6話:まだ見ぬ世界へ
何十何百何全何万と年を越し、私はこんなことを言った。
「ねぇアル、そろそろ外いこっか。」
アルとはアザゼルの愛称である。濁点は使いにくいよね。
「外?急にどうしたの?ミューちゃんもう寝なくていいの?」
ミューとは偽名である。中世の世界のどこに優美などという名前があるだろうか。ということでゆみをみゆにしてみゆからミュー。誰も優美には行き着くまい。
「実はね…ステータスがunknown表記になってスキルが『全能』ってやつに統合されたの!」
「あら!おめでとう!でもいいの?ミューちゃんはここが好きでしょう?」
アルの口調が変わってるのは私の好みである。500年前ぐらいから強制したら慣れたようだ。
「秘境はいつでも入れるからね。神様から貰ったテンプレみたいに冒険者になってみたい!まぁ襲われる馬車イベントは運命弄って回避するけど。」
実は1週間置きにここには神がやってくる。最初はお客様みたいな存在だったが今ではお隣さんレベルだ。
ちなみに私達の能力はこんなかんじだ。
名前:ミュー 性別:女性
種族:ヴァルキュリア(上位神格)
ステータス
生命力:unknown
筋力:unknown
防御:unknown
知力:unknown
精神力:unknown
魔力量:unknown
スキル
『全能』
ユニークスキル
『不老不死』
『寝る子は育つ』
『秘境』
称号
『眠り姫』
『怠惰の極み』
『神のみぞ知るヒキニート』
名前:アザゼル 性別:女性
種族:ヴァルキュリア(上位神格)
ステータス
生命力:unknown
筋力:unknown
防御:unknown
知力:unknown
精神力:unknown
魔力量:unknown
スキル
熾天使LvMax
戦神LvMax
従属神の嗜みLvMax
ユニークスキル
眠り姫の加護
ステータス同期
称号
超越神の右腕
眠り姫の守人
眠り姫の世話係
抱擁力の魔物
といった形になっている。称号に喧嘩を売られてる気がするが気のせいだろう。それはさておき、このステータスならゼノですら殴ろうとしたら「痛いからやめて」というぐらいなので大丈夫だと思う。
「そっかそっか!ミューちゃんが自分で出るって言い出してくれてお姉さんは嬉しいな。」
そう言って頭を撫でてくる。200年前から妹扱いされてる気がしなくもない。複雑である。
「いつまでも子供扱い出来ると思わないことね。外に出たら私は口数少なくして大人っぽいキャラで行くから。」
アルは密かに「その容姿で口数の少ない子ならただの恥ずかしがり屋の女の子よ…」と思っていたが声に出さないでおいた。
「今その容姿で大人っぽいは無理とかいう念が聞こえた気がするけど私はこれでもお年寄りだからね。威厳を見せつけてやる。」
不老不死と寝る子は育つの組み合わせにあった思わぬ罠に悩まされる少女の冒険者が今始まる!
『ステータス同期』
種族特有スキル。スキルというか特性に近いもの。神により創られし一部の天の者が持つ。主と同じステータスとスキルを同じ分扱える。