。


「では、我々は初手で、実質二個軍団を相手にすれば良い訳ですな? 右元帥閣下」


第六軍団長のオリバー・リピッシュがシモーヌに言った。ワイバニア軍の中で最も冷静沈着な軍団長である彼は、この作戦の骨子が局地戦で常に数的優位を保つことであるということをよく理解していた。ここの戦いにおいて、ワイバニア軍は敵軍の3倍近い兵力をぶつけられる。皇帝の言う、数の上で優勢ということは、あながち間違った発言ではなく、戦況はワイバニア軍に圧倒的有利だった。


「そうよ。リピッシュ軍団長。これに対して、私達は敵に五個軍団を投入するわ。局地戦で、わたし達は優位に立てるのよ」


シモーヌは指揮杖をとると、上座に立った。


「この戦いで、全てに決着を付ける! この戦いで勝利すれば、アルマダは我々のもの。各軍団長はそれぞれ最善をつくせ!」


十人の軍団長は席を立つと、右腕を胸に宣誓した。


「龍の旗に誓って!」


星王暦二一八三年七月一三日、それぞれの思いを胸に、ワイバニア軍十万五千はミュセドーラス平野に向け進軍を再開した。

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