第四章 決戦前夜 第三十二話
一方、ハイネ率いる第一軍団はヴィヴァ・レオによって突破された第二、第三歩兵大隊との合流を果たしていた。戦闘中に合流した第一歩兵大隊と合わせて、第一軍団の全兵力がここにそろった。しかし、その全兵力は8,500名にまで落ち込んでいた。これは、第一軍団創設以来最大の損害であり、優勢にあるとはいえ、ヴィヴァ・レオとの戦闘がいかに激烈であったかを物語っていた。
「これで、全軍揃ったな」
一堂に会した大隊長達の前でハイネは言った。
「いよいよ、最終局面と言う訳ですか!?」
第一歩兵大隊長のヘルムート・フォン・シュナイダーがハイネに尋ねた。ハイネは頷くと目の前に広げた陣形図を指差した。
「現在のところ、敵軍は敗走を続けている。我々はこれに追いつき、敵を殲滅する」
図上でばらばらになっているヴィヴァ・レオの陣形をハイネは指差した。
「それで、陣立てはいかがなさいますか?」
副軍団長のゲルハルト・ライプニッツが尋ねると、参謀長のエルンストが詳しい陣形を説明した。
「第一陣は第一から第三歩兵大隊。第二陣は第一、第二重装歩兵大隊と弓兵大隊、左翼は第一弓兵大隊、右翼は第二騎兵大隊だ。中央には司令部大隊、後衛は第一龍騎兵大隊とする」
「これは・・・・・・」
「そうだ。龍将三十六陣”臥龍”にて敵にとどめを刺す!」
陣容を聞いて驚くゲルハルトに、ハイネは陣形図に手を叩き付けて言った。ハイネの目には自信の光がたゆたっていた。
雨霧颯太です。
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