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終末のダンジョン  作者: .犬
終わりの始まり。
17/35

決着

 全く気配がしなかった。

 

 エリィは深い後悔をした。二体のムカデ階層主や慣れない集団戦で完全に意識が削がれていた。その結果エリィが気付いたタイミングは最悪で最も絶望的な時だった。



 ――三体目のムカデ階層主の存在。



 階層主の戦闘方法は完成されたモノであったとエリィは序盤に気づいた。つまり階層主は戦略や戦闘状況を把握し練るぐらいには脳が回るということである。ならば、伏兵を残しといてもおかしくないでは無いか。


 勝ちを確信したエリィの過ちであった。


 エリィとリーリスの距離は十メートル程離れている。


エリィは精一杯手を伸ばそうとするが、届く距離ではない。



「お願い。お願いだから誰か、リーリスを――」



 目の見えないエリィにさえその異変に気づくことが出来た。


 なんだか寒い。


 ノアスたちが居る大穴は他の階層とは違う寒さがあった。階層主との戦闘のおかげで身体は温まり、気付くとその寒さはどこかに消え去っていた。


 けれど興奮状態の身体さえ一気に冷ます冷気が場を包み込んだ。それによって吐く息は雪のような白に染まっていた。



「氷のエレメンタル?」



 ポツリと鳥肌を立たせたエリィが呟く。エリィは呪児による呪いによってあらゆることを感じる事が出来る。それにより普通の人間では感じられないエルフ特有のエレメンタルの気配すらも感じられる。


 エレメンタルの気配はエリィの正面、リーリスの方向からであった。



「えっ……」



 涙を頬に垂らしながらリーリスは目を開く。それは天国でも地獄でもない、つい一秒前と変わらない八階層であった。


 頭上から降って来た三体目の階層主の攻撃が確かに自分に直撃したと思ったが、でも何故か今、目の前にはノアスが立っており、その攻撃を防いでいる。


 腰が引けて尻餅をついているリーリスの前に立つノアスの表情は、今までにない幾千もの死線を越えて来たモグラの表情であった。


 ノアスの前方――階層主とノアスの間――には分厚い氷壁が作られており、それがリーリスを守った物だと理解する。



「大丈夫か?」


「え、う、うん」



 リーリスは上手く言葉が紡げていない。



「おい、エリィ。一人で一体倒せるか?」


「……あ、うん。大丈夫だと……思う」


「分かった。おい、リーリス。あんたは他の奴らともう一体を倒せ」


「あ、あなたは!?」


「俺はこいつをやる」



 会話を終わらせたノアスは全意識を目の前の階層主に向けて冷気が漏れ出ている左手を前に突き出す「――絶対零度」



この回は短いです。後二話投稿します。

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