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終末のダンジョン  作者: .犬
終わりの始まり。
1/55

序章 

初めまして.犬です。

終末のダンジョンにアクセスして下ってありがとうございます。

物語が進むにつれて面白くなりますので、何卒よろしくお願いします。


ブクマ、ご感想、ご指摘等を頂けますと助かります。

また、ご感想は一言でも大丈夫なので、気軽にお願いします!


 評価は最新話まで飛んでもらって、一番下までスクロールしてもらえると出来ますので、してもらえると幸いです。


何卒よろしくお願いします!!!

 ここはダンジョン――

 

 己の命と引き換えに潜ることが出来る死地にて、現在最大の戦闘が行われている。


 暗闇の洞窟に点々と投げ捨てられた光石。その光石から生まれた光は僅かに辺りを照らす。


 何かが動いた。大きな影が揺れ動くと同時に洞窟全体に響き渡る殺戮の咆哮。


 地響きが起き、ダンジョンの一部が崩落する。



「二人とも体制を立て直すぞ。ノアス、行けるか」


 

 咆哮の後、一人の男は余裕のない顔で背後に立つ二人に言葉を飛ばす。



「ああ、俺が誘導する……!」



 男は背後にいる銀髪の少年・ノアスに指示を仰ぐ。ノアスは迷わず返事をして、左方向に駆けだそうとした。



「危ない!!!」



 女の尖った声が聴こえてノアスの視界が途絶える。それからすぐ、背中に電流のような痛みが流れて来て地面に倒れ込んだのだと気付く。



「……え?」



 倒れ込んだノアスに重なる形でパーティーメンバーの女がそこに居た。



「おい、大丈夫か。ラリム……ひぇ!?」



 ノアスは女の名前を叫んで手を伸ばす。ラリムの身体に力は宿っておらず、身体から伝わる温かさは不気味であり嫌な事を連想させてしまう温かさであった。


 ノアスはその正体を確かめるために目に力を入れて視界を開く。


 赤かった。正確には黒色が混ざった赤色。幾度となくその液体を戦場で見てきたノアスにはすぐにそれの正体が解った。


 ――血だ。

 

 飛び散った鮮血が、無表情の地面を染めていく。


 ラリムはノアスを庇う為に身を投げ出して〝あいつ〟からノアスを守ってくれたんだ。そしてその代償は彼女の背中に醜く刻まれた。



「おい、おい。しっかりしろッ!!!」


「……ダメみたい」



 額から流れる血で本来美しいはずだった彼女の顔は、赤色に染まって弱弱しい炎みたく頼りないモノに変貌していた。



「は? 嘘だろ。なあ……おいッ!」


「後は……任せ…………あのこ……会った……ってね」



 ラリムの身体は既に冷たくなっており、震える唇からは言葉も上手く吐き出せていなかった。


 ――その時が来るのは近い。


 無意識にもそんな事を思ってしまった自分を殺したくなり、頭を振って何度もラリムの名をノアスは叫ぶ。


 けれど、ノアスの赤い声とは裏腹にラリムの身体は冷たくなっていき、



「あ……あ、ああああ!!!!!!」



 意識を無くしたラリムの身体は灰色の何かが支配するように、あっという間に身体の色を灰色へと変色させた。


 ノアスはラリムを抱きかかえて灰色に染まらないようにするが、何の意味も持たない。


 そして脆い建物が躊躇もなく崩れ去るように、砂が風に乗ってどこかに行ってしまうようにラリムの身体は一瞬で消え去って行った。



「嘘だ。嘘だ。嘘だああああああ!!!」



 手に残ったのはラリムの身体を覆いつくした灰色の粒。


 言葉にならない言葉をひたすら吐いているともう一度、殺戮の咆哮が世界を揺らした。



「おい、ノアス!」戦意喪失のノアスを抱えたのは、先ほど指示を出した男・イースだった。「しっかりしろっ!」


「し、しっかりって。だって、だって!!」



涙が止まらずノアスの身体は酷く震えていた。当たり前のことだ。ずっと一緒に苦楽を共にした仲間がたった今殺されたのだから。けれど、ノアスを抱えているイースは至って冷静だ。



「何であんたは大丈夫なん……だ……よ」



 ノアスは自分で発言した後に後悔をする。


 大丈夫のはずがない。ノアス自身にとって大切な仲間だったラリムは、イースにとっては最愛の妻なのだから。ノアスと比べ物にならない程、長い間共にした人生のパートナーだったのだから。


 初めて見た気がする。どんな時も笑い、弱音一つ吐かなかったイースの瞳に小さく映る滴があったのは。



「……あ、え」



 ノアスは何と言葉を紡ぐべきか分からずうろたえてしまう。



「ッフ。大丈夫だ、ノアス。気を遣わせちまったな」



 ノアスはこんな絶望的心境なのに、イースはいつものように小さくはにかんだ。そして表情をガラッと変えて次は真剣な顔をする。



「ノアス。今から俺はお前に酷な選択をさせてしまうが、いいか?」


「選択――」



 ノアスの言葉に重なるように〝あいつ〟の咆哮が再び鳴り響く。



「お前は生きろ」


「は――」


「今の俺たちじゃあいつには勝てない。それに俺たち二人で逃げ切るのは不可能だ。だからお前だけでも生きろ」


「待てよ。まだ勝てるかも知れないじゃねーか! 仇を討たずに俺だけ生き残る何て、俺には」


「ッフ。そう言うと思ったよ」イースは一度洞窟の端っこに隠れて首から下げていたペンダントを外した。


「でも、今回だけはお前のワガママは聞けない。俺たちと違ってお前はまだ若い。まだ未来がある。だから生きてくれ。俺とあいつの分まで精一杯」イースは腰のポーチをガサガサさせて何かを投げる。



「勝手に決めんなよ!!!」イースの胸倉を掴んでノアスは噛みしめて言う。「頼む。独りにしないでくれ。もう……独りは嫌なんだ」耐えようとしても溢れて来る涙が凄くうっとうしい。



 イースはいつものように小さくはにかむ。「大丈夫。お前はもう独りにならないさ」首から外したペンダントをノアスの首に付けてイースはもう一度はにかんだ。



「元気に生きろ。このペンダントが俺たちとお前の繋がりだ。ずっと見守ってやるからな」



 イースはいつもの明るい表情でノアスの頭をポンと撫でた。



「おい、待てっ。うわぁ!!」



 イースはノアスを抱えて洞窟の入り口に投げた。



「もし……あいつに会ったらよ、仲良くしてやってくれ」イースは背中越しに小さく笑って、親指を突き出した。その手に握られているのは赤いボタンだ。「元気にやれよ、ノアス」

 親指がボタンに触れたと同時にノアスとイースの間の天井が爆発して脆かった洞窟は崩落し、瞬きした直後、瞳に映ったのは瓦礫の山だった。



「おい、おいッ!!!」



 何が何だか理解が追いつかないノアスは、震える手で瓦礫の山に這いずって行き、一つ一つ瓦礫を手でどかしていく。



「ブオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォオオオオオオオオオオ!!!!!」



 勝利を確信したそんな咆哮が壁を伝ってノアスに響く。まるで獲物を仕留めて嬉々として叫ぶ猛獣のようにどこか喜びが籠っていたものだとこればかりは確信出来た。



「ラリム、イース!!!!!!!!」

 


ノアスはただ叫んだ。悲鳴を上げるようにただ、悲痛の叫びをダンジョンで上げたのであった。

ご愛読ありがとうございます。

引き続き、継続して頂けると幸いです。

必ず良い作品となりますので、付いてきて頂けると嬉しいです!

では、よろしくお願いします

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