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第五章 決戦! 第四十八話

「あ、あ・・・・・・」


マリアは恐怖で蒼白になった。彼女に出来たのはゆっくりと、後ろに下がることだけだった。扉の向こうでは来訪者が邪魔な侍女の死体をのける音が聞こえていた。なぜ、自分が命を狙われるのかわからない。彼女はゆっくり後ずさりしながら、窓へとにじり寄った。不意に乱暴に扉をたたく音がし始めた。鍵がかかったことを知った暗殺者が扉を破壊しようというのだ。音は徐々に大きさを増し、彼女の心を恐怖で締め付けた。音が鳴り始めて数分後、彼女を守り続けた扉はついにその役目を終えた。扉は無惨に倒され、その背後から返り血にまみれた外套を羽織った暗殺者が姿を現した。


「内務大臣夫人、マリア・フォン・クライネヴァルト様とお見受けします」


冷酷な表情を浮かべた暗殺者は恭しくマリアに一礼した。


「あ、あなたは・・・・・・」


「フリードリヒ・フォン・ヘンデル。あなたのご主人のお命を頂戴した者です」


マリアは口を塞いだ。朝まで暖かな笑顔を浮かべていた夫が、もはやこの世の者ではなくなっているとは。恐怖と悲しみでマリアは大粒の涙をこぼしていた。


マクシミリアンの私邸に向けて、猛スピードで疾駆する馬車があった。クリストフ、アウグスト、クララが乗った高速馬車である。


「おい、アウグスト! もっとスピード出せ!」


「馬に言ってくださいよ!! これで全開ですよ!」


上司に頭をわしづかみにされたアウグストは理不尽なクリストフに抗議した。


「室長、そこの角を左です」


「よぉし、新米! 一気に曲がれ!!」


「のぉぉぉ!」


三人を乗せた馬車はスピードを殺すことなく、一気に角を曲がっていった。

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