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第四章 決戦前夜 第十三話

「ワイバニア軍に再び動きが見られました!第一軍団、歩兵大隊を前に出し、魚鱗の陣で突撃の模様!!」


最前線から少し離れた場所に設置された野戦指揮所に戻ったヴィヴァ・レオは伝令兵よりワイバニア軍突撃の報を受け取った。


「ついに来たか!この突撃は生半可な隊では防ぎきれまい。第一巨兵大隊の出撃を許可する。敵を押し返せ!」


ヴィヴァ・レオの命令からほどなくして、戦場に巨象の鳴き声がとどろいた。


「お、おい・・・・・・」


最前線のワイバニア兵は巨象のあまりの大きさに言葉をなくした。まさしく山のように最前線の兵は感じたかも知れない。数十頭の巨象がワイバニア歩兵大隊に襲いかかった。


「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」


「落ち着け!動きは遅いぞ・・・・・・うわぁぁぁぁ!!!」


ある者はその大きな足で踏みつぶされ、ある者はその長い鼻ではじき飛ばされ、ワイバニア、メルキド軍の最前線は阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。


「第三歩兵中隊、潰乱!!」


「第二歩兵中隊、戦線を維持出来ません!!」


相次ぐ被害報告に最前線部隊を指揮していた第一歩兵大隊長のヘルムート・フォン・シュナイダーは舌打ちした。


「くそ。巨兵にここまであしらわれるとはな。第三中隊、第二中隊は後退、代わりに第七、第九中隊で対応せよ。各中隊長に伝達。アルマダの掟を忘れるな。歩兵は巨兵に勝つ。機動戦で敵を翻弄せよとな」


何と言う醜態をさらすとは・・・・・・ヘルムートは自分たちのふがいなさに憤りを覚えていた。もともと、第一軍団はその練度、士気、指揮官の能力。どれをとってもワイバニア最高ではあるが、その性質上近衛軍団と並び、帝都ベリリヒンゲンから出ることはなく、巨兵との戦いは不慣れであった。このことがワイバニア軍にとって、予想外の損害を出すことになってしまった。


「いいか!俺たちはワイバニア最強の第一軍団だ!軍団長にも、敵にも無様な戦いは見せるなよ!!」


大隊長からの檄を受け取った中隊長達は自分の部下に叱咤した。兵士達が巨象や石兵に踏みつぶさぬように散開し、槍や縄で応戦した。


「奴らめ・・・・・・動きが見違えたな。負けるか!ワイバニア軍を押し返せ!!」


巨象の背中に取り付けられた櫓からワイバニア歩兵の動きを見たメルキド軍巨兵大隊長テコニックは全軍総力戦の旗を掲げた。


力と力の激突は動の均衡状態を生み出し、メルキド軍もワイバニア軍も双方他の動きをとれずにいた。

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