表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
221/473

第五章 決戦! 第十六話

「何を慌てている? シモーヌ」


ジギスムントは普段の態度とは違うシモーヌに不審感を抱いていた。見下していた相手に心を見透かされたのか、シモーヌは少し不機嫌そうに言った。


「別に何も慌ててなどいないわ。あなたはこのまま、メルキドを滅ぼせばいいのよ。私の言ったようにね」


「影はメルキドの中に潜ませている……か。その割にロークラインが空だということを知らなかったじゃないか」


ジギスムントは嘲笑を浮かべた。ジギスムントの態度に激昂したシモーヌはジギスムントの頬を張った。


「言葉に気をつけなさい……あなたなど、私がいなければ何も出来ないくせに」


ジギスムントは舌打ちすると、顔を背け、シモーヌに口を聞こうとしなかった。シモーヌは煽情的なドレスを翻すと、皇帝専用馬車を出て行った。


「ウーヴェ」


シモーヌは小さく低い声で影を呼んだ。


「これに」


シモーヌの背後に仮面をつけた黒装束の男が跪いた。


「ロークラインの潜入、失敗したことをどうして報告しなかったの?」


「申し訳ございません。しかし……」


「しかし、何……?」


「メルキド軍には既に影を潜入させております。現在主力はミュセドーラス平野に集結中とのことです」


「分かったわ」


シモーヌは短く返事をすると、ナイフでウーヴェを斬りつけた。ウーヴェの仮面が地面に落ち、美麗な素顔が露になった。シモーヌの一撃を微動だにすることなく受け入れた素顔からは鮮血が滴り落ちていた。


「今日の失敗はこれで許してあげる。二度はないわ」


頷いた影は再び姿を消した。


翌七月五日ワイバニア軍全軍はミュセドーラス平野へ進軍を開始した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ