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ドラゴンディセンダント  作者: ドクターわたる
竜の召喚士
53/265

2-13-5. インターハイ全国大会⑤

―――1時間ほどして2戦目は空ヶ丘北高校のチーム“孝宗訓佳”だ。

相変わらずアフロは黙ったままだ、瞑目というのだろうか。


先鋒戦は―――またダークアリスを使うのか。アフロ?回復しきってないぞ。アリスは安静にした方がいいレベルだ。相手は・・・大井研吾・・・竜族TMPA30500くらいの向こうのチームのポイントゲッターだ。ラージシールドにハンドアックス、物理攻撃特化型だろうが召喚戦士としてのバランスはいい。TMPA24500のアリスにはキツイ相手だ。ほぼ勝ち目はないと言っていい。

さっきアリスには“結衝一現”という技を教えたが、それでどうこうなるような相手じゃない。


大井研吾は身長180㎝程、体重91Kgといったところ。ダークアリスは身長は張り合えるが体重は全然低い。ぶつかれば吹き飛ばされるだろう。相手の属性は風、サブで火・・・属性もバランスいい。


さて戦闘開始だ。今日初めてきちんと戦闘を見る感じだ。だってこいつら何故か戦う気満々だし。


ダークアリス、かなりのスピードで接近だ。取り敢えずキック一閃・・一撃入れる気だ、相手はラージシールドもあり。素直に入ると思えないが。


おや?

掠ったな・・・アリスのハイキックは大井研吾のフルプレートの左肩に軽く入っている。2人ともフットワークは軽い。アリスは相手の左側に回り込む動きだ。


うん?アリスの曲線の動き・・・さっきはできていなかったのに。寝ている間にイメトレしたか。いや悪くない・・・相手の盾側に回り込むのもセオリーとしては合格だ・・・知っていた?感か?偶然か?


大井研吾のフェイントまじりの軽い攻撃。ちゃんと見てから避けているな。悪くない・・・相手との距離感はオールバッカ―よりもいい。というか天性のものかもしれない。


あれ?・・・今まで僕は彼女をきちんと見ていなかったのかもしれない。


・・・成長してる。木属性は早熟といってもとんでもない早さの成長だ。グロウスエッグなしでTMPA24500だからな。いやいやTMPA25000超えてるな・・。

そうか強さを渇望していたのは僕だけではないのかもしれない。アリスの理由はわからないが成長する、強くなる、生きる思いは真摯な強さがある。


試合は大井研吾に押されている。リスクとリターンの兼ね合いが悪いのだ。

ラージシールドの上から何発入れても大したダメージにならない。


ザシュ!


お!

また避けた。

さっきアリスに教えた技“結衝一現”だ。衝撃をまとうキックというわけだが、ほんの一瞬だけバリアーになる。敵のある程度までの攻撃を弾けるのだ。この攻撃はダメージは少ないが食らえば相手はのけ反りやすくなる。大井研吾は魔法攻撃は苦手なようだがそれでも魔法は使ってくる。

その魔法攻撃をギリギリのタイミングで弾き飛ばしているのだ。大したセンスだ。


だがまあ大井研吾は百戦錬磨・・・。経験はアリスの遥かに高みにいる。


アリス・・・君の敵は優勢勝ちなんて狙ってない・・・仕掛けて来るぞ・・・。それを教えてやることは結界の外からでは残念ながらできないが。


小競り合いを続けた後、不意にラージシールドを前面に押し出して突進してきた。アリスは“結衝一現”で弾こうとするが同時に大井研吾のラージシールドからも衝撃波が出た・・・相殺だ。大井研吾はそのまま密着してハンドアックスに一瞬で魔力を集中させて“四条閃”の変形技だ・・・かなりのスピードで4回攻撃を行う、早すぎてアリスにはハンドアックスの切線が見えているかも不明だが。攻撃を受けたダークアリスは白い鎧を引き裂かれつつ後ろへ吹っ飛んでいく。


おお!

・・・しかしよく後ろへとっさに飛んだなアリス・・・、白い長衣の魔装鎧はズッタズタになったが、ダメージも少なくないがクリーンヒットすれば試合終了になるところだった。


まさしく隙の無い武人・・・大井研吾は立ち上がりつつあるアリスに迫る。

態勢の悪いアリスは立ち上がらずそのまま後ろへさらに移動・・・獣のような動きだ。悪くない。


勝機と見たのだろう、大井研吾はさらに加速して追い詰める。


ザシュ!!


“結衝一現”をアリスが放つ・・・。

敵にでは無くて真下に・・・。


これがもう一つの撃ち方だ。範囲は狭いが自分の周囲の物を宙に浮かせる技だ。必殺の一撃を入れようとしていた大井研吾のラージシールドは機能していない。大井研吾の攻撃は文字通り空を切り彼の身体はほんの2mほど浮かされた、ダメージはない。


バランスを崩した相手の首筋に背中側から・・・。


ズッシァ―――!


アリスのタイミングばっちりのあらん限りの魔力をまとったハイキックが直撃した。かなりの分厚さのフルプレートの頸部付近が一部破損するほどの一撃だ。今度はアリスの番だ。転げまわっていく大井研吾に襲い掛かる。

しかしすでにラージシールドを構えて迎撃態勢だ。受け身も上手いな・・敵ながら。


格上に一撃返した・・・能力差を考えればここでアリスは試合放棄でもいいくらいだが、気迫が全く衰えない。

・・・特攻隊長って本当だったのだろうか。


アリスは相手のラージシールドの上端を掴んで・・・上から下に蹴り降ろす!

かなりのスピードと攻撃力の右キックだ。


お!アリスの攻撃は相手の武器破壊が目的だったようだ渾身のキックはハンドアックスに当たり、大井研吾の武器は闘技場端に飛んでいった。

敵のハンドアックスは右手首に革のようなもので繋がっているが蹴りちぎりやがったのだ・・・本当に召喚戦闘初心者か?

そのままラージシールドの端を持ったまま相手の頭部に右足で連続スタンプ攻撃だ。


これはどう考えてもまずい選択だ。


ズン!ズン!ズン!


冷静に大井研吾のラージシールドが衝撃波を撒き散らしている。そのたびにアリスの長衣は跳ね上がり千切れていく。

しかしアリスもキックするのを止めていない。


ギン!ギギィン!!


「があああああっ!!」

「はぁああああああああああ!!」


なんなんだこの2人・・・命がけだとでも?


もうアリスの両手の指の腱は何本か部分断裂しているだろう・・・抗術は教えていないのだ・・・まあ教えても攻撃と同時に防御抗術を発動するのはそれこそ熟練の戦士になる必要があるが。

それでもアリスは相手のラージシールドを離さないか・・。

ダメージはアリスの方が上だがこれほど接戦に持ち込むとは・・・。


大井研吾は一瞬の隙をついて右手でアリスの右下腿を掴んで風属性の圧縮攻撃だ。


・・・いつの間にか立ち上がっている僕はアリスの評価を変える必要がある・・・そうボンヤリ思う。


ブツ!!

アリスのアキレス腱が断裂したようだ

・・・大した戦士だ・・。アリス。君は大した戦士だ。


そのまま気迫が爆発しているアリスは大井研吾の首に両大腿を巻き付けて締め上げる気だ。アリスは痛みで攻撃が緩むことはない。締め上げるのはフルプレートの上からで無茶だが・・・。

・・・アリスは初心者扱いできない・・・死に場所を自分で決めることができる一人前の戦士だ。


そのまま大井研吾はラージシールドから衝撃波をズンズン繰り返す。

アリスは教えていないのに挟んだ大腿の内側に“結衝一現を”繰り返し展開している。

・・・ナイスファイターだアリス、脱帽だ。大したものだ。


なんでなんでなんで・・・こんな熱いんだ。


両者ともズタズタだ。2人とも瀕死だが…お互い攻撃をやめない。2人ともなんなんだ。カタキ同士でもないのに。戦う理由は僕には分からないがアリス・・どこまで計算しているんだ。


・・・その一瞬後でやっぱり・・・大井研吾・・・気絶だ・・・。


大したものだ。アリス。全国大会は昨日から5戦全勝・・・経験を考えればほとんど全員はるか格上だ。格上にその選択肢の少なさで確実に勝つ・・か・・・。気迫も大したものだが・・それより。


・・・いやいい戦士だ。尊敬するよ黒川有栖。僕は格上の桔梗なんて2度とゴメンだし。いやいや凄いね。拍手したいくらいだ。命を賭けたいい勝負だ。


最期の大腿での相手の首の絞め上げも良かった。破損した相手の魔装鎧の破片を上手く使って相手の首に押し付け締め上げたのだ。偶然とはもう思わない、ビギナーズラックではとても説明つかない。

フルプレートが破損していなければとても気絶させられなかっただろうが。


「・・・ぜぇ・・・ぜぇ・・・・え・・・せ・・」

勝ち名乗りを上げたアリスが足を引きずりつつ、こっちへ戻ってくる・・・。

何ヵ所骨折してる?・・・靭帯も何ヵ所か千切れている・・・打撲・・・挫傷・・・重症だ。

いつの間にか僕は言った「アリス‼黒川有栖。大したもんだ。すごいよ」「・んぱいが。・はぁ・・なまえ・呼ん・くれた」そのままアリスは倒れて意識を失った。


集中打!霊眼で確認する・・・星崎さんはもう回復魔法をかけ始めているが・・・これはまずい。タイガーはもう大会医療班を呼びに行っている。

怪我だけじゃない、脳浮腫だ。脳浮腫が起き始めている。これは戦闘のダメージじゃない。主に魔力だが能力を使い過ぎたのだ。アリスは限界を完全に突破していた。最悪死に至ることもあるがそんなことはさせない・・・死なせない・・・覚醒抗術をフルパワーで使う。腫れている脳の圧力を逃がしてやるのだ。


・・・必ず助ける・・・必ず。


アリスを助けるために次鋒戦・中堅戦はほとんど見れなかった。

次鋒戦はオールバッカ―、惜敗だ。惜しかった、攻撃が空回りしなければな。

中堅ダブルスは、勝利。しかし時間がかかった。いらついた赤ノ巨人が鉄棒を投げ捨ててしまったためだ。

副将戦は引き分けだ・・・アフロめ、力を温存したな。

大将戦だ―――。みんなが戦う理由は分からないが取り敢えず今日は付き合おう、一人で観光にいくわけにもいかないし。タイガーが救急の人と話している・・・アリスは入院になったようだ、あのままだったら危なかったが・・・脳浮腫は恐らく数日で回復するだろう。

大将戦は開始のブザーと同時に僕が勝って終わった。




―――お昼はお弁当が配られるが普通、選手は午後試合があるときは食べないものだ。


みんなバクバク食べている・・だからさあ。

「くっそー、おれっち喰って力つけねえと、くそー!飯はうまいが!うまくいかねえ!」上手く言ったつもりか・・・?ダメ芸人め。

「運動した後のお弁当っておいしいですよね?ねえ?真名子の(身体も)おいしいですか?」

「今度呼び捨てにしたら回復しませんからね、今小さく身体もって言ったでしょ!セクハラ青木君!それにあなた固まっているだけで動いていないでしょう!村上くんだけです運動しているのは!」

「まあまあ星崎さん。僕たちは2人で勝っているわけなんですから。青木君をあんまり責めないでくださいませ。・・・うーん。でも・・・どうもそこら中の関節が痛くってです」

「キエ―――!だまって食わんか貴様ら!」タイミングいいな・・・さすがアフロ。

「しっかしよ、アフロちゃん。黒川は大丈夫かね、ヤッパおれっちがしっかりしねえと・・・」

だから・・・試合途中でなんでみんな食べているんだ・・・。生理的なバランスが変化するからスポーツ飲料くらいにしておかないといけないのだが・・・。

「もけ?黒川有栖は大丈夫であろう?」

「ああそうだね、数日の入院で済むだろう・・・けど・・・無理しすぎだ・・・。オールバッカ―、一つ技を覚えてもらうよ」(あんな戦い方見てられないからな)

「おおおおお!もけちゃん!マジ天使だぜ!すげえの教えてくれんのか?」

「使いようによってはね」使えるかなオールバカに・・・まあ仕方ない・・・あと。

「あと青木君にも・・・。それからアフロも。ついでに星崎さんを次の試合に出す気なら霊眼でもう少し能力をしっかり観察するよ」だれか否定してくれないの?次の試合なんて出るわけねえだろって?


・・・だれも否定してくれない・・・。


「もけ。すまないが頼む」まあそう言われちゃあ仕方ないか・。


霊眼でみんなにそれぞれ一つずつ術をイメージとして送って使用方法を説明した。


・・・今日アリスを見て思ったのは人は侮ってはいけないということだ。

この先短い人生で、だがハードルは高いであろう僕の人生、その僕が決してしてはいけないことの再確認になった。・・・侮ってはいけない、すべての生命を精神を・・・黒川有栖を。


Z班・・・みんな、成長期なんだ・・。通常の成長スピードじゃない。今までのある意味抑圧されたZ班はバネの様なものだったのだ、急速な成長を自分に促すのは自分自身だ。大げさだが求めしもののみが自己進化にたどり着く。自分に満足している者は成長しない。


「―――にちは。こんにちは。」

誰?紺色のバトルスーツ身長162㎝くらい・・・確か次に戦うチーム“残影”のメンバーだ、一人で来ている。爽やかにしゃべり、顔はにこやかでどこか親しみやすい感じを出している・・・つまり全く信用できない・・・劇毒物を持った刺客かもしれない。

「どうも。Z班部長です」

「いやあいやあいやあ。是非とも午後はいい試合をいたしましょうね。勝っても負けてもですね。みなさん。みなさん素晴らしいチームですね。わたくし感服いたしました。まあまあまあ素晴らしい試合で本当に感動いたしました。まさしく選ばれしもののチームといったところでしょう」うーんとってもニコやかで爽やかで・・・大嫌いなタイプだな。まあ僕は基本的に知らない人は全員嫌いだけど、女性はキライで男性はダイキライダ。

・・・確か“残影”の大将で部長のはずだが・・・なんの用だ?

「ああ、ああ、ああ、申し遅れました。わたしは“残影”の部長。田所伸司と申します。みなさま方と同じくですね竜族でございます。ではではではもし宜しければ神明全さん。ほんの少しお話しいたしませんか?お手間はとらせません。お互いに有意義な時間が過ごせることは間違いありません」

「お断りします」即座に返答してあげた。

なんだか大げさな人だな。

「えええええええ!まあそうおっしゃらずに。いやいやいやいや。あやしいものではございませんよ。祖父の代からいくつも会社を経営しておりますから。戦後、田所造船所からおおきくなりまして田所カンパニーと言えばお判りでしょう。ああああああ失礼、ご冗談でしたか・・・いやいや失敬。では少し向こうでお話ししませんか?神明殿。建設的なお話しがあるのでございます。竜王子様に仕える竜の戦士の方々も良しなに願います」ペコリと頭を下げている。

「お断りします」とさらに間髪入れずに僕は言った・・・そしたら彼はその場で転げまわった。


まあアフロが埒があかんから行って来いと言うので仕方なく、少し離れたとところで2人きりで田宮動物園の人と話すことになった。

「いやあ、よかったよかった。一瞬本気かと思いましたよ。お話というのはですね。もちろん午後の試合のことではございません。試合なぞ勝ったり負けたりするものでございますからね。あはははははは」

「はあ」

「はははっはは。しかししかししかし・・・ですね。いやお美しいですね。いやいやいや、男性と言うことは勿論存じております。わたくしもよく美しい顔立ちなどと揶揄されますがとても神明さまにはとてもとても勝てません。ほとんど女神でございます。まあまあまあ。我々は似た者同士だと思うのですよ。我が田所カンパニーはお恥ずかしいかな、ほんの少し落ちぶれておりまして。神明全さまもここだけの話し・・・鷺藤家の弟王子にやや押されておりますでしょうか?いやいやいや私は財界・政界に友人も多いですし是非友好関係を築きたいのでございます。上流階級同士の情報交換と助け合いの蜜月が必要なのです」

「はあ」

「ご一緒にパーティなどでればですね、わたくしも顔とスタイリッシュさには自信がありますれば女性陣が我々をほっておかないことは明白なのでございます。是非ご一緒したいと・・・まあこれは余談でございます。ビジネスのお話しをしたいのであります。あなたも多方面に才覚がおありだ。そうでございましょう?」

「はあ」何言ってるんだコイツ?

「―――まあよい関係を築きですね、お互いよいライバルとなれば。良い刺激がお互いにあると思うのであります。・・・西園寺桔梗殿を倒したすばらしい手技についても聞き及んでおります。その後一発ももらわずに全国優勝なさったとか。・・・おいくらかかったか存じませんが大した根回しをお持ちだ。つまり我々は似た者同士なのであります。今後、田所カンパニーもお役立てくださいませ。そういうわけで次の試合はいかがいたしましょう?審判の買収はお任せくださいませ。」

「はあ?あの。試合なんてどうでもいいんですけど」

「・・・なるほどなるほどなるほど。・・・さすがでありますね。試合に興味ありませんのでしたら、つまり別の物が欲しいという――――――――――――――――――――――そういうことでありましたら50本、・・・いえ100本で次の試合の勝利買わせて頂きます。そうですね。こちらの3勝2敗でいかがでしょう?」

「はあ?」謎が謎を呼ぶ・・・。


動物園の人だから・・・ニンジンかな100本って。ニンジンって一本いくらだろう?

ああ!ニンジンじゃない可能性があるか?

会話はさっぱりよく分からなかったが・・・というか全然聞いてなかったけど最後は分かったぞ。

買収する気だ・・・野菜で。野菜の種類によっては負けてあげてもいいな。


お金が欲しいんだけどな。



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