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紅蓮の艦隊 -the Great Battleship of Scarlet Fleet-  作者: OH‐
第一章:240年前の未来
4/14

第三話:主砲、斉射

ちょくちょく加筆及び修正することもあると思いますが

第三話、一応の完成ということで


長かった・・・精進せねば・・・


ちなみに今回はちょっと短めです

加筆により若干伸びました


まぁあまり変わりませんけど


次回予告は投稿の目処がつき次第にしようかと思いますが、

次回予告いりますかね?


「予告など要らんわ!!」という意見が特になければ今後も続けます、はい

戦闘終了───そう思った直後、急にアラートが鳴り、有本 僚はすぐさま回避行動をとった。

そこをミサイルが駆けていき《信濃》の方へと向かうが、CIWSの弾幕が阻む。

「───逃げたんじゃなかったのか!!」

大型の軍用航空機が二機───形状から、輸送機に見えた───が、反転して戻ってきた。位置や射角からして、先程のミサイルはそれから発射されたらしい。

その二機から、何かが複数投下された。

「あれは・・・っ!?」

《騎甲戦車》が、しかも四機落下し、地面に着地した。

だが、僚はそれに驚愕した為に反応した訳ではない。それらを見て、違和感を感じた為に反応したのだ。

「《BT-2》・・・《M2》・・・《ティーガーⅠ(アインツ)》・・・《スチュアート》・・・?」

目の前にある《騎甲戦車》の名前を一つずつ挙げ、その違和感に気づいた。

「ロシア軍、米軍、ドイツ軍、イギリス軍・・・?」

機体一機一機の国籍が全てバラバラだった。

しかもドイツ軍の《ティーガー》以外は旧式の機体だった。滷獲した機体を使用している、にしても不自然すぎる。

「何で・・・───って、それどころじゃない!!」

一回、連鎖的に浮かぶ疑問を止める。

あれ等を今、どうにかして食い止めなければならない───。

「だけど・・・装備が・・・」

頭部機関砲も肩部小口径ガトリングも、電磁投射砲も弾切れだった。

あとは腰に装備されたワイヤーアンカーと《迦楼羅》とかいうものしかない。

その時、ふと、とあるもののことを思い出した。

「───あった・・・まだ、ある!」

そう言って僚は、バック宙させることで自身の駆る機体《零式TOKM艦上戦闘機 試作型三号機》を“戦闘機形態”に変形させ、ある場所(ポイント)に向かわせた。


《信濃》CIC。

大型輸送機が折り返してくる様子を確認し、全員が唖然としていた。

その輸送機が、ミサイルを放ってきた。

「CIWS起動!

対空防御、急いで!」

いきなりのこともあって吹野 深雪が叫び気味に指示。柏木 優里はそれに応じて防空火器を操作しミサイルを迎撃する。

比較的近い距離で爆発したこともあり、爆風に煽られた艦橋が僅かだが揺れる。

「あいつら、逃げなかったの・・・」

「いや」

深雪が言いかけたことを途中で遮って、神山 絆像は否定した。

「逃げられなかったんだろう」

彼の言ったことに何かを感じ、深雪は大型輸送機の向かおうとした方向に目を向ける。

後方の山で、何かが光っている。

モニターで映像を拡大してみると、陸軍の高射砲群が砲撃していたのが確認できた。

「陸軍が仕事してる・・・」

「だが、それが海軍(こっち)側からしたら裏目に出ている。

・・・とんだとばっちりだな」

二人が話す横で「無駄話してる余裕があるなら指揮してください!」と優里は心の中で叫んでいた。

その時、主砲砲手席に座るクラリッサ・能美・ドラグノフが、何かにふと気付いた様に尋ねる。

「桂木さん、データベース開いてください!」

「クラリッサ、さん・・・?」

突然のことにポカンとしてしまうが、そんな彼女に対し続けてこう言った。

「あの輸送機(きたい)、ロシア軍のものじゃないです!」

言われて優里はモニター内で新しくウィンドウを開き、データベースを開いた。

「出ました!

大型輸送機は二機共《イルメン級》空中空母───え!?」

空中空母とは、呼んで字の如く空中に浮く空母のことである。より正確にいうと輸送機の発展型だ。サイズは流石に水上艦艇でいうと小型駆逐艦かフリゲート程度のものが限界だが、それでも母艦として最低限のことができる様にはなっている。

「《イルメン級》・・・?」

だが、優里が驚いたのはそんなことではない。

「フィンランド空軍・・・?」

国籍が違っていたのだ。

「一体、何で・・・」

その時、

「───《零》が!」

突然《試作三号機》がどこかへ飛び去った。

「《試作三号機》!

どちらへ向かうのですか!?」

急いで通信回線を開いた優里が、焦ったこともあってか若干叫び気味に尋ねた。

そしたら、

『武器の補充だと思ってください』

そう返ってきた。

その時、《イルメン級》の下を見てみると、四機の《騎甲戦車》の姿があった。

国籍が違う、しかも一機を除いて全て二世代近く旧式の機体。

「あの方角は・・・」

それに対し、主砲砲手代理をしているクラリッサ・能美・ドラグノフが反応した。

「・・・私が機体を捨てた位置───まさか!」

そのクラリッサの反応で、深雪は察する。

クラリッサが乗っていたらしい機体の武装を回収して使うつもりなのだ。

(・・・なるほど、考えたわね。

機体の腕部マニュピレーターを武器腕にしていなくて良かった、けど・・・)

最悪の事態を想像してしまう。

(《零》のフレームは、《騎甲戦車》のそれと比べて脆い。

さすがに数発で関節が外れるなんてことはないだろうけど、《騎甲戦車》用の火器ではブレでろくに当たらないんじゃ・・・)

全弾撃ち尽くしてしまい、終いには一方的になぶり殺しにされる姿を幻視してしまう。

(彼なら・・・彼が、(アタシ)の知ってる彼だっていうなら・・・できる・・・!

できるかもしれない、けど・・・!)

万が一、が怖い。

思わず、体が動いた。

立ち上がった深雪は、優里が突然のことに慌てながら「深雪、どこへ!!?」と尋ねるのに対し、

「艦載機格納庫!」

それだけ言ってCICを後にした。

「深雪・・・」

優里も、その彼女の背中を見送るだけしかできなかった。


その通り僚は、クラリッサの乗っていた《T-34 ソルダット》の元へと向かい機体を“兵士形態”に変形させ、アサルトライフルを回収する。

『《不明なユニット》が接続されました』

洒落た表示がメインモニター中央に出る。日本軍で登録された武装ではないのでしょうがないが、僚は知識でこの武装のことを知っていた。

《BAK-147》

ボルソーイ・アブトマットカラシニコフ───至極簡単に言えば《騎甲戦車》が扱う用に巨大化したAK-47突撃銃だ。

弾倉を確認する。

残弾0

やっぱりか、と思い僚は弾倉を交換し、人型の形態のまま《試作三号機》を飛翔させた。

「───ぐっ・・・!!」

当然、重くなる。

さすがに辛いか、と一人ごちりながらも、敵《騎甲戦車》に向けて飛んでいく。

発見、同時に敵機からマシンガンによる砲火を受ける。

「───危ないなぁっ!」

言って上空に飛び発ちながら、下向きにアサルトライフルを斉射。

AK-47を《騎甲戦車》用に大型化したアサルトライフルが、同じく大型化した弾丸を銃口から吐き出す。

レールガンより反動が大きい火薬銃であった為、機体のコンピューターによる反動制御が難しいが、下に撃ってるせいもあるのか、なんとかカバーできた。

機体が、思った以上にフィットする。

おまけに、かなり有利に進んでいた。

『《騎甲戦車》は地上戦に於ける平面的な戦闘に特化している』

かつて工学の教師が言っていたことを思い出した。

『だが、もちろん弱点もある。

戦闘機みたいな、立体的な機動をする相手には引けをとる』

実際そうだった。いかに高所を、しかも、いかに急角度で攻撃できるか、が《騎甲戦車》に於ける射撃戦での定石の一つとも言えた。それはつまり、単機で飛翔可能なこの機体の独壇場である。

真上からフルオートで撃ち、先に《BT-2》を黙らせる。

東ロシア帝国陸軍の既に退役したはずの機体で、クラリッサが乗っていた《T-34》もこの機体から派生した発展モデルの一つだ。

左腕に防御用の盾を装備している機体だったのもあり、長期戦になった場合厄介な為、真っ先に仕留めておく。

盾で庇われたのもあり、弾を切らしてしまったがそれまでにゴリ押しでだが倒すことができた。

今装填されている分の弾倉が空になるとライフルをその場に置き、倒した《BT-2》から対物ナイフ二本を手に取り、片方を《スチュアート》に向かって投擲、胸部に直撃させ一撃で沈黙させる。動かなくなった機体を接近してくる《M2》に向かって投げ飛ばし、もう片方のナイフを投げ飛ばした《スチュアート》に向かって投擲。

《スチュアート》のバックパックに当たり、機体は爆散。もう一機《M2》もそれに巻き込まれる。二機同時に葬った。

最後の一機《ティーガーⅠ》が接近する。

そこで僚は失敗したと思った。

この中で唯一の現役ということもあり、一番厄介そうな機体が残ってしまったというのに、もう武器は残されていない。

どうにかならないかと思い、飛翔しようとしたが───。

「───!」

突然アラートが鳴り、何事かとサブディスプレイを見て驚愕する。


推進剤残量10%

バッテリー残量28%


バッテリーこそギリギリ持つかと言ったところだが、推進剤は実質現在地から《信濃》に向かい着艦する分しか残ってない。

「・・・これじゃ───!」

ドイツ語で虎を意味する名を冠する機体ティーガーが、手持ち式の滑腔砲を向けながら迫る。

ロケットランチャーの様な要領で構えられたそれの砲口から火を吹きながら砲弾が発射される。

飛んで推進剤を消耗しない様に、ステップだけで弾丸を回避。

「くっ・・・!」

僚はこの時、ある違和感を感じていた。

いや。違和感の様なもの、という段階でなら、既に感じ取っていた。

それが今明確に感じられた。

なぜこの機体はここまでしっくりきているのであろう、と。

それと、もう一つあるが、それらを彼は思考の片隅に追いやった。

そんなことを考えてる暇があったら、目の前の《騎甲戦車(ティーガー)》をなんとかしなければ。

その時、

『───僚!』

聞き覚えのある声が響いた。


「くっ、応答しろ!

誰か出ないのか!?」

その頃、《ティーガー》に乗っていたパイロットは目の前の状況に、正直対応できていなかった。

「・・・翼の生えた《騎甲戦車》だと・・・!?」

その翼に描かれた赤い丸を視界に入れる。

「日本軍・・・!

いつまでも《騎甲戦車》を手にしないと思ったら、裏でこんなものを作っていたのか・・・!」

機体細部と、細かい挙動を見れば見るほど、違いが分かってくる。

かなり複雑な内部フレームが噛み合い、動き動かし合いながら稼動している。

ある意味《騎甲戦車》とは違う進化の系譜をした存在と言えた。

「だが、もう武器は無いはず・・・!

日本軍だろうと、邪魔する奴はここで倒す!」

そう言って滑腔砲を構えた直後、

「───なっ!!?」

どこからか飛んできたロケットが砲身に直撃し、手から得物が弾き飛ばされてしまった。

「どこから───!!?」

飛んできた方角は、《信濃》の後部甲板のあたり。

モニターの映像を拡大し確認してみると、そこにはもう一機の『翼の生えた《騎甲戦車》もどき』がいた。

それを確認した直後、機体が激しく揺れた。


数刻前。

『《零式TOKM艦上戦闘機 試作型四号機》


SYSTEM GREEN ZONE


TAKE OFF STANDBY』

深雪の目には、起動する《試作四号機》の画面が写る。

起動を確認するなり、深雪は《可変機構制御装置(モードシフトレバー)》を使用し機体を“兵士形態(ソルジャーフォーム)”に変形させる。

「くぅっ!!」

《試作四号機》は起動するなり、警報(アラート)を鳴らしまくる。「あーもうっ、鬱陶しいっ!」と毒づくが、無理もなかった。


電磁投射砲 残弾0

小口径ガトリング砲 残弾0

近接防御機関砲 残弾0


そんな状態で起動した為だ。

電力と推進剤だけは100%の状態だったが。

当然こんな状態では戦闘など不可能。とはいえ、元より戦闘する気など無かったが。

「試作品だけど・・・!」

大きめのロケットを二つ担ぎながら、エレベーターに乗り飛行甲板に運ばれると、その内の一つをカタパルトに装着した。

そして、《試作三号機》の方に向ける。

「僚!」

通信を入れると、僚が驚く様な反応を返した。

『なんであなたが・・・?』

「御託はいいから受け取りなさい!

試作品だけど、手持ちの武装!」

そう返した深雪は、カタパルトを起動させ、ロケットを射出した。


《信濃》から射出されたロケットが、《ティーガー》の持つ滑腔砲に当たりそれを吹っ飛ばす。

動揺したのか狼狽える《ティーガー》に対し突撃を噛まして押し倒すと、《試作三号機》にロケットを開けさせ、中に入っていた短機関銃(サブマシンガン)型の火器を掴ませた。


《石火矢》

内容量60/60発


確認した僚は引き金を引いた。

《石火矢》を連射する。

だが《ティーガー》の装甲を撃ち抜けない。

というか当たる度に弾かれている。良く見てみると発射されている弾丸はパチンコ玉くらいの鉄球にしか見えない。

「なにこれ、使えなっ!」

それでも、頭部のカメラを破砕するだけの火力はあった為、目眩ましには使えた。勿論、当てた為に判明したことなのだが。


《石火矢》

内容量0/60発


弾が切れたということもあるのだが、何より使い物にならないことを理由に、僚は使いきった《石火矢》を置いて対物ナイフ二本用いた接近戦に移行した。

ナイフがあるだけ近接の方が部があると、そう思っての選択だった。

だが、《ティーガー》も負けじと殴りかかってきた。

「───くっ!!」

決して速くはないが遅くなく、なおかつ破壊力のある一撃をなんとか回避するも、一撃を避けてはまた一撃が来る。攻めに転じることができない。

その時、対峙していた《ティーガー》が突然後方に倒れた。

仰向けになる様な感じに。

「───っ!!?」

起き上がろうとする《ティーガー》。だが、機体の片足が倒れた際の負荷に耐えきれずに関節を損傷しスパークを放っていた。

それが、二機(ふたり)機動兵器(せんし)の命運を分けた。


一瞬、凄まじい衝撃がコクピットを襲った。

「───なんだ!!?」

それと同時に自身の乗る機体が後ろに倒れていくのがわかる。

「なんで、そんな・・・!!」

重心移動は完璧だったはずだ。なのになぜ倒れた。

そう思った直後、メインモニターの端に映った左脚脹脛部に、対物ナイフが刺さっているのが見えた。

「いつの間に・・・───!!」

そこに気をとられたのが、運の尽きだった。

「───ッ!!?」

次の瞬間には、メインモニター中央より若干右に逸れたあたりから、対物ナイフが貫いてきた。


《ティーガー》の胸部に、迷わず対物ナイフを突き刺した。

四機いた《騎甲戦車》を全て殲滅する。

「これで、全部か・・・!!」

上にいる大型機を何とかできれば全て終わるはずだが、自分はどうしようもない。

そこで、僚はふと《ティーガー》の左脚部に対物ナイフが刺さっているのに気が付いた。

それは、支給されたものではない。恐らく別のところからどういうわけか飛んできたものだ。

その先は───《信濃》後部甲板。

「・・・そうか!」

《石火矢》を拾い、《ティーガー》の胸部から引き抜いた対物ナイフを《石火矢》に銃口から装填した。

あと、仕方がないので電力消費を押さえる為にディスプレイを切ってコクピットハッチを開放する。

その状態で、出力を最大にしてその場から一機に向かって射撃した。


射出された対物ナイフが、《イルメン級》の一機(かたわれ)の右翼を穿った。

着弾したあたりから煙が上がる。

当たった方の機体は段々と軌道が逸れていく。

「よし!」

もう一発撃とうとして、もう一本の対物ナイフを装填する。

そして《石火矢》を構え撃とうとしたその時、

「───っ!!?」

けたたましいアラームがなり、直後にコクピット内の灯りが消えた。消えたとは言っても、ハッチを開けている為、明かりと脱出法については特に問題は無かったが。

直後にだんだんと機体が後ろに倒れていくその様で、僚は悟った。

バッテリーが、切れた・・・。


《信濃》CIC。

色々と焦っていた。

「《試作三号機》・・・バッテリー切れにより、沈黙。

もう彼は、戦えません・・・」

優里が各員に伝える。

『いえ、まだよ!

まだ諦めるのは早いわ!』

無線越しでだが全員を鼓舞する深雪。だが、現状は芳しくない。

「左舷副砲、一番、二番、四番、残弾0。

三番、五番、残弾・・・各二発。

・・・一射で仕留めるのは、さすがにきついぜ・・・」

優里はふと、レーダーを確認した。

と───、

「───敵《イルメン級》一機、なおも接近中!

これは・・・追突コースです!!!」

「させるかよっ!」

吼えた武彦は引き金を引く。

副砲から吐き出された徹鋼弾が敵機の胴体を穿つ───筈だった。

「───なっ!!?」

その装甲はかなりの強度があるのか、弾丸が易々と弾かれた。

「何故砲弾が通らない!?」

「電磁装甲・・・」

驚愕する武彦の横で、クラリッサが呟いた。

「レールガンの技術転用で、表面に磁気を纏わせることで金属製の武装による物理的な攻撃を受け流す装甲です。

砲弾どころかミサイルですら受け流されてしまいます・・・。

あれを突破するには・・・非金属製の砲弾か受け流し切れない程に強力な一撃を与えるかしかありません・・・!」

「はぁ!!?

んなチート装備積んでやがるのか・・・」

驚愕のあまり、武彦は呆気にとられる。

「このままだと・・・やられるじゃないか・・・!?」

そんな中、バッテリーが上がった《試作三号機》はまるで子供が空を眺めているかの様に尻餅をついている。

だんだんと接近してくる敵機。

「敵との距離、2000メートルを切りました。

高度、方向、直撃コースのままです」

現状に絶望しきって、CIC要員は全員動けなくなってしまっていた。

───若干二名を除いて。


その頃、最重要防御区画(バイタルパート)深部の一画、《動力区》にて。

「おいおい、こりゃまずいぞ・・・!!」

甲板上の様子が確認できるモニターを見ながら、獅子谷 聖が戦慄に近い反応をする。

ベテランの応急修理要員(ダメージコントロール)とは言え、流石にこれ程の質量による特攻は狂気を通り越した恐怖的なものが感じられる。

そんな時、香坂 狼牙が吼える。

「この戦艦(ふね)が簡単に沈むもんかよ!!」

「いや、ドックにいるんだから沈まんだろう・・・」

冷静に突っ込む聖。だが、次にこう付け足した。

「ここならまだ安全だろうが、艦橋(うえ)がヤバイな・・・」

その時、二人はあることに気がついた。

本艦の主機《六号三型艦本式核融合炉》が、下火状態で稼働させていたものだったのが、本格的に稼働し始めていた。

「なんだ、こりゃ・・・!!」

「これ、まさか・・・!!」

狼牙が単に驚いたのに対し、聖はあることを察した。

「まさか、主砲撃つ気じゃ・・・!!」

副砲程度なら、下火状態程度の出力で十分稼働できた。

だが、主砲は───。

「・・・まさか、な」

フル稼働、とは行かずとも下火程度では一基どころか一門すら難しかった。

少なくとも、今装備されている主砲だった場合は。


現在CICにいるメンバーでただ一人、クラリッサだけ動いていた。

正確に言うと二人、絆像とクラリッサが動ける状態であり、絆像は動かずにとある仕事をしていた。

───ニューラルリンケージ、接続準備完了───

絆像の脳内に、謎の音声が流れる。周りの誰にも聞こえていない。

「シンクロ開始」

軽くそう呟く絆像。無論その一声は小さく、ここに居る者達には誰も聞こえていない。

───ニューラルリンケージ、接続開始───

彼の言葉に反応するかの如く、『彼の中で』声が響く。

───《信濃》が敵機の突撃を受ける確率、98.9%。その上、大幅な被害が出る可能性を提示───

またも、音声が響いた。

「その可能性を回避」

軽く呟く。やはりまわりにはほとんど聞こえていない。

───可能性の回避を選択。過去のデータ、及びシュミレーションデータとの比較結果。回避する場合、目標撃墜以外に選択肢はなし───

「主砲搭、一番から五番の武装ロックを解除」

───認証。主砲、武装ロック解除───

互いに、他人に聞き取れない声で応答する。


電磁装甲を撃ち抜くには、副砲では火力が足りなかった。

だが主砲なら、あるいは───。

そう考えるに至ったが、主砲は武装ロックされていたはずだ。

そう思ってはいたが、主砲の状況を示すモニターを確認すると、武装ロックがいつの間にか解除されていた。

ついでに主機も主砲全門を射撃可能とできるだけの出力を出している。

「これなら・・・!!」

操縦桿を掴む。直後、

「───ッ!!」

悪寒が彼女の身体を揺さぶる。

死神のそれの様な手が、彼女の腕を掴む様な錯覚をする。

その手は、彼女の手に重なり、引き金を引こうとする。

「い、いや・・・!」

いやな光景を思い出してしまう。

それほ、過去の記憶───彼女が《銀狼》と呼ばれていた頃の光景だった。

「こんなの・・・もう、いやだ・・・!」

クラリッサはその時、近くにあったとあるボタンを押した。そしてそのすぐ近くにあったヘッドセットを被り、マイクに向かって叫んだ。


《石火矢》の出力を最大にして、装填された対物ナイフを発射するが、それは《電磁装甲》に受け流されてしまう。

それでいて彼女は持ち手の(ナイフ)をもう使いきってしまった。

「くそ!

こうなったら(アタシ)が・・・!」

毒づいた深雪は、ある装置を起動させる操作をした。より正確に言うなら、そうなる一歩手前の状態にした。

それは。

「私が直接組み付いて、《ガルーダ》で・・・そうすれば、一機(かたわれ)くらいは・・・!」

そう言って、飛び立とうとしていたその時、それは聞こえてきた。


《零》のバッテリーが切れ、何も出来なくなった僚の元にも、それは聞こえてきた。

『Пожалуйста бросить больше!』

「この声・・・クラリッサ・・・?」

少女の、叫びが聞こえてきた。

この時は僚が知ったことではなかったが、本来なら『主砲を撃つ際、甲板上の乗員に余波で被害が出ぬ用に勧告する為』に備えられていた回線での通信だった。勿論、スピーカーを介した通信の為敵対組織へ警告する為にも使用できるが、まさか本当にその方法で使われるとは思わなかった。

『Я не хочу стрелять в тебя!』

ロシア語とされる彼女の言葉は、だが、微妙に雰囲気が違っていた。

ロシア語はさっぱりだったこともあり、正確になんと言っているのかは分からない。

『Прошу ли!』

だが、一つだけ、少なくとも僚には、伝わったことがある。

彼女は、今───。

『Я не хочу , чтобы стрелять!』

───泣いている。


「・・・来ないで・・・!」

クラリッサは、主砲を敵機に向けた。

───もうやめてください!───

仰角を微調整し、照準に捉える。

───私は貴方達と戦いたくないない!───

彼女の頬を、涙が伝っていく。

彼女は、主砲の出力を変え、最有効射程距離(クリティカルインターバル)の調整をし始めた。

───お願いします!───

彼女には艦船の装甲すら徹甲弾がなぜ跳ね返されたのか、もう一つある要因の存在を分かっていた。

あの機体の機首部正面装甲は円形、というか若干球形になっている。それの中心に上手く当てないと弾は受け流されて弾かれてしまう。

───撃ちたくない───

そこまで分かっていた上で、出力を可能な限り絞っていた。

ほとんど無意識で、やっていた。

「・・・撃ちたく、なんか・・・ないのに───っ!」

口から、言葉(ほんね)が漏れる。

次の瞬間、ピコン、という甲高い音が鳴り、五つのターゲットサイトが緑色から赤に変わる───それは目標を最有効射程内に捉えたことを知らせるサインだった───と同時に、

「───撃ちたくないって言ってるのにぃっ!!!」

絶叫しながら彼女は、引き金を引いた。



その瞬間───。


───《信濃》の主砲、46cm三連装砲の各砲門からスパークを放ちながら、青白く煌めく光が放たれた。


その一瞬、優里は主砲の武装ロックがいつの間にか解除されていることに気づく。


光の槍が当たると同時に、装甲の触れた部分を一瞬にして融解する。


そして、数少なくなっていたとは言え、残っていた燃料を一瞬にして蒸発させ、気化したそれに引火した。


目に涙を浮かべていたクラリッサは、そのまま泣き崩れる。


次の瞬間には、この大型機体は巨大な火球に包まれていた。


「うわっ!?」

ディスプレイの分のバッテリー消費を抑える為にコクピットハッチを開放していたとはいえ、かなり離れていた僚でさえ、その光が眩しく感じた。

十五門の主砲が放った光の楔が、一機を集中して穿ち、機体を貫徹した。

弾丸は機体を貫いたのち、さらに遠くに飛んで行き、消滅した。

そして、放たれた弾丸に穿たれた敵機は、一際巨大な火球となって消えた。

ほとんど一瞬の出来事だった。


もう一機、《信濃》の後方へ落下しながら《信濃》からは逸れていく《イルメン級》の一機は、近く及び下に何もない海面上で《榛名》《摩耶》及び《新造艦》の砲撃により破壊こそ無理だったものの直撃による速力低下───《電磁装甲》は攻撃を受けた際、磁力によって攻撃を跳ね返すのだがその際に護る対象にも反動が生じる為、方翼がもがれ出力が下がっていたが故に速力が低下したのだ───により、海上に不時着させることに成功した。

他の三隻には手を出し難い位置───直線上に市街地がある位置───だったが、そこは丁度《信濃》が右舷に持つ副砲の射角内で、かつ《信濃》の位置からだと直線距離上が海で何もないが故に撃つことが容易かった。

そしてそこで、ようやく来た浜松飛行場からの《九六艦戦隊》による背後からのミサイル攻撃と、《信濃》右舷側副砲群による曲射砲撃でどうにか破壊に成功し、《イルメン級》一機は海上に没した。


「・・・今度こそ、終わったよね?」

一瞬ホッ、とした僚は、直後に急激な何かが自分の身体の中に押し寄せてくる感覚を感じた。

「え───?」

身体中の、筋肉と呼べる筋肉が振動する。

突然、痙攣しだしたのだ。

「何・・・これ・・・?

一体何が・・・?」

ふと、何かの気配を感じて下を向いた。向いてしまった───。

「───」

そして、あるものが目に映ってしまった。

「───っ!!?」

倒した《ティーガー》の胸部。僚が対物ナイフを突き刺した、その傷口───そこには、紅い液体が付着していた。

僚は咄嗟にコクピットから這い出た。


《信濃》CIC。

クラリッサは嘆いていた。

「・・・撃ちたく・・・なかった!

撃ちたく、なかったのに・・・っ!」

慟哭、慟哭、また慟哭。

フラッシュバックする光景───政権から離反する者達や反対派の者達に対する、粛清。散々見てきた───もう見たくなかった、同胞達の亡骸。

・・・撃ちたくない。・・・撃たせないで!

散々願った。だが、撃たなければならなかった。離反者を庇えば反逆罪となり、自分が粛清対象となる───つまり、撃たなければ自分が後ろから、自分の味方だった者に撃たれてしまう、と言うことだった。

自分が生きるには撃たなければならない。

齢15の少女には、その宿命は幾らなんでも重すぎた。耐えられなかった。

だから、ロシア軍を抜け出して、僅かだが所縁のある日本へと逃げてきたのだ。

「なのに・・・なのにぃ・・・っ!!」

涙がポロポロと零れてくる。

どこに居ても、どこへ行っても、自分には戦うことしかできなかった。どう足掻いても、戦わぬという選択肢を神は許してくれなかった様だ。


その場で一度深く溜め息を吐いた優里は、主砲砲手席のところに向かい、咽び泣くクラリッサの頭を撫でた。

「ごめんなさい・・・。

・・・私、オペレーターのくせに人付き合い不器用だから、こんなこと言っても、気休めぐらいにしかならないと思うけど・・・さ」

口を開く優里。

「あなたに主砲を任せたのは、貴女に撃たせたくなかったのよ。

貴女を殺そうとしていたとは言え、人を撃つのは辛いでしょ。

それにこの艦の主砲、機密兵器だから撃ってはならなかった。

・・・でも、ありがとう」

そう言われ「えっ?」と反応するクラリッサ。

「あの状況で唯一動けたのは貴女だけだったわ。

貴女の行動で、ここにいる私や菊池さんも、みんな助かったわ。

・・・ありがとう」

そう言いながら、ボロボロと涙の雫を零すクラリッサの頭を「よしよし」する感じに撫でた。

「ありがとう・・・ございます・・・。

少し、気が楽になりました・・・」

クラリッサがそう返す。彼女は、自分の手で涙を拭う。

そして、優里に対して「えへへっ」と笑ってみせた。

「───っ!!」

そんな彼女の頭を撫でながら、

(───この娘・・・!)

一瞬前にあんなことがあった直後に場違いなことを、とは思いつつも、戦闘という緊張から解放されたことと重なったこともあり、

(可愛い・・・深雪なんかとは大違いよぉっ!!)

などと思って、目に涙を浮かべていた。


その横で、

「勝ったな」

勝ち誇る様な表情をする絆像。

そんな彼の顔に対し「おしぼりがあったら投げつけてやりたい」という感想を抱いた武彦。だが彼は口から出かけたそれを、

「ろくに活躍しなかった奴が何を言うか」

とだけ言って押し殺した。

二人は同い年、それでいて同期だ。互いに実力を認めあっている。故に階級が違えどお互いため口だった。

だが分からないことが一つあった為、ふとそのことについて尋ねた。

「そういやお前、何でこの艦に・・・」

「ん?あぁ・・・」

その質問に一度相槌を打つと、絆像はこう答えた。

「この艦の艦長を任された」

その答えに対し、一瞬思考が停止した武彦は少し考えた末、「はぁ!!?」という反応を返した。


その頃。

くしゃみをする深雪。

風邪を疑ったが、次のが出ることがなかったので気にしなかった。

五番主砲塔の隣を抜け《信濃》を降りて港に出た《試作四号機》は、《試作三号機》のもとへ向かった。

丁度そのタイミングで、《試作三号機》のコクピットから僚が這い出た。

しかし、次に僚がとった行動に深雪は困惑する。

コクピットから這い出るなり、僚は目の前に仰向けで倒れている《ティーガー》の胸元に立った。

彼女が「え、何事!?」と反射的に口走った時には、《ティーガー》のコクピットハッチを、対物ナイフを刺して開いたものであろう傷口から無理矢理抉じ開けた。実質的に対人用の威力しかないとはいえ《石火矢》の射撃にも傷一つ与えられること無く耐えた装甲を、生身でだ。のだが───。

「あ・・・、あぁ・・・!!」

コクピットの中身を見ている僚は、酷い表情をし始める。遠目だが、それがはっきりわかった。

「ち、ちょっと!

あれ、まずくない・・・?」

そう直感的に思った深雪は、彼の元へと急いだ。


胸部のコクピットハッチを抉じ開ける。

「あ・・・あぁ・・・!」

無意識に、声が漏れる。

反射的に自分の手を見る僚。顔から滴り落ちる汗や涙の雫が落ちる。

「僕が・・・僕が、やったのか・・・?

・・・こんな・・・こんな・・・───っ!」

落ち着けようと、すっかり夕方になっていた空を見上げ様とするが、顔が上がらない。体が言うことを聞いてくれなくなっていた。

そこに、もう一機の《零》が現れた。

「ちょっと!!

アンタ一体何やってんの!!?」

機体が起動している状態のまま、《零》の胸部にあるコクピットハッチが開く。

その機体に乗っていた深雪が、コクピットハッチが開くなり開口一番にそう言ってきた。


「アンタ・・・!!」

開いたコクピットハッチから、《ティーガー》のコクピット内を覗くことができた。その状況を見たことにより、ようやく彼の心境を理解した。

《ティーガー》のパイロットが、血塗れになっている。

ヘルメットのバイザーのせいで顔は判別できない。

身動き一つ、する気配がない。

「死んで、いるの・・・?」

言われた僚はハッとし、直ぐ様パイロットの首筋に手を当てた。

そして、驚愕に似た反応を彼女に見せた。

「・・・良かった」

彼の口から、その言葉が自然と漏れる。

そして、僚は、深雪にこう言った。

「・・・お願いします。

《零》、貸して貰えますか・・・?」

「え・・・?」


ここからの最寄りの病院の一つ、横須賀区国防軍附属病院に向かった僚と深雪、それと気を失っているパイロット。

勿論、移動に使用しているのは《試作四号機》。

余談だが、バイザーを開けて驚愕したことが一つあった。そのパイロットは女性だった。

やや赤みがかった茶色の髪をした西洋風の、だけどどこか東洋風の顔立ちをしていた。ハーフとかクォーターとか、混血なのだろうか。

彼女が起きるまで、その辺も含めて謎だらけだ。

さらに余談だが、彼女の脇腹と腕の一部に付いた傷はそこまで深くはなく、命に別状はなかった。

担当した医師───勿論軍医だが───によると、ナイフの切っ先が刺さる時、またはその直前にショックで気を失っただけだった様だ。どのタイミングでなのか正確には謎だったが、傷のせいではないということだけは分かったらしい。


帰り際、病院の屋上にあるヘリポート───少なくとも本来はヘリポートとして使うはずのどこからどうみてもヘリポートにしか見えないその場所にて。

本来ならヘリが停まるそこに停まっている《試作四号機》に乗り込もうとした僚は、心身共に疲弊しきっていたこともあり一瞬こけかけた。

丁度そこに、補給が済んだのであろう“兵士形態”のままの《試作三号機》に乗ってきたらしい深雪がコクピットから降りて駆けつけた。余程自分の顔色が悪かったのか、深雪が焦り気味に「ち、ちょっとあんた、大丈夫?」と聞いてきた。正直あまり大丈夫ではなかったが、

「・・・大丈夫です。

・・・少しは、楽になりました・・・」

そう言って、強がってみた。

少なくとも彼女の位置にかつての幼馴染みがいて同じ反応をしていたら、そうしていただろうという風に。


気分を変えたい、そう思った僚は「ところで、ですが・・・」と深雪に尋ねる。

「あの艦の主砲、レールガンじゃないですよね?

僕、割りと離れたところから見てましたけれど・・・あの弾、プラズマの塊の様に見えたのですが・・・。

少なくとも、実弾には見えなかったです」

その質問に対し、深雪は「さすが工兵科、と言うべきかしらね」と言いつつ、渋々とだが答えた。

「ご名答。

《信濃》の主砲は46cm《荷電粒子砲》よ」

その回答に、

「か、《荷電粒子砲》!?」

当然ではあるが、僚は驚いた。

「そうよ、試製品だけど。

軍の技研が極秘で開発していたのを、主砲砲身が丁度交換期だった《信濃》に主砲として十五門載っけたのよ」

「へぇ・・・」

呆然とする僚に対し「あと、そうねぇ」と一度相槌を打って、深雪はさらに続けた。

「これ言っちゃうのもあれだけど《信濃》には《天之橋立》って言う戦略兵器が装備されていることになってるわね」

「アマノ、ハシダテ・・・?

しかも、戦略兵器って・・・ただでさえまるでハリネズミみたいに砲火器搭載してるんですよ。

どこにそんなものを搭載する場所があるんですか?」

マシンガントークの様な彼女の説明(?)に飽きてきた───少なくとも驚きというものが鳴りを潜めた───のもあるが、不明瞭過ぎた為に今度は僚が彼女に問いかける。だが、

「さぁね。

私も資料で名前を見たことがあるだけよ。

実際に使ってるのはおろか、実物すら見たことないからどんなものかも知らされてないわ。

というか、私がこの艦で配属されてる管轄は武装じゃなくて艦載機の───っ!」

言いかけて、返答(?)が止まった。

「・・・はい?」

その一瞬、彼女の口元がニヤッと歪んだ様な気がした。

「・・・そうだ・・・そうだったわ」

若干ドスの効いた様に聞こえる声で言い出す。

そして、

「そういえば貴方・・・責任とる気、ある?」

含みのある様な言い方をし始める深雪。

「せ、責任・・・?

何の・・・───」

聞きかけた僚は察して、思わず「───あっ!!」と叫んでしまう。

そんな彼に対して「今さら気づいた?」と言って、そこから言葉を続けた。

「貴方は『なし崩し的に』とは言え、軍の機密に幾つも触れてしまったのよ。

ここにある《零》だってその一つ」

そう言って、僚が座っている《試作四号機》の、コクピット外壁部を手で撫でる。

機体のコクピットが人型時の胸部にあたることもあってか、心臓を握られてる様な感じがした。

「『見た』どころか『乗った』んだから。

この責任、一体どうやって取って貰おうかしらねー」

なんか「ゴゴゴゴゴ」とか聞こえてきそうな態度。

心臓の鼓動が跳ね上がり、バクバク言い出しているのが分かる。

「有本 僚・・・あんた、───」

その声音のまま僚の方を向き、何を言いだすかと思った直後、彼に指差し、




「───《信濃》航空隊の隊長になりなさい!」




満面の笑顔───というか、ドヤ顔(?)───で堂々と、そう言った。


それに対し、僚は、

「・・・はい?」

突然のことに、思わずきょとんとしてしまった。



次回予告


何とか敵を退けた僚達

だがそれは新なる運命の狼煙にしか過ぎなかった


次回

紅蓮の艦隊 -the Great Battleship of Scarlet Fleet-


終わりと始まり

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