嫉妬
死ぬ時なら一緒がいいでしょう?
貴方は怖がりなんだからっ!
私が殺してあげないとダメなのかな?
楽しみだなぁ。
殺せるだなんて!
私の大切な陸玖。
「何っ?どうして欲しいの?」
『縄を外せ!』
「まだ、物足りないの?」
私はマッチに火を付けて火を消すと身体に押し当てる。
苦痛に歪む姿を見ると嬉しくなってしまう。
彼は私の物だから誰にも渡さないんだからね。
愛し方さえ私は分からないからこれ充分よ。
私は狂っているのかしら?
『や、止めろ…!』
「まだ、虐めて欲しいの?こまっ子ね」
腕をナイフで軽く切る。
血がドロリと溢れ出て、それを舐めて笑う。
『お前は狂っている!』
「陸玖っ?嗚呼、なんて愛おしいの」
私は疲れて自分の部屋に戻った。
彼女は狂ってしまった。
ある日、急に俺を縛り上げて高笑いを漏らすようになってしまうように。
俺は我慢する。
痛みがヤバい日もあるが殴ってはダメ。
彼女の名前は恋歌。
「おい!なんだこれは!」
『えっ?縛っているのよ』
「離せ」
『無理よ。私は貴方の事を死ぬまで愛してあげるんだから』
あまりにも冷たい目で見つめるから喋れなくなる。
彼女は日に日に俺に暴力を負わせるようになりどうしょうもない。
鎖でつながれて歩けないし。
死ぬまで我慢かな。
私は彼にこんな事をしたくはないの。
でも、他の女の所へ行く夢を見て殺そうと思ったの。
だから、他の女の所に行かないように閉じ籠めたら大丈夫。
私は小さく笑う。
「おはよう。陸玖」
『恋歌…おはよう』
彼の目は笑ってない。
今日で最後にしようかな。
殺せばいいし。
殺したくない。
今はまだ、ダメ。
「私だけを見つめて…そして愛して!」
『そうか…いいけど』
態度が冷たい。
なんで?なんで?なんで?
私は嫉妬してる…。
そうか!夢に出て来た女をすべて殺せばいいんだ!
その日の夜、私は彼に関係する女を全て殺して来た。
「陸玖っ…死んで!」
私は陸玖にナイフを振り上げる。
悲鳴が聞こえる部屋で何回も刺して殺す。
『ああああっ!!!恋歌…』
荒い呼吸が響く部屋で私は我に返る。
返り血を浴びて赤くなった服を見て。
「陸玖…?ねぇ」
叫び声が部屋を鳴らす。
『恋歌…テメェ…』
震える手で頬を触る。
身体がかすかに冷たくなりかけていて生々しい。
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
私は今までの行為を悔やんだ。
なんでこうなったの?
『……恋歌…』
最後にこう告げて彼は死んだ。
頬から手が落ちて私は泣いてしまう。
「私も行かないと」
自分で首を切り私も息絶えた。