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第一章 オセロー平原の戦い 第九話

星王暦二一八二年六月五日、午前十時臨時司令官ヒーリー・エル・フォレスタル率いる、ワイバニア迎撃軍、約三〇〇〇名はフォレスタル王城を出撃した。


途中、タイタスとアンドロニカスに所属する守備隊弓兵、それぞれ一〇〇〇名と合流したヒーリー軍は六月十五日フォレスタル軍北方の拠点であるハムレット砦に到着した。


その頃、ワイバニア第十軍団はハムレット砦から北方一〇〇kmの距離にあるオセロー平原中央部に野営していた。


「軍団長!」


第十軍団長副官のアレクサンダー・クラウスが上官である第十軍団長、ジークムント・フォン・ネルトリンゲンのテントにやって来た。


「なんだ?」


ジークムントは昼寝を妨害されたらしく、やや不機嫌に部下を睨みつけた。


「失礼しました! 先行していた偵察龍騎兵が戻ってまいりました。フォレスタル軍がハムレット砦に入場したそうです。その数、四〇〇〇」


「四〇〇〇? 我々の半数以下ではないか。歩兵だらけのフォレスタルがその程度の戦力でよく我々に勝とうなどと思うものだな。……もっとも、フォレスタル主力は我がワイバニア軍に引きつけられているからな。よくこれだけ出せたと言ったところか」


ジークムントは低く笑った。ワイバニアの基本戦略として、三個軍団の内の二個軍団がワイバニア主力軍団をひきつけ、残りの一個軍団が、国境を急襲、突破。続いて突破した軍団が、背後からフォレスタル軍を挟撃し、各個撃破すると言うものだった。極めて高度な戦術指揮能力を必要とされるが、それ以上に部隊の機動力が不可欠であった。


ワイバニア正規軍、十二個軍団は軍団長の作戦指揮能力、兵の精強さなどの総合力に応じて強い順に一から十二に序列される。


ジークムント率いる第十軍団は十番目の序列、すなわちワイバニア十二軍団のなかでも比較的下位に位置する軍団であった。それは軍団長であるジークムントの指揮官としての能力が相対的に低いことによるものであったが、それを補う能力を第十軍団は獲得していた。機動力である。通常の軍団よりも多くの騎兵を配備し、戦場での移動を迅速にさせることに成功していた。その早さは今回のフォレスタル侵攻作戦には必要不可欠なものであり、第十軍団が、真打ちに選ばれた理由であった。


「ふふふ……。フォレスタルの弱兵どもめ。わが第十軍団の龍騎兵と騎兵が貴様らを粉砕してくれる」


テントの中でジークムントの笑い声がこだましていた。

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