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ドラゴンディセンダント  作者: ドクターわたる
竜の迷宮
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3-2-1.修学旅行は2日目に突入①

―――あああ、眠い。

50時間ほどほとんど眠っていない。


しかし修学旅行2日目にはなんとか間に合ったか・・・。

それにしてもサンディエゴから京都まで・・・遠い。


旅客機にテレポートして少し距離を稼いだが途中からはまたテレポートを繰り返すハメになったのだ。


慎重な僕は決してしないのだが、魔力がほぼ枯渇してしまった。

だがまあ戦績を考えれば上等だ。


今後ジャマになるだろう世界的最悪テロ組織“ニルヴァーナ”は消滅。

気になっていた御所に出入りできる生体兵器“Xシリーズ”もほぼ壊滅。

危険な次元環“ポラリス”も消滅。

西園寺グループに少なくないダメージを与えることができた。

左肩に呪詛を埋めてくれた西園寺御美奈もジェットが爆散してヒヤッとはしただろう。

7年前に僕とアビルを襲撃してくれた咲原中尉・・・少佐になっていたが・・・彼も消滅。

そして最大の目標だった物質変換加速器の設計図・・・スピカでゲット。


予想以上にオニツカグループは優秀だ・・・もう少しかかるかと思ったが原始の船の発掘はほぼ終了して、ほぼ完全な形で補修もおわった。後見人の鬼塚紅亜さまと情報を整理したところ、船の動力源だけどうにもならなかったのだ。不思議な話しだが・・・あらゆる次元に存在可能な太古の天翔ける船・・・“原始の船”の動力は3名の女性のようだ・・・エンジンルームと思われる場所に窪みがあるのだ、それが女性の形をしている。


何らかの次元干渉能力者が3人必要?

数千年前にこんなものどうやって作ったのか・・・。


3人の女性の代わりとして。


手っとり早いのはODCシステムの動力源である物質変換加速器だ・・・これがあれば“原始の船”が動くだろうことは計算できた。


というわけで西園寺グループ兵器開発部が秘密裏に開発した物質変換加速器がどうしても必要だったわけだ。

というわけであとは“ミスプリント”の計画を早めないとな。


それにはまず・・・。


「じんめくん!」

この声は・・・。

「ああ、鳥井先生。おはようございます」

「心配したのよ。もう・・・」

27歳独身巨乳の女教師が目の前にいた・・・目が座っている。

京都についてものの数分で見つかるとは・・・すごい能力だ、タイガーセンセ。


実は旅館でご飯食べようと思ったのだが・・もうみんなは時間的には自由行動中のようだな。


旅館に入ろうとした瞬間、腕組みしていて機嫌の悪そうな担当教官とばったりというわけだ。

魔力が枯渇していて霊視を怠っているせいだが。


「どこに行っていたの?・・・女性の匂いはしないけど」

「なんのお話しですか?」

まあでもこの声を聞いているとやっと帰ってきたと感じているところだ。


「昨日Z班全員で行方不明になったかと思ったら突然みんな夜戻ってきて。しかも2年生の黒川有栖生徒会長までいっしょに、彼女がどうして修学旅行参加してるの。降魔に戻ってもらいましたけど・・・昨日一日、何をしてたのか説明してくれますか?じんめくん?」

「何って言われてもねえ、先生」

なんで人差し指を立てながらどんどん近づいて来るんだ・・・近い・・・瞬きせずにジッと目を見て来る。


テロ組織を潰したり西園寺グループが次世代兵器として開発した物質変換加速器の設計図を盗みに行ってたとか言えないしなあ。


大げさにキョロキョロしておく。

「みんなはもう行っちゃったみたいですね」

「そんなことより、あきら・・今晩必ず私の部屋に来なさい・・いい?続きは夜しましょう?」

あれ?思ったより叱られないな。

ラッキー・・・つか僕には相変わらず優しいなタイガー・・・理由は不明だけど。




―――というわけで一人でタイガーセンセと別れて京都を散策することになった。

ニルヴァーナの元指導者ドールじいちゃんにブレックファストをご馳走してもらったのは10時間前だから・・・。まあテログループの元リーダーと食事するなんて稀有な経験であることは間違いないけれども。


しっかし、お腹が空いた・・・しかも眠い。


それにしてもさすが第6高校だ・・・。

朝から夜まで自由時間とは・・・予想をこえたスケジュール表だ。


ポラリスからアフロが帰るとき、今日は京都で古本屋巡りをするとか言ってたな。

(うーん、彼もさすがだ。清水寺とか三十三間堂とか、いろいろあるだろうに・・)


魔力は空でとても“Z班”連中を探せないし。

何より一応旅行中なのだし無粋だ、なんでも霊眼に頼るというのは・・・ゆっくり散策しよう。


京都に来るなんて最後になるかもだし。

とりあえずこのあたりの地図が欲しいな。

それにしても秋の紅葉の季節の京都は人が多いな。


あんまり人ごみは好きではないのだ。


適当に観光しながら古本屋があれば覗いて見よう。


・・・そんな感じでいいや。


「じんめさま!」

って・・・後ろから声をかけられるまで気付かなかった。

多少疲れているのかな。

「やあ城嶋由良さん、おはよう」

「はい、お、おはようございます」

うちの高校のブレザーを着ているピンクツインテールにキツネ目のヤバい女生徒。


もと第4高校の影の首領にしてアライアンス“ジュウェリーズ”のリーダーでもある・・・恐らく第6高校に転校後も“ジュウェリーズ”を束ねているのは彼女だ。この第6高校でも黒川有栖を生徒会長にしてしまったり危険度は測り知れない。


何故か僕には優しいが・・・その魂胆は今のところ不明だ・・・桔梗に勝ったからなのか・・・。

そして製薬会社社長の娘でお金持ちだ。


(お願いします。何かおごってください)


「もし宜しければお渡したいものもありますから喫茶店に入りませんか?」


ふ、思案する必要がある。

なんとかしておごってもらうには・・どうしたらいいのか。


「えっと・・・」


何か僕が渋っていると思ったのだろう。

「京都は時々遊びに来ますので、向こうの路地にある喫茶店のマスターは知り合いです。顔がききますしパンケーキが美味しいお店ですよ。ぜひ・・・ご馳走させてください、お世話になりっぱなしですので・・・」


(よし!今日はついてるな・・・まじで・・・願いが叶うなんて・・・)


心の中でガッツポーズしつつ断る理由はまったくなかった。




―――少し奥まったところにある喫茶店では二階に通され僕らは腰かけることができた。

二階は僕と由良さんの2人だけだった・・・華聯さんはいないのか今日は。

思ったより空いててよかった。


「相変わらずじんめ様。息をのむ美しさですね・・・」

「僕は男ですよ、美人なのは城嶋さんのほうでしょう?」

「あら・・・やだ・・そんな・・・そうですか・・・」

じっとこっちを見て来る城嶋由良をなんとかして褒めないといけない・・・おごるのを止められても困るのだ。

何か少し照れているようにも見えるが・・・芝居かもしれない。


それにしても今日はいつにも増してキツネ目に力がある・・・。


ヤバい・・・殺す気かな・・・僕を・・・。


そう思っていると由良は封筒を出してきた。


「しばらく滞っておりましたが、じんめ様への贈り物をまとめておきました」

「ああ、ありがとう」

と言いつつ受け取るかどうか思案している。


むう?

まだ続いていたのか。封筒を透視する魔力が無い・・・どうせ大した額じゃないだろう。

“Z班”神明全への贈り物は“Z班”秘書の城嶋由良を通さなければならない・・・とかいうルールを作って僕へのプレゼントを売り飛ばして換金してくれているんだったか。


「いいよ。今までありがとう。これは由良さんにあげます、いくらか分からないけど華聯さんと分けたら?」

「いえ、そんな。じんめ様。由良はじんめ様のために・・・」


「いいよ。インハイでは援護射撃してくれてたし」

それに今日は封筒に毒が仕込まれているとヤバい・・・調べる魔力がないのだ。


「ちょうど15万円入っているのですが、いただくわけにはまいりません」

「ふふ、15万ね。いいよ、今回は受けとらないよ。いつもありがとう。おかげで昼もゆっくり学食で食べれてるし・・・華聯さんと分けてね」


15万もあるわけがない、何の冗談だ?

やっぱり毒殺する気か。


なんか妙な雰囲気を由良さんはかもし出している。

「じんめさま・・・」

「な、なに?」


「いま、お笑いになりましたか?そんな、由良に微笑んでくださるなんて・・・死んでもいいくらい幸せです」

なんだ?キツネ目が涙目になっている・・・。


(それよりパンケーキは注文しないのか。おごってくれないと困るんだけど)


「まあまあ、城嶋さん。注文しない?・・・あの、そろそろ・・・」

「ああ、ごめんなさい。じんめ様。気付きませんで・・・」



―――何かしばらく喋っていたがお腹が空いてあたまに入ってこない。


「お待たせいたしました」

そう、階下からお店の人が持ってきた2つのパンケーキとやらはヤバかった。


(なんだこれ?ホットケーキみたいのが、5、5、5枚も)


「じんめ様。今日、由良は決死の思いで来ました。どうしてもお伝えたい思いがありまして。ここまで言うと分かってしまうかと思うのですけれど。こ、こく・・・告白といいますか・・・」

「決死の・・・?」


(おお?この白い巨大なタワーみたいのはクリームか・・・なんてクリームだっけ・・・)


「あれは本当に幸せでございました。あの降魔に帰って来たときに腕を組んでくださって・・・幸せで幸せで由良は・・・そしてでも苦しくなってしまって・・・」

「苦しく・・・?」


由良は祈るように両手を組んで天井を少し見ている、その手前には白いクリームのタワーが2つそびえているのだ。

(これはホイップクリームだっけ?・・・クリスマスの時しか食べれない奴だ)


「由良はこの方に一生ついていきたいって・・・この方に一生尽くしたいって・・・それが本心だと・・・」

「一生・・・?」


(えええ、これで一人分なんだ・・・いくらするんだ・・・透視できないのって不便だが)

白いクリームのタワーは気力も体力もすり減って空腹の僕の思考力をドンドン奪っている・・・ようだ。


「由良の心も身体もすべてじんめ様に・・・いつでも、いつでも捧げる準備があります」

「それよりも・・・」


(それよりも早く食べようよ・・・冷めないうちに・・・いやそもそも熱いのか・・・冷たいのか?このパンケーキって?)


「そ、それよりも・・・なんでしょうか?じんめ様・・・なんでもおっしゃって」

「それよりも?」


(そんなこと言ったっけ?・・・あ、ヤバい、由良さん、なんだが見たことない顔で震えながら怒ってる?頬に赤みがある・・・まさか襲って来る?)


「由良はあなたが望むことならなんでもできます・・・断言できます・・・何か至らない点がございますでしょうか?」

「・・・?」


(なんの話しをしてるんだ?・・・ヤバい、聞いてなかったぞ・・・ごまかさないと・・・おごって貰えなかったらどうなるんだ?・・・財布持ってない・・・)


「そ、そうだね、由良さん。実は僕も・・・は、話したいことがあって・・・」

「は、はい。じんめ様・・・ゆ、由良は。じ、じんめ様のお気持ちを。し、知りたいです・・・」


なぜか僕たち2人はしどろもどろになっている。

(アカンどうしよう。なんの話しをしようか?・・・どうする?)


「き、昨日さ・・・僕いなかったでしょ?」

「え、は、はい。もちろん存じております。何か重要な用事かと・・・重要では無いかもしれませんが。じんめ様が必要と思われることは・・・それは必要なことなのだと由良は思っております」


少し僕はテーブルに顔を近づけつつ話す・・・なんか甘い香りがする。


「これはもちろん秘密の話しなんだけど・・・た、食べながらでいいかな?」

「もちろんでございます。そしてあらゆるものから守秘いたします」


(由良と初めて話したのは彼女の部屋だったが、彼女との会話は注意しなければならない。予想以上のインテリジェンスだし・行動力も統率力もある。そして先手先手が重要だ。それっぽくするためにほとんど残ってない魔力で簡易結界を張っておこう)


「ニュースになってると思うけど、昨日メキシコで麻薬カルテットと軍が戦闘を行ったことになっているよね・・・あ?知らないならあとで確認しておいて・・・それで・・・」


由良が神妙に頷いているのを確認しつつ話す。

そんなことよりパンケーキ食べないとな・・・一口フォークでクリームを口に運んでみる。


(お、おいしぃ・・・なんだこれ。ちょっとあったかいのか・・ああ?こんな・・・・こんな軽いんだ・・・スゴイ・・・)


「・・・おいし・・・いや・・・えっとそれで・・・その発表はデタラメなんだ。こないだ第3高校が外部のサマナーに襲われたのは知っているよね?首謀者は逃げたことになってるやつ・・・うん。そうそう。あの話には続きがあるんだ、実は関係してるんだけど。メキシコでの戦闘と時間を同じくしてアメリカ西海岸でも事故が二つある。表向きは運送会社の火事とか化学薬品の爆発とかになっているけどね・・・ああ、あとで調べたらいいよ」


(旨ぁ・・・このパンケーキ・・・クリームおいしぃ・・・ああ?由良さんは真面目に聞いているみたいだなぁ・・・このケーキの部分も・・・ああ?おいしい・・・)

もうどうでもいいけど、取り敢えず話は続けないと。


「第3高校を襲撃したのはテログループ“ニルヴァーナ”だったのさ。どうやら竜王の霊眼という能力を持つ人間を調べに来たみたいなんだけど。知られていないけど同時に第6高校と第1高校も襲撃されててね・・・そうそう、第3高校だけじゃなくって・・・まあ如月葵がターゲットだったみたいだね・・・まあ・・・はっきり言って海上に誘い出して僕が全員撃退したんだけどね・・・」


由良さんは「―――え、そんなことが―――」何か言っているようだがパンケーキが美味しいのだ・・・ああ、救われる・・・パンケーキに救われる・・・テログループなんてどうでもいいんだ・・・。


「繋がっているのも簡単な話しでね。アメリカ西海岸での事件二つとメキシコでの戦闘は・・・要は“ニルヴァーナ”の拠点だったのさ・・・3つともね・・・そうそう。海上で戦った時に色んな情報を得て、その時に・・・うん?そう・・・テログループ“ニルヴァーナ”の本拠地を特定して・・・FBIやメキシコ軍にリークしたんだ」


(まあ嘘は言ってないし・・おいしい・・・えっと・・・)


「それで、テログループ“ニルヴァーナ”を潰して・・・“ニルヴァーナ”は知ってるよね?・・・もうこの世にはなくなったけど・・・それで最後に“ニルヴァーナ”の指導者“ドール”と数時間前まで戦ってたんだ・・・ん?・・・もちろんアメリカで・・・」


(まあ戦ってたというか、アレだけど・・・これこんな量あるんだ・・・値段恐ろしいな・・・本当におごってくれるのかな・・・無銭飲食で捕まるのヤだしな・・・おいしいな・・・)


「―――ここから米国までテレポートできるのですか?じんめ様・・・?」

「まあ・・・そうなるよね・・・さすがに魔力が尽きてしまってね」


(魔力が尽きたと由良に言うのは危険だが・・・まあ。僕の話しに整合性があるか検討するだろうから・・・襲ってこないとは思うケド・・・ぁあ、めっちゃ美味しい・・・テレポートできるって教えた事あったっけ?ああ・・・部屋に入ったからか・・・これどうやって作っているんだろう・・・天才だな作った人・・・尊敬だな・・・)


「わたくし・・・わたくし・・・心得違いをしておりました。レベルの低い話をしてしまうところでした。申し訳ありませんでした」

意味わかんないけど納得してくれた風な感じだ。


「そう、ところで。つまり“五色曼荼羅”の方は頼むよ」

「は、はい。急ぎます。全員退学にするだけの証拠はございます。ゆ、由良はじんめ様のお役に立つことが・・・」


思ったよりも平和に由良の行きつけの喫茶店での二階での空間は・・・クリームだらけの天国の様だった・・・。


何やらすこしボーっとした顔になっていたピンクツインテールの城嶋由良さんとは喫茶店前で別れることになった。


見慣れない街並みを見渡すと京都はアスファルトまでなんとなく風情があるな・・・数時間前までサンディエゴにいたんだけどな。

しかし見直したよ。由良さん・・・すごい美味しかった・・・。


(ああ、本当によかった。おごってくれた・・・おいしかったなぁ・・パンケーキヤバい・・・“ニルヴァーナ”も“五色曼荼羅”もどうでもいいけど・・・どうでもよくないっか・・・まあいっか。それにしても由良さん、パンケーキほとんど食べてなかったな。勿体ない・・・一体何を考えているんだろう)

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