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ドラゴンディセンダント  作者: ドクターわたる
竜の召喚士
59/265

2-14-4.決勝リーグ④

―――キャージンメさまぁ―――

―――すげえ、近くで見れるぞ!―――

―――今大会の台風の目だってよ―――

―――一人を除いてみんな小さいな身体―――

―――すごい美人がいるぞ―――

―――握手してください―――

―――あのDD-starsに勝つなんて―――

―――え?オトコ?―――

―――あいつらだ!不知火と姫川を秒殺した―――



さすが決勝リーグだ・・・かなり写真だの動画だのを撮られている・・・歓声だが応援だかもウルサイくらいだ・・・“Z班”には罵声の方が似合っているんだけどな。


―――チーム“Z班”専用控室にて・・・。今日は決勝リーグなので待遇も昨日までとは雲泥の差だ。かなり広い大部屋を好きに使っていいとのことだ。


人目が無いのは・・・とても落ち着く。


ここで各自休みつつ、第3試合と第4試合はここでみんなでモニターで観戦できそうだ。つい霊眼を使ってしまいそうになるが、イケナイ、イケナイ。


そしてしつこく促しておこう・・・だって僕はやりたくないのだ。

「星崎さんは試合直後ですから、先生。ダイブツくんの回復をお願いします、回復魔法は効かないんでゆっくり抗術で新陳代謝を上げるか魔力を闘気に変換して内養功にすればいいんです」

「あのね、じんめちゃん。ふつうの人はできないのよ。魔力変換なんてできるはずないでしょう?」

「そうですか?まあ、いっか。ダイブツくんは丈夫ですから小一時間で回復するでしょう」

「グモ~グモ~!」む?ダイブツくんがお腹をおさえている。

「一応聞くけど痛いの?」嫌そうに横目で一応ってタイガーセンセ・・・一歩も近寄る気が無いな。

「グモ~朝ごはん食べてないからお腹すいたのじゃ!」


うん元気そうだな・・・決めた・・・もう忘れよう。


星崎さんが結構大きなモニターをつける・・・試合が中継されているのだ。


―――もう第3試合が始まる・・・。


“ドラゴンディセンダント”対“DD-stars”だ。


ポイントゲッターは“ドラゴンディセンダント”が如月葵と秋元キャサリン未来で・・・。

対する“DD-stars”は不知火玲麻と姫川樹奈がさっき僕とダイブツくんに負けるまでは全勝だったのだ。

まあやはりこの4人に注目するべきだろうか。


それにしても如月葵と緑川尊が創った“ドラゴンディセンダント”は1年生がメインのチームなのに全国大会まで来るなんて。たった数ヵ月でこの成長・・・潜在能力だけなら最高のチームなわけだ。

校内予選に出ていなかったのは解散の危機に瀕していたからのようだ・・・やっぱり緑川の影響だろう・・・それを脱して地区大会から破竹の勢いで連勝してきている。勢いだけはトップ・・・か。


そしてこれはバトルマニアの集う第3高校同士の対戦でもある。

しかし“DD-stars”は連戦だし負けて連戦は・・・きついだろうな。


地力は“DD-stars”・・・勢いは“ドラゴンディセンダント”・・・。


先鋒戦は時間通りスタートした・・・四肢が光り輝くジェニファーとフルプレートの纐纈君か・・・スピードと防御の戦い・・・いいカードだ。


当然ジェニファーが相手なのだからスピードバトルになる・・・纐纈君は一度相手を見失うとどれほどダメージをもらうか分からない。

モニターで見ているため情報量が少ないが、序盤は互角か?


これは降魔十傑の纐纈君が弱くなったのではなくてジェニファーが強くなっているのだ。高成弟も倒していたからな・・・それにこの2人は元チームメイト同士・・・やりにくいかもしれないな。


紙コップのコーヒーみたいのを飲みながらアフロがモニター前に戻ってくる。

「そうそうアフロ。いっこ聞きたいね?」

「キエ~!対戦表をなぜ先に出したかであろう?」

おおう?さすがだ・・・読まれてる、読心術でもできるんじゃないのかとたまに思う。でもいつも通り魔術反応はない。

一手先を読んでくるな・・・賢い奴との会話は面白い。


今日はいつにもまして冴えている・・・だが僕も負けてられないのだよ。

「ほ・・・ほほう、わかっているなら話が早い。僕も相手の選択肢を潰すことはやるけどさ。僕のは理詰めだ、対してアフロのは不確定要素を増やしている」

「考え方としてはカオス理論の応用だ、無秩序の中の秩序は予測できん」

「・・・秩序を求めようとする“DD-stars”をわざと無秩序の中に引きずり込んだ?」

「面白いではないか、もけ」悪そうな顔で続けろよという表情だ。


「結局、アフロの策にはまったか・・・先に対戦表をだすことで考える時間を増やした?複数の人間があせる時間が増えた?集団心理で遠隔視して覗き見る非道徳的選択は不可能に近かった、選択肢が増えることで逆に一つの回答に押し込まれてしまった?クジで“DD-stars”が順番を決めていたら間違いなくうちは負けていたろうね?中堅に不知火玲麻と姫川樹奈が来るのは理論的には最も低い選択・・・長いこと考えて議論して正しいはずの推論に結果はついてこなかった・・・わざとパラドックスに陥いらせた?」

「同じことは2度おきんのだ。もけ。検証は不要であろう」

ニヤッとコーヒーをすすっている・・・なんや嬉しそうやな・・・。


こいつ全寮制の中学で始めて喋って3分で天才だと分かった・・・世界のすべてを憂えて達観していたのだ。そして姿勢の良いアフロは言った・・・会話できる奴に初めて会えたと。世界を儚んでいた僕とは気が合ったのだ、最初から。


モニターでは歓声の中、先鋒戦・・・大詰めだ。


予想以上に強いジェニファーに対して纐纈君は煮え切らない・・・“武神モード”を使いたいが・・・おそらく“ホーリーライト”戦に残したいのだろう。

一瞬の迷いが勝敗を分ける・・・。ジェニファーのクイックネスは研ぎ澄まされている。

悩んでいるうちに連続技を喰らっている・・・。


大津留ジェニファーの勝利だ・・・すごいな降魔六学園十傑の10位である高成弟と5位の纐纈君を撃破してしまった・・・会場はどよめく。


「強い人ですね、そしてまっこと早いです・・・」今日から参入している茜さんがモニターにつぶやく・・・ギリギリ引き分けた纐纈君をあっさり倒してしまったからな。


・・・そして次鋒戦が始まる。

ロミオ対カンナだ・・・この2人も“ゴールデンアイ・スチールレッグス”戦で一緒に戦ってたな。2人ともいいもの持ってるけど、ちょっとぬけてるからなあ。


武野島環奈さんはさっきの青木君の抱きつきショックから回復してればいいけど。


さあて僕も水でも飲むか・・・控室は革張りの長椅子もあるし、奥には無料のドリンクが置かれているのだ・・・さすがは全国大会だ・・・全部タダなんて、何か持って帰れるものはないだろうか。


あ?スポーツ飲料っぽいものもある、こっちにしよう。

おや茜さんが着いてきている。

「何か飲まれますか神明さま。あと3戦ですね。茜はまさか全国大会に出れるだなんて本当に驚いてまして身が引き締まる思いです」

「あ、自分でやりますから・・・すみません、昨日まで全然気づいてなかったです」と言ってるのに紙コップにスポーツ飲料を注がれている、毒を入れているとは思わないけど。

あれ?茜さんと2人っきりじゃないか、僕は知らない人は苦手なんだよね。とりあえず謝っておこう。

「すみません、すみません」「これくらい当然やき」時々方言がでてるな。


ああ、会話が続いてしまう。

「そう自分からお願いしていたんです。ご迷惑だけはおかけしたくなくって」

「それはそうと春の六道召喚記念大会のころからずいぶんレベルアップしてますよね?」

「はい、第二部の方々のところに身を寄せまして、ご一緒に練習をさせていただきました―――」

なるほど由良のところでレベルの高い練習をしていたのか・・・。


少しZ班第二部のことを聞いておいた。

「そんな遅くまで練習を・・・?」

あの第4高校のもと牝悪魔の親玉の由良サマがねえ・・・。


「じんめちーゃん、何してるの~?次鋒戦終わりますよ~?」

「はいはい、行きます」タイガーが呼んでいる。


次鋒戦は予想通り・・・ロミオがカンナの魔装武器と魔装鎧を破壊したようだ。“空破拳音叉歪曲”でカンナの衝撃波は避けつつ・・・よくやったといいたいところだが。

ここでカンナはやっと気づく・・・掴んで殴れば勝てることに・・・。

自力はカンナが圧倒的に上なのだから。


最後はカンナはロミオに馬乗りになり殴りまくって決着となった。


2人とも能力は高いんだけど・・・。これで1勝1敗か。

「アフロ、この2人は天然だよね」

「キエ~貴様もたまに・・・であろう」

「ええええ?」



―――中堅ダブルスだ。

ハオ・ランとズー・ハンのペアと戦うのは藤崎と黒川のペアだ。ああこの子も黒川って名前か、紛らわしいな。

どっちも近接戦闘スペシャリストと遠距離戦闘のスペシャリストのコンビだ。


TMPAも肉薄してるし接戦になるだろう。


さすがにハオ・ランも自爆技使わないだろうし・・・さっきは相手が“ホーリーライト”だったから命をかけたのか・・・?よくわからないが。

ただ・・・命を捨てる覚悟の自爆技が失敗したのは精神的には残るだろう。

そういう意味では藤崎と黒川ペアが有利か。


・・・戦闘は予想通り接戦だが・・・黒川って女生徒、強いな。秋元未来以外にも闇属性がいるなんて。しかもかなり上手い・・・あんなに覗いていたのにこの女生徒は見た覚えが無い。

・・・情報が欲しいが霊眼使わないと何にもわかんないな。


星崎さんに端末で調べてもらうと・・・黒川真由紀(くろかわまゆき)という2年生のようだ。遠距離特化型の黒魔術の威力もさることながらすべて範囲攻撃だ、うまくハオ・ランたちを同時に攻撃している。来年あたりすごい使い手に成長しそうだな。


やっぱりな。黒川真由紀たちの勝ちか。これで“DD-stars”の2勝1敗だ。


みんな、どちらが勝つか分かんなくなったとか言っているけど・・・。

「まあどっちにしても勝負はもうついてるね」

「キエ~、予想を述べよ。もけ」

「副将戦は秋元未来と姫川樹奈のバトルだけど・・・未来が勝つね、1分2秒前後で。ついでに大将戦は葵とレマで、3分過ぎに葵が勝つ。能力をいかんなく発揮してくれればね」

「ほほう・・・その通りであろう、とういわけで30分ほど仮眠するのでな」

(まじかよ・・・内容の予想は聞かないのか?それと結果見ないのか・・・)



―――副将戦は予想通り未来の勝ちだ、時間も1分過ぎだ。未来の術は闘技結界内すべてを攻撃できるものがあるし、あの変な幽体は氷樹の攻撃をすり抜けるし“アイスエンプレス”姫川樹奈は対処できず完敗だった・・・うん、ほぼ予想通りだ。氷樹界はすごい技だが・・・対策を練られるとなあ。


―――続く大将戦もだ、雷神と呼ばれるレマと炎の暴君と最近呼ばれる葵は互角だが・・・葵は攻撃を食らうたびにTMPAが上がっていく―――多分ドラゴニックオーラのためだろうが―――そんな状態の葵は後半になると手が付けられなくなる・・・メチャクチャに強くなるのだ・・・レマの完敗だ。


モニター越しでも、ものすごい歓声と悲鳴が聞こえる・・・。


観客席では桔梗以外にレマが負けて悲鳴が起きているだろうけど・・・それが事実で現実だ。

しかし僕が倒した時って何故かすごく静かなんだよな・・・まあ観客から嫌われてるんだろうな。


さてこれは第3高校においては重要な結果だ。


つまり“ドラゴンディセンダント”がここ2年ずっと全国団体戦準優勝していたチーム“DD-stars”を下してしまった。これで第3高校最強チームも入れ替わったわけだ。

「まじかよ!おれっち達がやっと倒した“DD-stars”がよ、負けちまったぜ!第6試合ってこことやんのかよ」確かに強敵だ・・・対策は・・・できているのだろうか。


うーん、アフロは寝てていいのか?


モニターではところどころ青い髪の如月葵がアップに映し出されている。

自信に溢れた表情だ・・・すこし落ち込んでいたらしいが復活したのだろうか。


第4試合が始まるまで少し時間がある。


2人の解説者が試合の見所や次の試合にでる選手についてコメントしている。

「―――次の試合ですね。どこまでこの絶対王者といえる“ホーリーライト・ザ・ファースト”にくらいついていけるかですね。勝負になりますでしょうか?」

「そうですね。特にこの西園寺桔梗選手が入ってから“ホーリーライト”は数年間、一敗すらしていませんからね」

「ひょっとしてが起きる可能性はありますでしょうか?」

「まずないでしょう。まず一つ先鋒戦を取らないと、このえーと“王下竜騎兵団”チームには勝機はないでしょうね、つまり―――」


「―――なるほどリズムを作れるかどうかということですね―――」

「―――“ホーリーライト”は選手層も厚く―――」


うん、大したこと話してないな。

そして“Z班”はすごいな。飽きっぽい素人連中だからな。

ハゲの青木君は何か携帯端末でゲームを始めたようで、星崎さんは優雅に紅茶を飲みつつ携帯をじっと見ている。アフロは熟睡中・・・。アホの子のオールバッカーは真面目な顔をして何か困ったフリをしているようだ。

ダイブツくんは・・・何をしてるんだろう・・・天井を向いて手足をバタつかせている・・・まあ、元気そうだ。

また?・・・村上君はまたトイレに出ていった。?茜さんは掃除してるみたいだ。

そしてタイガーセンセは何故か密着しつつ僕の肩を揉んでいる・・・。


おまえら・・・緊張感というのものが・・・。


「―――というわけでまあ次の試合は“ホーリーライト”の全勝になるでしょう―――」

「なるほど―――」


この解説者たち大丈夫か?

“Z班第二部”のポイントゲッターである花屋敷華聯は“神の目”で戦闘を先読みして今までほとんどの試合をノーダメで勝ってるし。実は城嶋由良さんの成長スピードとポンテンシャルはトップクラス(また悪いこと始めないといいけど)。プリン西川は数値上あの高成弟と互角・・・。あとあの2人・・・ガリバー兄弟は・・・えっと・・何か変だし・・・学ランだし・・・とにかく予想外だ。


つまり・・・そんな簡単な試合にはならないよ。“Z班第二部”は手強いぞ。

「そういうわけで次の試合見ものですよ、先生」

「向こうに個室があるからそこでマッサージの続きをしよっか?あきら?ね?」


「・・・続きとか、しません」


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