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第四章 決戦前夜 第三十五話

その頃、ハイネは敵軍の動きに違和感を感じ始めていた。参謀長のエルンストも同じことを考えていたようで、ハイネに意見を述べた。


「先ほどから敵軍の抵抗がさらに強くなりました。もしかしたら、今までの敵軍の敗走は罠かもしれません」


「貴公もそう思ったか。だが、罠と言われてもな・・・・・・まさか!!」


ハイネは周囲を見て愕然とした。ヴィヴァ・レオに夢中で、自分がどれほど致命的なミスを犯していることに気がついていなかった。ハイネ率いるワイバニア軍団全軍はアーデン要塞の弓兵の射程に見事に誘い出されていたのだった。


「してやられた・・・・・・ヴィヴァ・レオ!!」


ハイネの脳裏に「敗北」の二文字が浮かんだ。


「よし、攻撃開始!」


ヴィヴァ・レオは攻撃開始の信号旗を掲げさせた。しかし、要塞からは何の動きも起きなかった。


「マルルゥー。何をやっている・・・・・・?」


ヴィヴァ・レオは要塞の司令室を見上げた。


「がっ・・・・・・!!!?」


マルルゥーは自分の身に何が起こったのかわからなかった。攻撃開始の命令を出そうとした瞬間、自分の胸からナイフが生えていた。


「何・・・・・・者っ!!?」


振り向き様にマルルゥーは言うと、そのままこと切れた。一瞬の事態に司令室の兵士達の対応がわずかに遅れた。メルキドの軍服に身を包んだ暗殺者は、もう一本、長大なナイフを構えると、瞬く間に司令室の幕僚や兵士を皆殺しにした。


司令部の兵士達に断末魔の声すらあげることを許さなかった暗殺者は伝声管の前に立つと、懐から笛を取り出し、勢い良く吹いた。伝声管を伝って、甲高い笛の音が要塞内部に響き渡った。


「なんだ!!?何の警報だ!!?」


「司令部、おうと・・・・・ぐぁぁぁぁぁ!!!」


要塞内の至る所で悲鳴が上がった。さっきまで、味方だったはずの男達が突然刃を向けてきた。兵士達は盛んに応戦をしたが、誰が敵か味方かわからない状況の中、兵士達は混乱し、同士討ちする者も出始めた。マルルゥーの死からわずか10分後、アーデン要塞から火の手が上がりはじめた。


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