第四章 決戦前夜 第五十話
ほどなくして、メアリはフォレスタル史上初の混成連隊長になった。元ワイバニア軍第七軍団長アンジェラ・フォン・アルレスハイムを連れて来た。
「参謀長殿が急用だと言うことで参りましたが、何用ですか?」
アンジェラはメアリからの突然の呼び出しに戸惑っているようだった。ヒーリーはメアリの意図を少しだけ察すると、苦笑してアンジェラに言った。
「はは・・・・・・お恥ずかしいのですが、少し説得にご同道願いたいと思いまして」
「説得?」
恥ずかしげに頭をかくヒーリーはアンジェラに事の顛末を話した。アンジェラは話を聴き終えると、ヒーリーとの同行を快く承諾した。
「では、総司令官、いってらっしゃいませ」
メアリは軽く会釈をすると、ヒーリーとアンジェラを送り出した。
「参謀長殿は同行なさらないのですか?」
アンジェラは当然とも言える問いをヒーリーに投げかけた。
「説得相手と言うのが、非常に頑固というか、その性格に問題があるというか、とにかく、メアリには彼女のような相手は説得に不向きなのです」
「水軍陸戦隊長と言う者はそれほどの者なのですか?」
「まぁ、会えばわかります」
アンジェラとヒーリーは話しながらアークプリマスの街を歩いた。酒場と言う酒場、店と言う店は贈援軍の兵士達で溢れかえり、フォレスタル唯一にして最大の港町は活況を呈していた。純白の外壁が美しい石造りの港町をあるいて15分、二人は水軍陸戦隊総司令部にたどり着いた。
ヒーリーは軍服の襟に取り付けられた軍団長章を門の衛兵に見せると、衛兵はすぐに陸戦隊長との面会を取り次いだ。ヒーリーとアンジェラは衛兵に礼を言うと、総司令部の庁舎へと入っていった。
「これは・・・・・・ここが本当に軍隊の隊舎なのですか?」
総司令部の中の異様な光景を見たアンジェラは思わずヒーリーに尋ねた。石造りの二階建て庁舎の一階部分は陸戦兵達の待機所になっている。有事に備え、屈強の水兵、約200名がここに常駐しており、その待機所の内部は庁舎と言うよりも場末の酒場と形容した方が正しかった。
「ははは。普段の態度は悪いですが、なかなかの武勇の持ち主達ですよ」
荒れ果てた一階部分を横目にヒーリーとアンジェラは二階を目指した。
次回!さらなる新キャラ登場!!?
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