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従軍記者の日記 37

「やはりこちらの行動はある程度予測してますか」 

 嵯峨はそう言うと皮肉めいた笑みを浮かべる。現在を表す地図には、彼の部隊の侵攻している廃村を示す星に向かい、エスコバル貴下の部隊が進撃を開始していた。

「やばいなあ」 

 そう言ってタバコをもみ消す嵯峨。クリスはその規模が中隊規模であることを確認しながら不思議に思った。

「勝てないことは無いですよ。まあ、間違いなくうちの馬鹿共が勝つでしょう。でもそこから先が問題なんだよね」 

 またタバコに手を伸ばし火をつける。

「がら空きの拠点を取るのに消耗は避けたいという訳ですか」 

「まあね。それに部下が死ぬのは散々経験しましたが、どうにも慣れなくてね」 

 嵯峨はそう言うと携帯端末を閉じた。クリスも立ち上がる。風が止み、高地独特の突く様な強い日差しが気になる。

「まあ、こっちはこれくらいにして援護に回りますか」 

 そのままタバコをくわえて伸びをする嵯峨。彼は四式の陰に向かって歩き始めた。

「さすがに日差しは堪えるねえ、帽垂でもつけるかな」 

 そんな言葉を言いながら準備が出来たクリスと共に四式のコックピットに乗り込んだ嵯峨。

「しかし、ここからだとかなり距離がありますよ。低空飛行で行くんですか?」 

「さすがにあれだけ派手にやったんだ、東和の戦闘機が警戒飛行しているでしょう。まあ少し時間は食いますが、ホバリングでなんとか間に合うはずですから」 

 そう言うとアイドリング状態だった四式のエンジンを本格始動させる。パルス推進機関の立てる甲高い振動音がクリスの耳を襲った。

「それじゃあ行きますか」 

 クリスがシートベルトをしたのを確認すると嵯峨は加速をかけた。森が続く。針葉樹の巨木の森が。嵯峨は器用にその間を抜いて四式を進める。

「まるでこういう土地で戦うことを前提にして造られたみたいですね」 

「そうなんじゃないですか?少なくとも四式はこういう使い方が向いていますよ」 

 嵯峨は軽口を言いながらさらに機体を加速させた。

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