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第五章 決戦! 第五十九話

「兄上が!?」


星王暦2183年7月13日、ワイバニア軍本隊と合流を果たした第一軍団長、ハイネ・フォン・クライネヴァルトに凶報がもたらされた。


「死因は、……なんと?」


「事故死とのことです。馬車が横転し、首の骨を折られたと……」


第一軍団参謀長兼副官であるエルンスト・サヴァリッシュが報告した。


「そうか……」


「軍議を欠席してはいかがですか? このような事情なら、致し方ありますまい」


深くうなだれたハイネにエルンストは言った。本来ならば、喪に服さなければならないのだが、父のハンスもハイネも戦時下であることを考慮して軍務に精励することを選んだ。そのほうが、家族を失った悲しみを紛らわすことが出来ると考えたのだ。


「他に、何か報告はないか?」


「い、いえ、別に……」


「そうか……」


エルンストは焦った。報告にはマクシミリアン邸の惨劇も含まれていた。マクシミリアンの死に続いて、義姉が行方知れずになっていることを伝えたら、今度こそ、ハイネはどんな行動に出るかわからない。有能で、上官思いの参謀は胃がきりきりと痛むのを感じていた。


「補佐役というものは、存外大変なものだな」


軍議に向かうハイネを見送ったエルンストは小さくつぶやいた。


この日見送った背中程、ハイネの背中が小さく感じられたものはなかったと言う。戦場では無類の強さを誇るハイネも、肉親を失った時の衝撃は計り知れないものだったのかもしれない。

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