表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
234/473

第五章 決戦! 第二十九話

「ヴェル!!」


「レイヴン!!」


ヒーリーとハイネは相棒の名を呼んだ。二人の背後に翡翠と紅の翼竜が舞い降りた。ヴェルとレイヴンは口を開くと、同時に火炎を放った。


「くっ!!」


「ちぃぃ!!」


炎は翼竜の主達にも容赦なく襲いかかった。ヒーリーとハイネはマントを翻すと、二人を襲う火勢をしのいだ。


火炎では勝負がつかないと考えたのか、2匹のエメラルドワイバーンは翼と脚の爪で組み合った。レイヴンもヴェルも戦いの無い時はおとなしいが、百戦錬磨の翼竜である。その力とスピードも互角だった。


「翼竜同士の戦いでも決着がつかぬか・・・・・・ならば!」


ハイネは手を高く掲げた。ヒーリーはハイネの戦術を読むと、モルガンに叫んだ。


「モルガン隊長!!」


「龍将三十六陣が一つ!!」


「第五軍団対空防御陣形!!」


「銀の雨!!」


「炎の回廊!!」


二人は同時に号令した。次の瞬間、第五軍団の頭上から矢の雨が降り注ぎ、地面からは幾本もの火柱が上がった。銀の雨と炎の回廊は空中で交差すると、両軍の兵士達に襲いかかった。


「あ・・・・・・あ・・・・・・」


あまりの壮絶な戦いに、メアリは膝をついた。火柱が上がったときに立った土煙で周囲は何も見えなかった。どちらかが勝っているかは土煙が晴れるまでは分からなかった。


「軍団長!!」


上空から二人の戦いを見ていたアレックスはすぐさま救援に向かおうとしたが、出来なかった。目の前にゲルハルトが立ちはだかったのである。


「貴殿も分かっていよう。この戦いは手出し無用。それとも、ここで私と立ち合うか?」


ゲルハルトは馬上槍をゆらりと構えた。遅いが無駄も隙も無い動き。戦えば、どちらも無傷ではすまないほどの手練。アレックスはスピアを構え、ゲルハルトに相対した。


「ヒーリー・・・・・・ヒーリー!!」


メアリは声を絞り出した。それはあまりにも小さく、弱々しい声だった。それはメアリ自身よく自覚していた。この戦いには自分は好きな人に声すらかけられない存在なのだと。メアリは土煙が晴れるのをただ待つしか出来なかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ