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第四章 決戦前夜 第五十六話

「嫌です」


「まだ、何も言ってないのに!」


「普段の先輩のやることにろくなことはありませんから」


ベティーナを冷たくあしらいながら、シラーは書類に次々とサインしていった。ベティーナとは異なり、騎兵出身のシラーは事務仕事を最も苦手としていた。


北方守備軍にいた頃は副官に任せていたこともあったが、一個軍団を率いる身になると、そうはいかない。それでも、参謀長のアルバートが忙しい身にも関わらず手伝いを申し出てくれ、何とか十日で終わるめどがついたのだった。


「あの・・・・・・軍団長、今日の分の書類もあと少しで終わりますし、ワイエルシュトラス閣下のお相手をしてもよろしいのでは・・・・・・」


「あっ!しーっ!!!!」


副官のヘルマンの一言を反射的にシラーは制した。第七軍団長を立てるための精一杯の思いやりだったが、シラーにとっては逆効果だった。シラーの目には先輩の頭から猫の耳が生えたように見えたに違いない。ヘルマンの言葉に反応したベティーナは椅子から飛び上がると、頭を抱えた後輩の副官を指差した。


「さすが、ヘルマン君!!話が分かる!!!実はね、シラー。これを着て!」


ベティーナは懐からなにやらごそごそと探すと、黒と白に彩られたフリルに満ちた服を取り出した。


「先輩。これ、メイド服・・・・・・ですよね?」


「うん!この間の補給で届いたの!」


「先輩が着るんですよね?」


「ううん。シラーとハイネ君。でも、ハイネ君は帰っちゃったし」


「何でですか!?」


「そんなこと・・・・・・面白いからに決まってるじゃない!ハイネ君なら、絶対似合うと思うんだけどなぁ」


シラーの脳裏にメイド服を来たハイネの姿が映った。男のシラーからしてみれば、親友のメイド服姿は異様に見えるのだが、このベティーナは違うようだ。ハイネ・・・・・・お前を帰してよかったよ。シラーはベリリヒンゲンで休暇中の親友に思いを馳せた。

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