表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
239/473

第五章 決戦! 第三十四話

ドルニエはジギスムントに奏上書を手渡した。マクシミリアンからの書状を読み終えたジギスムントは、一瞬表情をゆがめると、再びもとの表情に戻った。


「マクシミリアンよりの書状、確かに余の耳に届いた。マクシミリアンに伝えるがよい。一両日中に撤兵するとな。民のためだ。致し方あるまい」


「ありがとうございます」


ドルニエは表情を明るくさせると深く皇帝に一礼した。


「長旅、疲れたであろう。兵舎を用意させよう。ゆっくりと休むがよい」


ジギスムントは横に控えていた側近のフリードリヒを近くに寄せ、耳打ちすると、ドルニエを下がらせた。ほどなくして、フリードリヒがドルニエに追いつくと、隊列の外へと彼を導いた。


「どうしたのですか?列から離れているのですが」


その返答をドルニエは永遠に聞くことはなかった。フリードリヒは抜剣すると一刀のもとにドルニエの首をはねたのである。最期の瞬間、ドルニエは何が起こったのかわからなかっただろう。全てが一瞬のうちに終わっていた。


「ドルニエ殿、陛下が兵を退くことはございません。そして、早晩のうちに、内務大臣もみまかられることになるでしょう。主の死に目にあう前に亡くなるは、せめて陛下のご慈愛によるものとご理解ください。・・・・・・もっとも、もうお聞きにはなれぬでしょうが・・・・・・」


血の雨が降りしきる中、フリードリヒはもの言わぬドルニエの首に語りかけた。フリードリヒは返り血を浴びたマントを脱ぐと、遺体に投げかけた。


「せめてもの手向けです。私もいずれ、あなたのようになっているでしょうから・・・・・・」


眉目秀麗な皇帝の側近は地面に転がったドルニエに言うと、愛騎の名を呼んだ。


「ロムルス!」


フリードリヒはロムルスに飛び乗ると、ベリリヒンゲン目指して急上昇させた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ