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第五章 決戦! 第十二話

「全軍の足を急がせるんだ。メルキド軍の合流を急がねばならない」


星王暦2183年6月30日、ヴェローナを出たフォレスタルのメルキド増援軍司令官ヒーリー・エル・フォレスタルは一時軍の足をとめ、主立った増援軍幹部を集めて言った。


「急がなければならないのは当然だが、改めていうとは、一体どうしたんだ?」


フォレスタル軍第三軍団長ウィリアム・バーンズがヒーリーに尋ねた。


「先ほど、メルキドから使者が来た。内容はヴィヴァ・レオの戦死だ」


ヒーリーのもとに集まった指揮官達がざわついた。


「しかし、これは十分に予想される結果じゃ。大した問題ではあるまいて」


第一軍団長のフランシス・ピットが言った。ヴィヴァ・レオの戦死とその時期は当初からメルキド、フォレスタルの両軍の戦略に折り込まれており、さして重要なこととはピットには思えなかったのである。むしろ、有能な将の死を明かすことが、全軍の士気を下げるのではないか。このことをピットは危惧していたのである。


「ピット卿。たしかに予想された結果だが、敵の進撃速度がこちらの予想よりも早い。もしかしたらメルキド軍の合流後、すぐに戦いが始まるかもしれない。その事態は避けたい」


「では、私の軍団だけ先行すればよいではありませんの?私達だけなら、一週間もかからずミュセドーラス平野にたどり着けますわ」


第四軍団長のマーガレット・イル・フォレスタルがヒーリーに言った。フォレスタル最速と名高い第四軍団の力を絶好の機会と考えたのだろう。しかし、ヒーリーは勝ち気な妹の提案を却下した。


「それでは戦力分散の愚を犯してしまうことになる。一個軍団が間に合ったところで大勢に影響は無い。全軍で動いた方が得策だ」


「それで、俺たちにどうしろっていうんだ?」


ウィリアムの問いにヒーリーはメルキドの地図を広げて言った。


「見てくれ。当初の予定ではこの街道を通ることになっていた。この方が道路と宿場が整備されているため、補給と休養に都合がいい。だが、少しだけミュセドーラス平野には遠回りになってしまうデメリットがある」


「なるほど。脇街道か!!」


ウィリアムは指を弾いた。


「そうだ。現在の地点から半日行軍したところに街道の分岐点がある。脇街道は大軍の行軍には多少難はあるが、予定よりも4日は早くミュセドーラス平野に到着出来る。この時間は大きい」


「確かに物資の面からも有益ですわ。大分節約が出来ますわね」


「上空警戒を龍騎兵大隊が行なえば、安全も確保出来るだろうて」


ヒーリーの案にマーガレット、フランシスが頷いた。ウィリアムもまた、反対の意思を示さななかった。増援軍の各前線指揮官の同意を得たヒーリーは全軍に命令を発した。


「では、これより増援軍は脇街道を抜け進軍する。各軍団長は周知を徹底するように」


ウィリアムら各軍団長はヒーリーに敬礼すると、それぞれが指揮する軍団に散っていった。

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