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終末のダンジョン  作者: .犬
終わりの始まり。
26/35

真実

「……そうよ。私の親はどちらも行方不明なの」



 ゴクリとノアスは唾を呑み込む。心臓が呼びかけるように身体全体に鼓動音が響いて行く。ノアスは大きく息を吸って首元に眠るペンダントを取り出した。



「なに、それ?」


「この写真に見覚えは?」



 ノアスが差し出したペンダントに映る小さな写真。


 写真には若かりし頃のラリムとイース。そして間に抱かれて太陽のように笑う青髪の幼女。



「これは……」リーリスは瞳を限界まで見開き、言葉を探るように口を震わせている。写真から何かを感じ取ったのか、しばらく視線を写真に固定させていたが、少し経つとノアスの方に視線を移動させて口走る。「――誰、この人たち」



「は?」


「この写真は何? 見覚えとかないけど」


「は?」ノアスの頭は真っ白になり、「えっと……リーリスの親じゃ」


「はぁー?」リーリスは何を言ってるの、と言わんばかりのジト目でノアスを睨み、「何でそうなるのよ」


「いや、だって髪色も一緒だし、どことなく強気な部分も――」


「確かに青髪って珍しいけどそれだけで勝手に結びつけるの辞めてくれるかしら? まさか、この二人が私の親だと思って何かを探ってたの?」


「あ、ああ。その二人が昔の俺のパーティーメンバーで本当に色々世話してもらったんだ。けれど、もう知ってると思うが俺たち三人は欠片階層主と戦って負けた。命からがら俺は助かったけど、二人は……」



 ノアスは苦しそうにとても辛そうな表情で言うものだから、リーリスはノアスの背中を叩いて、



「そんな話ししなくていいわ。で、写真を見る限りその二人の子に会って罪を償いたいって事かしら?」



 ノアスは静かに頷く。



「まあだからって髪色が同じってだけで私だと思うとはね。あーそう言う事。何か納得したわ。最初に会った時から何か気持ち悪い視線を感じてたのよね、あんたから」


「き、気持ち悪い!?」


「嘘よ。冗談。でも、残念だったわね。その子じゃなくて」



 リーリスはノアスの表情を晴らすように小さく笑う。



「良かったような、悪かったような。じゃあリーリスの両親は一体いつから?」


「いつからでしょうね。気づいたら居なかったわ。私はそんなバカな親を探すためにモグラになったの。どこかで商売をやってるのか、モグラになってダンジョンに潜っているのか、見当もつかないから、いっぱいダンジョンを進めてどんどん私の名前を広めてどこかにいるバカな親に届けばいいなって。だから前の八階層攻略を計画したのよ。もちろん単純にダンジョン攻略もしたいとも思ったけどね」



 だから、か。両親を探す為、自分の名前が広まるようにリーリスは先頭に立とうと努力した結果、リーダーが務まる器になったのか。


 そんな強い意志を持つ彼女をノアスは、二人のどちらかと重ねてしまったのだ。



「そんな経緯があったのか。すまないな。あまり話したくなかったことだと思うのに」


「別にいいわ。逆に広まって欲しいもの」リーリスはそう言ってから時計を確認した。「あ、そろそろ時間だ。ごめんなさい、これから約束があるの」


「ありがとな、色々聞いてもらって」


「こっちも色々知れて良かったわ。あ、そうそう。一ついい?」リーリスは去り際に、「エリィの事よろしく頼むわよ。一応私も寄って見るけどきっとあなたしかあの子を元気づけられないと思うの。あなたに凄く信頼を置いてるみたいだしね」リーリスは優しく微笑む。


「頑張ってみる」


「あ、それと、もしジョイ・ジョイに会って変な事言われても気にしない方がいいわ。少なくとも私は見捨てたりしないから。バイバイ」



 そう言ってリーリスはサラッと去ってしまう。



「ジョイ・ジョイ? 何で、あいつの名前が」



 よく分からないが、もう一度エリィの元に行く勇気をノアスは手に入れた。

次回は明日投稿です。

エリィ再度のお話がメイン!

良ければご指摘等、よろしくお願いいたします

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