表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
261/473

第五章 決戦! 第五十六話

馬車の外に残されたヒーリーは相棒に語りかけた。


「メアリ・・・・・・」


「どうして言ってくれなかったの・・・・・・?」


「ごめん」


「私は軍人よ! 作戦だって理解出来る! これ以上の作戦がないことも、お祖父様を囮に使わなければならないことだって・・・・・・」


ヒーリーは何も言えなかった。彼女を思い告げられなかったことが、かえって彼女を苦しめることになるとは。だが、それはヒーリーの自分可愛さのためのごまかしではなかったか。ヒーリーはメアリに頭を下げることしか出来なかった。


「ごめん・・・・・・メアリ」


ヒーリーはメアリを背に作戦室の扉に向かった。


「ヒーリー!」


メアリはヒーリーに追いつくと、彼の背中を抱いて泣き崩れた。10年来見せたことのない親友の涙。ヒーリーは振り向くことなくただただ、メアリに背中を差し出していた。


小休止ののち、タワリッシ主導で軍議が再開された。作戦の骨子は既に伝えられていたので、あとは各軍団の配置が決定された。鶴翼陣形中心部は守勢に優れたメルキド軍第二軍団と第五軍団、左翼には第四、第六軍団、右翼にはフォレスタル軍第三、第四軍団が配置された。ヒーリー率いるフォレスタル軍第五軍団は、本陣直衛と予備兵力として、後方に配置され、囮となるフランシス率いる第一軍団は先陣としてミュセドーラス平野入り口に配備された。


さながら翼を広げた翼竜の陣。これが決戦における連合軍の陣容であった。


「フォレスタル軍総司令官として、一軍団長として自分の軍団の指揮は自分に全て委ねて欲しい」


ヒーリーはタワリッシに提案した。タワリッシがフォレスタル軍を捨て駒にする人物ではないと信じていたが、作戦に関して独自の裁量権を得ることで、フォレスタル軍の安全と王国の体面を守ろうと考えたのだ。タワリッシはヒーリーの政治的配慮を見抜いた上で、これを承認した。ワイバニア撃滅という確固たる戦略目的がある以上、ヒーリーはメルキド軍の不利になるようには動かないと判断したのである。


星王暦2183年7月11日、最初の軍議は多少の衝突はあったものの、滞りなく進んでいた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ