閑話.スピーカーズコンテスト③
(つまらん・・・)
仕方ないので第10弁士以降も聞いてやっていたのだが・・・面白くない。
うーん、アフロの方が面白い気がするのだが・・・。まあアウェイの我々には関係ない。
そしてやっと少し緊張した面持ちの我らが“Z班”の鋼鉄坊主・・・青木君の登場だ。
「キエ~やっとか・・・」
眠っていたはずのアフロが起きている・・・そして一階にいるタイガーセンセも身を乗り出している。
「緊張するよね・・・よく分かるよ青木君」僕はもう二度とやりたくないが・・・自分の番は終わっていてなんだか余裕だ。
フンっと言っているアフロは緊張しないのだろうか。
さて、ステージ中央にいよいよオオトリの青木君の登場だ。
一体・・夜中までタイガーセンセと何を作っていたんだ・・・。
結構気になるんだけど・・・。
ペコリとあいさつする第15弁士の青木君は堂々としているように見える。
「えーコホン!青木小空!それでは始めさせて頂きますタイ!」
おお・・・掴みは失敗だ・・・。
そしてそれは始まった。
「・・・」
「・・・」
スーッと深呼吸して・・・集中し始めた・・・すぐ話さなくてもいいのか。
なるほど僕もああすればよかった。
ああすれば落ち着くのか。
そして青木君はスピーチを開始した・・・。
演題は・・・。
“人生で得る多くのものは裏庭のコオロギの科学”という題のようだ。
裏庭のコオロギってなんだ?
期待が持てる・・・確かに先日も思ったが青木君の題は、題だけで引き込まれる。
それにしても堂々としているな・・自信に満ちている。
僕はキョドっていたからな・・・見習おう。
向上心は重要だ。
まず壇上の青木君は一言、マイクに向かって。
「・・・パンティ」
ザワザワする・・・一体なんだ・・・。
もう一言。
「・・・パンティ」
「・・・パンティ」
ここからどう変化するんだ?
「パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ・・・・・パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ・・・」
おおお?これは一体?
いや何が起きているか理解はしている・・・女性の下着を連呼しているようだ。
なんという・・・独創性だ、青木君・・。
裏庭のコオロギは・・・いつ出て来るんだ?
「パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ・・・パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ・・・」
いや・・・これは・・・すごい・・。
だって僕には思いつかないし、思いついても・・・いや、思いつかない。
会場は水を打ったように静まり返っている。
いやでも・・・裏庭のコオロギの科学にどう繋がるんだ?
(これは凄いぞ・・・戦闘だったら、世界を置いてけぼりだ・・・えっと、つまり?)
「パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ・・・・・パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ・・・」
予想に反して変化しない・・・。連呼連呼・・・。
コオロギは?出てこないの?・・・コオロギは?・・・斬新・・・。
そして、ステージ上のハゲは段々のってきている
凄いぞ、青木君・・・なんてダメージを観客に与えているんだ・・・。
て、天才だ・・・天才が降臨した。
「すごいね、アフロ・・・」
「ああそうだのう・・・けた外れのバカである・・・想定を超える・・・か」
「え?固定概念を破壊してるよね?観客は呆気にとられているよ・・・すごいよね?」
「キエ~バカ過ぎてバカが溢れておる・・・間違いない」
「え~天才だよ・・・優勝するんじゃない?」
「今世紀最高のバカの世界チャンピオンは間違いない・・・」
「え~ダメなの?これ?すごくない?誰も到達し得ない世界感だよ、一単語で自分を表現するっていう」
「だれも到達してはいけない世界であろうな・・・」
どうも評価が合わないようだが・・・そんなはずは。
「でもさすがだよ・・・夜中までタイガーセンセと作っていただけはあるよ」
「右下の1階観客席の鳥井大雅教官を見るのだ・・・すっ転んでいるであろう?」
「ああ、本当だね・・・ひっくり返っているね・・・タイガー」
「鳥井教官が手を加えたものではなかろうな・・・暴走ハゲ坊主はまさに暴走・・・」
「ええ?そう?凄いよ・・・ね?青木君・・・見直したんだけど・・・僕的に」
「・・・もけ・・・たまに貴様が心配になる・・・」
ステージはただ暑く、熱く・・・観客席は非常に静かだ・・・なんて空間だ・。
まだ続いている。
「パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ、パンティ・・・」
「おおおおお!真名子のパンティ!!!」
「・・・食べたい・・・」
ペコリと青木君はお辞儀をして壇上を後にする。
おお・・終わった。凄い演説だった・・・コオロギ出てこなかったし超越していた・・・インパクトもあるし。
えっと・・・とにかくインパクトすげえ。
なにやら今日一番間違いなく場内は騒然とした・・・。
「ここで青木君を待つ?アフロ?」
「変態テロリストと一緒にされてはかなわん・・・逃げるぞ、もけ・・・」
そのまま逃げたのでその後のことは知らない。
が、後日談がある・・・。
逃げたので知らなかったのだが、霊眼でも覗かなかったし。
信じられないがスピーカーズコンテスト・・・15人中、僕の“学問のおすすめ”は2位だった・・・まじか。しかもタイガーセンセが言っていたが第一高校の生徒会役員が全員僕に最高点をつけたらしい。城嶋由良が感動して泣いたって言っていたけど・・・それは嘘だろう。
2位か・・・スピーチも苦手かと思ったが自分は才能あるのだろうか・・・まず無いだろう。
あの場にいなかったはずだけど・・・桔梗も僕に票を入れた?麗良ちゃんは当然だろうけど。
そしてスピーカーズコーナーの栄えある第1位は・・・なにがアウェイだ・・・ぶっちぎりで緑アフロ隊長の“幽霊奇譚”だった。
アフロめ・・・民衆の心を鷲掴みか。
不思議なのは概念の世界を破壊した我らが“青木くん”は15位の最下位だったようだ。まあ凡人にはコオロギの科学は理解できないのだろう。
さらにタイガーセンセも監督不行き届きで厳重注意されたらしい・・・わけわからん。
15位ではあったが“名作・青木劇場”という名前の宗教団体のようなものが学園にできて・・・熱烈な信者4名が入信したらしい・・・本当の仲間に出会えたのならやっぱり青木君の一人勝ちなのでは・・・とか思うのだが。
「キエ~!あれはそんなものではなかろう。ただの下着フェチ同好会である・・すべて不毛。間違いない」
などと頭を傾けて目を閉じたアフロは言う。
さて・・・現国の期末テスト30点アップしたアフロはめでたく100点満点を越えたらしい。
そして10点アップのオールバッカ―は・・・10点の加点があったのに現国29点で赤点だったらしい・・・ある意味、さすが。
そして15点の加点がある僕はだ・・・そのころ異次元をさまよっている真っ最中で期末テストは受けられなかったのである。




