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ドラゴンディセンダント  作者: ドクターわたる
竜の迷宮
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3-2-5.修学旅行は2日目に突入⑤

―――フィーネの鎧の着装を解く・・・第6高校ブレザー姿に戻る。

結界も消滅させる、京都タワー展望室の上はすぐに風が吹いてくる。

タワーの上から見る夜景もなかなか綺麗だ・・・。


さて・・・。


彼女がこの真上に・・・上空にいるのはもちろん気付いている。


努力はたまに実を結ぶ・・・僕の場合はだ・・・大抵うまくいかないのだが。

最近は浮遊術レビテーションもかなり上手くなっているのだ。

トンと赤い金属を蹴り、僕の身体は夜の京都に浮く。


そのまままっすぐに上に飛んでいく。

周囲には少し雲が漂っている。


450メートルほど上昇しただろうか。


そして腕組みしている彼女の目の前でピタッと止まった。


「やあ麗良ちゃん・・・」

「いつまで待たせるわけ・」

上空で待っていたのは幼馴染みにして降魔六学園の総書記をしている更科麗良だ、しばらく前から来ていたのだ。今日は三つ編みだ・・・うん、かわいい。


上空はかなり風がきつい・・・ちょうど二人入れる結界を張ることにした。


「みんなを送らないとさ・・・」

「心配したのよ!」

「え?」


ん?なんの話しだ・・・。

ニルヴァーナとやりあったことだろうか、それかイリホビルでの破壊工作か。

昨日のことは教えてないけど麗良は西園寺グループの情報は詳しいからな。


気付かれたか・・・。


「ああ、バレてた?メキシコの・・・」

「今日あの狂暴女と会ったでしょ!」


むう、しまった。

桔梗の話しか。


「狂暴女?」

「桔梗よ、ブス桔梗・・・メキシコって何よ・・・」


麗良ちゃんは私服で腕組みをしていてややご機嫌斜めな気がする。

ブス桔梗って桔梗は麗良ちゃんのことを唯一の友人って言ってたような気がするけど・。


「桔梗のブスというかブス桔梗とは何もなかったの?どうなったの?」よく分からない言い直しをしている。

「桔梗とは半年後に決闘することになったよ」

「決闘・・・?なん~かおかしいわね・・・前後の会話を包み隠さず教えてくれる?アキラ。それから下でさっき何をしてたの?あとメキシコってなぁに?」


ヤバい・・・なんか笑ってるけど・・・怒ってる気がする。


・・・京都上空で何の尋問が始まったんだ?


―――仕方ないので桔梗の事とさっきの人造魔サクラとの経緯は話すことになった。


「―――だからどうしてそんな危ない真似するのよ。だめって言ってるでしょ。私の言うこと聞きなさい。アキラ。そんな人造魔の変態女は警察の特殊部隊に任せるべきでしょ」

「ああ、うん。そうね」


京都上空で冷や汗たっぷりの僕らのミーティングは続いている。


「桔梗はフシドを共にしたいと言ったのね?」

「そんなように聞こえたよ??離れに決闘場があるっぽくって」

「まあ・・・それに関しては良かったわ。逃げてくれて。あのブス、早く止めを刺す必要があるわね」


うん、えっと何しに来たのかな。


「桔梗が許婚と会ったとか言うから落ち込んでるかと思って探しに来たのよ・・・それでメキシコってなに?」

「うん・・・ありがとう・・・メキシコ?なんでもないです・・・」

「隠し事するんだ?」

「いやあの・・・隠し事って言うか」

「あたしに隠し事するんだ?」


あかん、隠し通せん。

どうしよう・・・昨日やってたことって危ない真似の極致だよなぁ。


「それよりも今日さ、タイガーセンセから結婚を申し込まれてさあ」なんとかして話題を変えなければ。


ん?なにか気のせいか目つきが怖いな・・・。


「いや、まあ本気じゃないって言うか。すごい先の話しっぽくて―――」

「はぁああああああ!?オッケーしたんじゃないでしょうね!!!!!!」


踏んだな・・・これは。

・・・完全に地雷を踏んだな・・・魔力の回帰波をまとって激怒している・・・ああ藪蛇やぶへび


なんで?いつ地雷踏んだんだ?


「結婚オッケーなんて・・・なんてするわけないじゃないか・・・」思いっきりオッケーしたなあ、さっき。

「当たり前でしょ!!!あの年増の肉欲ババア!!!あたしのアキラをそんな目で見てたなんて!!!・・・許さないっっっ!!!!」

「・・・いやあの・・・えっと・・・」

なんでそんなに本気っぽい殺気が・・・。


なんて魔力だ・・・ガチで戦いに行ってもおかしくないな・・・おかしいぞ・・・なんで・・・?


あかん・・・今日一番アカン話題の選択だった、みたい、なのかな・・多分。


魔力で雷と光をおびて麗良は激おこ発光状態だ・・・・。

光竜を召喚して突撃しそうな・・・感じだ・・・まさかねえ・。


「今から行って話をつけて来るわ!!!未成年へのストーカー条例違反で訴えてやるわ!!アキラがこんなに嫌がってるのに・・・」

「まってまってストーカー何てされてないって」


・・・本気?本気かも!

タイガーセンセと戦う気か!?


話題を変えないと・・・話題・・・話題。


ああ、思いつかない・・・ああ、なんか他に怒られそうなことを言おう。

ああなんだ?


なんでもいい!


「ああ、そう・・・そんなことどうでもいいんだ。結婚しよう、麗良ちゃん・・・あのお互い将来さ、長いこと相手とかいなか・・・」

「もちろんよ・・・当たり前でしょ。当たり前すぎるわ・・・」

「いやあの・・・演劇の練習で彼氏役やってるわけだし・・・え?」

「結婚の申し出受けるわ・・・なによ・・・いきなり・・いきなり・・・いきなり何よぉ・・・・・・何よ・もぅ・・・」


えええ・・・・?

泣き出した・・・声を出して・・・えええ?

怒るかと・・・何脈絡のないこと言ってるの・・って怒るはずでは・・・。


はあ?


なんやねん、この展開は?


なんでOKなんだ?

演劇の練習の延長上・・・まあそう考えるのが妥当か。


泣いている・・・。


こんなに泣くか・・・。


ほう!


そうか・・・スバらしい演技力だ。


やっぱ麗良ちゃんは流石だ。




―――そして何だか分からないが数分後、更科麗良は落ち着いた。

書記長は冷静が一番だ。


京都上空を2人で揺蕩いながらやっと落ち着いたのだ・・・長かった。


ああ、よかった・・・一件落着だ。


怒ってサンドイッチ持ってきてくれなくなったら困るもんな・・・木曜日の麗良ちゃんのサンドイッチの差し入れと日曜日のタイガーセンセの夕飯タダメシと、月曜日のダークアリスの喫茶店オゴリで生きているのだ僕は。


週三回も夕飯が食べれて幸せなんだ。


生まれて初めてできた友人・・更科麗良・・・大事にしよう・・・保育園からの付き合いだし・・・お金持ちだし。




―――いつの間にか麗良ちゃんと僕は文字通りの小さな結界で作った空気椅子に腰かけて京都を見下ろしている・・・こんな夜景が見れるなんて、来て良かったな修学旅行。


隣で腰かけている麗良ちゃんは静かに呟く。

「―――ねえ、どっか連れてってアキラ・・・この後なにかプランがあるんでしょ、プロポーズまでしたんだから・・・なんかプロポーズプランの順番壊しちゃったカナ?」


(プランなんてあるわけねえ・・・うーん?・・・そうだ!京都と言えばあの山に大って字書く奴は?それにしても演劇の練習は手を抜かないな・・・)


「もちろん考えてるよ・・・麗良ちゃん・・・」


だから何も考えてねえ・・・よぉ。


上空から急いで雲を突き抜けて霊視する・・・山・・・山はどこだ?


大って字の出てる山・・・・。


・・・全く無いな・・・。

季節とかあるのかな?時間かな?


このままでは・・・また麗良ちゃんの機嫌が悪くなるかもしれない・・・。

だが、自分が行ったことないとこに連れて行っても付け焼刃はバレるだろう・・・彼女は非常に鋭いのだ。



そ・・・そうだ・・・得意分野があるぞ・・・。


自分が作った透明な空気のベンチから音も無く立ち上がる・・・というか地上500メートルだし浮く。


「いいとこに連れてくよ・・・」


ん?なんだ?ベンチに腰かけた麗良ちゃんが潤んだ目で手を握ってくる。

新しい行動パターンだな。


まあいい。


「どこに連れてってくれるの・・・アキラ・・・」

「いいとこさ・・・安全だから安心してね・・・何度も練習してるし」

「・・・期待してるわ・・・」

「特殊な結界で包むけど僕の術式はかなり高度で―――」

「信頼してるわ・・・未来の旦那様だもの・・・天才なのも誰より知ってるし・・・」

では行くか。



―――行くのは普通の“空中浮遊術レビテーション”では決していけないところ・・・。


巨大な円盤状の結界を作り大量の空気を取り込み耐放射線のバリアも張って・・・。

その円盤の中央に僕らはいて・・・。


急速上昇だ・・・周囲はややオレンジに輝いている。


どんどん上昇させる・・・。




・・・人工の光の届かないさらなる上空は星の光で満ちている。


「・・・きれい・・きれいね・・星がこんなに・・・」

「最近、成層圏を突破できるようになったんだ、長い時間の滞在は無理だけどね・・」


ケーイレブンを倒した後で太平洋上の静止衛星を古代竜語魔法でいくつか破壊したときに成層圏外から撃たないと少し位置がずれることに気付いたのだ。


目の前には星の海が・・・眼下には巨大な地球が・・・さすがの麗良ちゃんも呆気に取られているようだ。



「そろそろ再突入するよ・・・」でもまあそろそろ帰らないと・・・魔力も残り少ないし。


「・・・あたし今晩の事、絶対・・・忘れないわ・・・絶対・・・」


そして長いような刹那の時間を眼前に迫りくる地球という星を眺めて費やした。




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