恋する乙女と鏡の邂逅(300字SS)
第4回Text-Revolutions内有志企画、『第3回300字SSポストカードラリー』にて配布したSSです。
第3話と関連していますが、単体でもお読みいただける内容です。
鏡を覗いて「今日も可愛いね」と自己暗示をかけていたら、別人が映った。
驚いて顔や髪を触ってみたけどいつも通り。
変わったのは鏡の中のわたしだけ。――しかも、何故かあの男。
「そんなところで何してるんだ?」
うわ、話しかけてきた。
「アンタこそ何やってんのよ、勤務時間中でしょ」
少し嬉しい自分が悔しい。それを悟られないように仏頂面で答える。
鏡の中のアイツは珍しくにっこりと笑った。
「固いこと言うなよ、可愛い顔が台無しだぜ?」
……違う。
この男がそんなこと言うはずがない。言ってほしいと思ったことはあったけど。
「ふん、偽者ならもっと本物に似せる努力しなさいよね」
アイツは悔しそうな顔をして、元のわたしに戻っていった。
同人誌版『国王と七音の旋律 ~ムジーク王国記~』1巻の内容は、ここで終了です。
続きの更新は4/1の同人誌版2巻頒布開始後、しばらく期間を設けてからの再開となります。
それまでお待ちくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。