国王トーンによる登場人物紹介
俺はトーン。七人兄弟の長男だ。
父である前王は妃を他に持たなかったので、全員が正真正銘、前王と王妃の子だ。上は三十四歳(俺だ)から下は十六歳までの、賑やかな大家族である。上から順に紹介していこう。
俺の下に生まれたシャープとフラットは双子。
母曰く、トーンの次の子はヘオンと名付けようと思っていたらうっかり双子を産んでしまったとのこと。「うっかり」って。まるでいけないことみたいじゃないか。喜ばしいことには違いないと思うのだが、母は少し変わり者だったので仕方ない。
シャープは国を護る騎士たちをまとめる騎士団長、フラットは王立修道院の院長を務めている。二人とも若いのに優秀で、俺も鼻が高い。
で、次に生まれたのが待望の(?)ヘオンである。
非常に頭の回転が速く知識も豊富で、またその身に秘めたる魔力量が半端ないので、王立魔法研究所の要として日々研究に明け暮れている。だけど超クール。むしろ冷酷で無慈悲。他の兄弟のことを名前で呼んでくれない。俺も一日に十回くらい心を折られている。
……いや、分かっているんだ、奴が極度の照れ屋だということは。
その下がレミー、修道院のシスター。
我儘で自分勝手、楽しいと思うこと以外はやりたくないと口では言うが、時折優しくしてくれる時もあるという典型的ツンデレ。以前一人で魔法の練習をしているところをコッソリ見ていたら、見つかって激しくビンタされた。
確かに覗き見は良くなかったが、別に破廉恥なものでもなかったのにビンタなんてひどい。翌日大臣の誤解を解くのに必死だったのを覚えている。
そして、シド。
趣味は土いじり、庭木の剪定、肥料の運搬(それは趣味なのか?)。
国の農作物管理をしていて、本人もよく城下に降りて畑を耕し汗を流している働き者だ。弟の中では一番下なのに、精神的に一番老成している感がある。シャープあたりに見習ってほしい。
最後は末っ子ソファラ。
騎士団員、つまりシャープの部下にあたるが、兄妹揃って脳味噌筋肉。会話が噛み合わないのは、一番年が離れている女子だからという理由以外にある気がしてならない。だが素直で純粋で、真っ直ぐな心根の持ち主だ。
そして、事情があって預かっている、友好国の姫スラーは――
「兄さん、まだ起きてたんですか。……おやすみのキスは我々の写真じゃなくて、未来のお嫁さんにしてあげてくださいね」
やばい、フラットに見られていた上に抉るような角度から怒られた。
嫁か。……できたら苦労はしないのだがな。
第4回Text-Revolutions内有志企画、『キャラクターカタログ』に寄稿させていただいた、トーン紹介用の掌編です。
◆外見補足(※一人称小説で登場人物がほぼ身内なので、本文内での外見描写が希薄なため)
トーン:34歳。174cm。薄い金の短髪。瞳の色は兄弟全員ロイヤルブルー。マントは標準装備、王冠はつけたりつけなかったり。
シャープ:28歳。181cm。暗い紫の短髪。両耳に銀のピアス6つ。ガントレットとグリーヴは常に装着。
フラット:28歳。178cm。濃紺の髪は肩につかないくらいの長さ。丈の短いローブを羽織っている。
ヘオン:26歳。170cm。薄い水色の短髪で前髪はセンター分け。眼鏡をかけている。
レミー:21歳。161cm。髪は橙色で鎖骨くらいの長さ。シスター服。
シド:18歳。180cm。深緑色の髪を後ろでひとつに束ねている。何らかの園芸用品を持っている。
ソファラ:16歳。153cm。腰に届くほどの紅の長髪をポニーテールにしている。騎士団の一般的な隊服。
スラー:9歳。135cm。栗色の瞳と、同じ色の髪はハーフアップ。リボンのついたワンピース姿が多い。