表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
260/473

第五章 決戦! 第五十五話

ウィリアムはヒーリーを無理矢理馬車の外に連れ出すと、渾身の力を込めてヒーリーを殴り飛ばした。


「お前・・・・・・何を言ったかわかってるのか? てめぇの師匠に『死ね』っていったんだぞ」


「あぁ。わかってるよ」


ゆらりと起き上がるヒーリーの襟をつかむと、ウィリアムは馬車の壁にヒーリーを叩き付けた。


「ふざけるなよ。ヒーリー。俺はあんな作戦、絶対認めねぇぞ!」


「よさんか!」


フランシスはなおもヒーリーに殴り掛かろうとするウィリアムを怒鳴りつけた。


「冷静になれ、ウィリアム。だからお前は半人前なんじゃ」


「けどよ、師匠!」


「わしのことはいい。既に覚悟は出来ておる。それに、この作戦はもともとわしとタワリッシが立てたもの。わしが囮になるのは最初から決まっていたことじゃ。それとも、お前はわしの作戦にケチを付ける気か?」


師の言葉にウィリアムは何も言えなかった。


「ピット卿、この作戦以上のものがあるかもしれませんわ。皆で知恵を絞れば・・・・・・」


マーガレットはフランシスに言ったが、フランシスはかぶりをふった。


「マギー、この作戦以上のものはないんじゃ。坊が考えた作戦案もこの作戦とまったく同じものじゃった。だからこそ、わしを囮に推したんじゃ。フォレスタルで最高の戦術家二人がまったく同じ結論に達しておる。これが何を意味するかわかるじゃろう? メアリ、総参謀長はお前じゃ。代案はあるかの・・・・・・」


フランシスは孫娘に尋ねた。3人と離れた場所にいたメアリは顔を伏せたまま声を震わせた。


「いいえ、ありません・・・・・・この作戦以上のものは」


ウィリアムは木の幹を殴りつけた。マーガレットも拳を握りしめ、立ち尽くしていた。4人は思い思いの姿で、運命を受け入れようとしていた。


「くそぅ、出来るかよ・・・・・・こんなこと、納得出来るか!」


「坊を責めるな。あいつはずっとこのことで苦しんでいる。お前たちの何倍もな」


ヒーリーは誰とも目を合わせられなかった。自分の師を、友の肉親を失わせる命令を出すことに、ヒーリーはずっと苦しみ抜いて来たのだ。それは、フランシスがいくら言葉を重ねようともぬぐいされはしない。恐らく彼はこの十字架をずっと背負い続けていくことだろう。


「さぁ、作戦室に戻れ。・・・・・・坊、強くなったな。これでわしは思う存分戦える」


フランシスは力なくたたずむヒーリーを立たせ、肩を叩いた。フランシスは軍団長二人を引き連れて作戦室に戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ