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第三章 メルキド侵攻 第二十五話

星王暦二一八三年五月十五日、アドニス要塞群陥落の報告を受けたメルキド公国総帥スプリッツァーは最高級軍事指揮官のみを集めた緊急会議を開催した。


この会議に参加したのは、メルキド公国総帥スプリッツァー、メルキド軍最高司令官である大将軍タワリッシ、第一軍団長ヴィヴァ・レオ、第二軍団長ヴィア・ヴェネト、第三軍団長ボナ・ムール。第四軍団長ディサリータ、第四軍団軍師アリー・ゼファー、第五軍団長ローサ・ロッサ、第六軍団長ラシアン・フェイルードであった。


メルキド軍を代表する九人の武人達はメルキド公国公都ロークラインの中央に位置する城宮の一角、大軍事会議室の円卓を囲み、着席した。


メルキド公国国境線が一日にして破られるという、公国始まって以来の危機に、居並ぶ諸将達は一様に口を閉ざし、会議室は重苦しい雰囲気に包まれていた。


「まさか、こんなにも早く落とされるとはな」


第一軍団長のヴィヴァ・レオが真一文字に結んでいた口を開いた。


「あの要塞群は五個軍団規模の侵攻を想定して作られたんだ。倍の軍勢相手では早期に落とされるのも頷けるさ」


ヴィヴァ・レオの隣に座っていた第二軍団長のヴィア・ヴェネトが言った。


「わが軍の総力を結集したとして、勝ち目はない。フォレスタルへの援軍要請はどうなっている?」


仮面をかぶった第三軍団長のボナ・ムールが尋ねた。


「アドニス要塞群からワイバニア軍侵攻の第一報が着てすぐに使者を出した。だが、まだ国内も出てはいまい。向こうの準備も考えると、援軍が到着するまで二月はかかるだろう」


最高司令官のタワリッシがボナ・ムールに返した。


「二月か。敵の進撃速度を考えると、ここロークラインも持たないかも知れないわね」


第五軍団長のローサ・ロッサがため息をついた。アドニス要塞群を破ったワイバニア軍は現在、兵力の合流と補給のため、アドニス要塞群の南三〇キロの地点で動きを止めているが、いつ動き出すか分からない状況だった。メルキド全軍団の二倍の大軍勢、その背後に見える「滅亡」の二文字に会議室は再び重苦しい空気に包まれた。


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