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第四章 決戦前夜 第三十三話

「敵軍が陣形を変えているようです。いかがしますか?」


メルキド軍参謀長のブリオンがヴィヴァ・レオに尋ねた。


「隙がないわけではないが・・・・・・無理だな。逆撃を食らって、損害が増えるだけだ」


「私もそう思います。ここは、一度バラバラになった陣形を元に戻してはどうでしょうか?」


「少しは動いたフリを見せねば怪しまれると言う訳か。よし、少しだけ守りを固めるぞ。奴らにもう一泡吹かせるためにな」


ヴィヴァ・レオは全軍に守りを固めさせた。空が血の色に染まる夕暮れ時。戦いの最終局面が迫りつつあった。


「全軍、突撃!」


紅のマントを翻し、ハイネは全軍に突撃の命令を出した。ワイバニア軍最後の攻撃が今、始まったのだった。


「さぁ、来たぞ!!!レグロン隊を前に出せ。敵先鋒の動きを鈍らせるんだ!」


ヴィヴァ・レオは本隊のやや後方に予備兵力として控えていたレグロン隊2,000に前進を命じた。


「信号旗を確認しました。前進です。レグロン隊長」


副官のキスールの報告に隊長のレグロンは小さく頷いた。


「我々と対峙している敵一個軍団はどうされますか?」


「放っておけ」


「は?」


上官の意外な命令にキスールは思わず声を上げた。


「お前も分かっていよう。一個軍団の兵力を前に我々などひとたまりもないくらい。それに、我々を倒し、ヴィヴァ・レオ閣下を後方から襲う機会など、いくらでもあった。だが、そうしなかった。やつらはあの敵の第一軍団長一人で戦わせたいのだ。最高の武人同士に最高の戦いをさせたいのだろう」


「なるほど・・・・・・」


「さぁ、前進だ。キスール。我々も華を添えようではないか。この戦いのな」


キスールは頷いた。アドニス要塞群の陥落以後、レグロンは変わった。冷静さと剛胆さを併せ持ち、将としての高みに到達していた。もし、この方に多くの兵力があったならば・・・・・・キスールは由のないことを思った。

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