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第四章 決戦前夜 第四十話

星王暦2183年6月13日午後8時13分、アーデン要塞陥落。アーデン盆地の戦いはワイバニア軍の勝利で幕を閉じた。


翌日、ワイバニア帝国皇帝本陣にて今回の戦いにおける論功行賞の式典が行われることになった。式典で勲章を賜るのは4名の軍団長、ハイネ、シラー、マルガレーテ、ザビーネだった。


「軍団長、めったなことはお考えにならないように」


ハイネのただならぬ雰囲気を察した参謀長のエルンストが念を押した。ハイネは微笑むとエルンストの肩を叩いた。


「大丈夫だ。エルンスト、貴公に心配をかけるような真似はしない」


「しかし・・・・・・」


「大丈夫だ。皆、よく戦ってくれた。あとで、傷兵を見舞ってやらねばな」


そう言うと、ハイネは宿営地のテントを出て行った。宿営地を一人歩いていたハイネはその所々に傷ついた兵士の姿を見つけた。メルキド最強であるヴィヴァ・レオの軍団と戦ったハイネら第一軍団の損害は3割を上回っていた。通常ならば、大敗とも言える数字であったが、それに対する敵の損害率が99%を超えていたため、どうにか勝利と言えていた。ハイネは傷ついた兵士を見つける度に一人一人に声をかけ。戦いの労をねぎらった。宿営地を出たハイネを待っていたのは、白い鎧に身を包んだ金髪の美女だった。


「マレーネ殿・・・・・・」


「クライネヴァルト軍団長、お待ちしておりました。宿営地へお戻りください」


ワイバニアの聖母と讃えられる美貌の軍団長は高級な楽器ですらかなわぬ美しい声でハイネに告げた。


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