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第五章 決戦! 第五十話

フリードリヒはマリアに向けてナイフを投げた。彼の思い通りに事が進めば、ナイフはマリアの心臓をつらぬいたであろう。しかし、実際はそうはならなかった。小さな矢がナイフを弾き飛ばしたのである。


「やりましたね! 先輩!」


「バカ! すぐによけなさい!」


身を乗り出したアウグストを、クララは叱り飛ばした。間髪入れずに、アウグストとクララに、暗殺者のナイフが飛んで来た。


「ちっ!」


木を壁にナイフを防いだクララは、暗殺者に向けて矢を連射した。携帯用連射弓、バネの力によって六連装の弾倉から発射する、殺傷力は低いが連射力に優れた武器だった。


「あっ!」


アウグストはバルコニーから落ちるマリアを見た。救援が来たことで緊張の糸が切れたのか、迫り来るナイフを見て自分の死を悟ったのかは彼には分かるべくもなかったが、マリアは崩れるように地面へと落下していった。


「くそっ!」


アウグストは危険を省みずに飛び出した。


「馬鹿やろうっ! 戻れ、新入り! 殺されるぞ!」


クリストフの制止も聞かず、アウグストは真っすぐマリアに向かって行った。


「あの、バカ・・・・・・」


クララは向こう見ずな後輩に毒づきながら矢を連射した。少しでも牽制したかったが、装弾数が全部で6発しかない連射弓はすぐに矢が尽きてしまった。


「矢切れ!? しまった! アウグスト!」


クララはマリアのもとにかけよったアウグストを見た。いつ暗殺者が彼に攻撃をするか分からないのだ。だが、幸運の女神は彼に微笑んだ。バルコニーから暗殺者が消えたのだ。救援が来た以上、暗殺は失敗に終わってしまっている。あとはどうやって逃げおおせるかが暗殺者にとって最重要の課題だった。ほどなくして、一階の裏側の窓が割れる音がした。


「逃がすか! この野郎!」


クリストフが威勢良く向かったが、時既に遅く、クリストフが来たときには血染めのマントがただ残されているだけだった。

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