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従軍記者の日記 70

 静かに着地する嵯峨の四式とシャムのクローム・ナイト。

「シャム。そのまま待機していろ」 

「了解!」 

 わざとらしく敬礼する少女にクリスの頬は緩んだ。

「すいません、ホプキンスさん。右側のラックにヘルメットが入っているでしょ?」 

 嵯峨は帽垂つきの戦闘帽を脱いで操縦棹に引っ掛けると振り向いてきた。クリスはそこに奇妙なヘルメットがあるのを見つけた。頭と顔の上半分を隠すようなヘルメット。そして手を伸ばして持ち上げると、その重さは明らかに鉛ででも出来ているような重さだった。

「なんですか?これは」 

 クリスからそれを受け取るとにやりと笑ってそれを被る。

「まあ、これからの茶番に必要な小道具ですわ」 

 そう言うと嵯峨は愛刀兼光を手にコックピットを開いた。こちらに駆けて来る兵士達を見つめる嵯峨。

「嵯峨惟基!投降の目的を……」 

「誰が投降したって?あっちの連中と目的は同じだ。話し合いに来たんだよ。あそこの難民の引き取りだ!」 

 嵯峨はそう言うとそのまま四式の右手を伝って地面に降り立つ。

「おいおい、熱烈歓迎と言ったところか?あんた等の同盟国の文屋さんも乗ってるんだ。下手なこと書かれたくなければ銃は降ろした方が得策だな」 

 クリスはカメラを兵士達に向ける。

「写真は撮るんじゃない!貴様は……」 

「ああ、報道管制?あの騒ぎの写真は上から撮ってたんだ。共和軍の非人道的な……」 

 嵯峨の言葉に兵士達に動揺が走る。

「わかった。ではその刀を置いてもらおう。それに身体検査をさせてもらうからそのふざけた仮面を外してもらおう」 

 嵯峨が笑い始めた。彼の真似をして四式の右手に飛び移っていたクリスはその突然の行動を見つめていた。

「なにが可笑しい!」 

「いやあ共和軍の皆さんは勇敢だなあと思ってね。こいつを外して身の安全が図れると思ってるんだ。まあ、知らないってことは人を勇ましくする物だってのは歴史の教えるところでもあるがね」 

 嵯峨はそう言いながら歩み寄ってきた兵士に兼光を手渡した。

「そいつは慎重に扱ってくれよ。一応、胡州の国宝だ。傷一つで駆逐艦一隻ぐらいの価値が落ちるからな」 

 そんな嵯峨の言葉に兵士は顔を青ざめさせた。

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