7話:テンプレ遭遇
タイトル無視しまくり(´・ω・`)
気づけば私は空に立っていた。
「ねぇアル」「ねぇミューちゃん」
「「…」」
「「…ここどこ」」
出る予定地はいつだったか結構前に秘境からスキルで知った霧城山と呼ばれる山だったが何故かない。
「『ディメンションログ』、この山どこいった?」
『回答:5000年前に一瞬だけ栄えた超文明による超粒子砲の直撃により消失。』
そんなものがあったのか。秘境なかったら危なかった。ふと前世の記憶が頭をよぎる。
「ミューちゃん。今はないから大丈夫よ。」
そう言って抱きしめてきた。無意識のうちに震えていたらしい。
「くるしい。はなして。」
「だーめ!ぎゅーってするの50年ぶりなんだからしっかり吸収しないとね!」
ダメだこいつ。一瞬でも良い奴と思ってしまった自分が悲しい。そんなやり取りをしている間に地面まで降りてきた。『滑空』スキル、使うことはないと思っていたが助けられたな。
「しかしまぁどこに行こうかな。」
「そうねぇ、北にあるクルベルト王国なんてどうかしら?あそこはゼノ様からの評価も高いし期待出来るわ。」
ゼノのオススメかぁ…大丈夫かな?
「うーんとりあえずそこいこっか。」
「「『神速』」」
神速で15秒、ようやく王国の壁が見えてきた。
目の端に空飛ぶトカゲと馬車があった気がするが気のせいだろう。
「ねぇミューちゃん」
「やだ」
「何も言ってないけどなぁ…」
「面倒。てか運命弄るの忘れてた。」
「ゼノ様に叱れるもんねぇ…で?見殺しにするの?どうせ助けるんでしょうけど」
見殺しは罪悪感あるしなんかヤダ…まぁ助けるつもりだったけどさ…
「私の運命も少なからず影響してるから仕方ないし助ける。…ていうか同期スキルで心を読むな。」
「ふふっ、ごめんごめん。じゃあ頑張って!相手さんとのコミュニケーションは私がやってあげるから。」
「うん。よろしく。」
さて、私の力で敵だけ倒すにはどうしようか?
…考えるのが面倒になってきた
「…もういいk」
「お母さんはミューちゃんをこんな子に育てた覚えはありません!」
「奇遇だね私も育てて貰った覚えがないよ。心配しなくてもちゃんとするよ…『束縛』」
突然動かなくなったドラゴンに馬車の護衛が警戒を強める。
「怪しげな術士共め!貴様らの所属を言え!」
突然命令形で指図されたのになんかムカついた。
「五月蝿いよ…『サイレント』」
さて、黙らせた所でトカゲを屠るか。うーん…表皮黒いし光属性効きそう?
「『極光の杭』」
光で形成された杭がドラゴンの腹に風穴を開ける。当たりだったようだ。さっきのうるさいのじゃない護衛達が騒がしいが無視しておこう。
「ミューちゃんお疲れ様。頑張ったね!」
そう言ってアルは撫でてくる。…やっぱ妹辺りの扱いだよね?とか考えていると馬車の中からブロンドヘアーの美人さんが降りてきた。
「貴女がこの竜を…この度はお助け下さり誠にありがとうございます。そして申し訳ありません。あの男はあれでも騎士団長でございます。宜しければサイレントを解いては下さいませんか?」
この人国の近郊とはいえ騎士団長を壁の外に出せる程の権力者なのか…
「勿論構いませんよ。この子は少々手が出やすいのが悪い所でして…」
アル、あんたは私のかーちゃんか。
「あら?姉妹かと思っていたのだけれど、違ったのね…あぁごめんなさい自己紹介がまだだったわね。私はエリス・エルメル・クルベルト、これでも王妃よ。固い口調は慣れないから貴女達も適当でいいわよ。」
いやそう言われましても貴女の護衛が目で殺しに来てますよ…
「私はミュー、こいつはアザゼルよ。私達は姉妹でも母娘でもないわ。ここには冒険者登録に来たのよ。」
「冒険者登録に…そうだわ!冒険者ギルドもいいけど、もし良ければ謝礼を受け取るついでにお城にこない?」
いきなりのエリスの提案に一刻も早く冒険者になりたいミューはどう断ろうかと悩んでいた。
「いけません王妃様。こんな何処の馬の骨かも分からないような小娘二人を城に入れようなんて!」
さっきサイレントをかけた男が叫ぶ。ナイスだ騎士団長(笑)そのまま王妃様を連れ帰ってくれ!
「いいえ。恩人に何もせずにこのまま立ち去るなど王家の名誉に関わるわ。さぁ、行きましょう?私と共に城へ!」
とても面倒ではあるが諦めて馬車に乗るミューとアルであった。
『ディメンションログ』
格:伝説級
世界の記録を知ることが出来るスキル。
知れるのは過去の記録であり、未来を知ることは出来ない。
『神速』
格:秘伝級
残像すら見えない速さで動くスキル。神速とは言うが下級神の全力よりも遅い。