9話:冒険者ギルドでの憂鬱
「ここが冒険者ギルドか。」
私達は城を後にして、大きな酒場に来ていた。…酒臭い。
「いくよアル。ちなみにもし絡まれても穏便に済ますよ。折角口封じして貰ったんだから。」
「そうね。私達というかミューちゃんめんどくさがりだからねぇ…」
そう言いながら戸を開ける。視線が一斉にこちらへ向く。
「なんだ?あの嬢ちゃん達。」
「身なりが整ってるから貴族じゃないか?」
「護衛も引き連れずにか?」
「大丈夫かしらあの子達…可愛いからこそ心配ね。」
「確かにびっくりするほど美人だよな。ガキだけど。」
「特にあの130ちょい身長の方なんて胸ねーしな。」
勝手に値踏みをするな。お前らみたいな筋肉ダルマいらねぇよ。てか可愛いはいいけどガキとまな板は余計だ。
私達の基本の服装がゴシックドレスだから分かりにくいんだな。うん。
「此方は冒険者ギルド受付です。ご依頼ですか?」
受付嬢さんが笑顔で対応してくれる。慣れてるなこの人。
「登録しにきた。」
その瞬間、その辺りの空間が固まった。
「…えっと?聞き間違いかな?」
「…登録にきたって言ってるのだけど。」
受付嬢さんが漸く状況把握したようで、こちらに哀れんだ表情を見せる。
「ごめんね、冒険者ギルドは15歳以上じゃないと登録出来ないの。後ろの…お姉さんかしら?その子は出来るけど…」
…そういえば今の私は身長130弱の少女だったわ。
「…これでもかなり年長者なのだけど。」
「でもね?ここで登録しちゃうと危ない所に行った時に君が大変なことになるよ?」
中々折れないなぁ。仕方ない。
「受付嬢さん。鑑定使えるよね?」
「ええできるけど…どうして知ってるの?」
「それはいいから私の魔力量を見てみなよ。」
「魔力量?…えっ?!何この数値?!…あっ!」
突然大声を出す受付嬢さんに驚く冒険者達。
「し、失礼しました…それよりこの魔力量は一体…」
「それは私達と貴女だけの秘密よ。で?どう?登録出来そう?」
「少しギルドマスターに聞いてみます……………えっ?!いいのですか?…はい。わかりました。」
「OKでた?」
「…はい。正直か弱そうな少女二人も登録するのは気乗りしませんが許可が出た以上仕方ありませんね。」
「おい、あの嬢ちゃん登録にきたらしいぜ。」
「は?なんの冗談だ?」
「あのレーネちゃんが言ってるんだぜ?冗談じゃねぇよ。」
そんな会話を冒険者達がしていると、一人の少年が飛び出してきた。
「レーネさん!どういうことですか!」
「あらレオくん。どうしたの?」
「僕があんだけ頼み込んでも登録させてくれなかったのになんでこんなチビを登録したんだ!」
うわっ。めんどくさ。この見た目も悪いと思うけどさ…この世界にはファンタジー御用達の長命種いないのかな?
「それはこの子に能力があると判断されたからよ。私が鑑定で確認したわ。」
「嘘だ!鑑定阻害掛かってて見えないじゃん!」
「阻害を使えるほど魔力の扱いが上手なのよ?1番の証拠だと思うのだけど?」
「ぐっ…おい!お前!俺と勝負しろ!」
「そんなのダメにきまっt「いいわよ。」…え?」
周りがざわめく。
「レオはあれでもガキの中では喧嘩強い方だしなぁ…あの嬢ちゃん大丈夫か?」
「折角可愛らしいのにな…いじめられっ子の烙印を押されるのは可愛そうだが俺は無関係だから止めらんねぇな…」
なるほど。これは少々本気で頭蓋を潰s『ダメよ?』…
横を見るとアルがニッコリとこっちを見ている。
これは私の経験上従わないとやばいやつだ。
「…はい。」
「わかればよろしい。」
そんなやり取りをしてるとレオが
「明日大広間で待ってるぜ!精々逃げないことだな!」
…嗚呼、結局目立ってしまった。明日が憂鬱だ。