運命の切り札との出会い
息抜きなので、多分続きません。
デュ○マベースにヴァ○ガ、バ○ィファなどをごった煮にしたようなルールです。
そこは見渡す限り、一面の荒野。赤茶けた地面に、ほんの僅かに背の低い草が生えている。
だが、現れた巨大な影が、そのわずかな命を踏みつぶす。
それは、四足で歩く巨大なトカゲ。いや、その巨大な体躯そして、背骨に沿って鋭い刃の連なるそれは、一般に恐竜と呼ばれるものに似ていた。
「『古竜ステゴスライサー』、アバターに攻撃だーっ!」
後ろに控える少女がそういうと、恐竜はそれに従いアバターと呼ばれたもの、向かい側に立つ、ナックルと鎧で武装した少年に飛びかかり、体を丸め、背中の刃で切り刻む。
「ぐわぁぁっ、…チェイントリガー発動!『封魔の雷』!」
少年が叫ぶと、辺りに雷が降り注ぎ、辺りにいた恐竜たちが動きを止めた。
「これでお前のユニットはすべて行動済み、凌いだぜ!」
いきがる少年に、少女はにやりと笑った。
「甘いんだなー、これが。来て!私の切り札、『古代覇竜マーダー・タイラント』!」
少女が叫ぶと同時、地面が大きく揺れ、跳躍してきた巨大な恐竜がその場にいた3体の恐竜を食い散らす。
全身から刃の様な骨が突き出たその恐竜は餌を食べ終えると、ゆらりと少年のほうへ向きなおった。
「なっ、ここで新しいユニットだって…。」
呆然する少年に、無慈悲な宣告が下される。
「なかなか楽しめたけど、これでおしまい…マーダー・タイラント、ジェノサイド・クラッシャー!」
巨竜の巨大な咢が少年に襲い掛かり…
***
「くっそー、また負けた。」
そう言って、少年、拳崎トウキは机の上にカードを投げだして、ところどころはねた赤い髪をかきむしる。
「いやー、あそこでトリガーを出すのは驚いたけど、まぁ運が悪かったねー。」
カードをまとめながら、すまして言うのは、長い茶髪をサイドテールにまとめた少女、古川リュウナ。
この二人は、私、海原ミズホの友達で、中学校の休み時間にはいつもこうして、TCG「ファンタジックアバターズ」をしているのだ。
「ねぇー、ミズホも始めない?やってる友達、クラスにトウキしかいないからつまんないよー。」
「なんだよ、俺じゃ力不足だってのか?」
食って掛かるトウキにリュウナは慌てて弁明する。
「そそそんなことはないよー。ただ、お互いデッキは一つづつだけだし…。」
「確かに…二人だけだと、見てる私も飽きてくるかも。」
私がそういうと、リュウナは私の手を取って、
「ね、だから相手になってよう。スターターセット(好評発売中)があれば、すぐに始められるよ!」
「いや、今から始めても二人に追いつく気がしないし…それにそんなにやりたいって感じもないからね。」
「そか~、残念。ミズホは頭いいからイイ線行きそうなんだけど…。でもでも、気が向いたら教えてね、おすすめのスターターとかー、いいカードとかー、いろいろ教えてあげるからねっ。」
彼女はそう言ってくれるけど、私がカードを手にすることは無いだろう。
「…そう思っていた時期が、私にもありました…。」
近所の商店街でやっていた福引き、何と無しに引いたそれで、限定の特製デッキとやらが当たってしまった。
とりあえず、近所の公園のベンチに座り、それを眺めてみる。たまに、ホビーの限定物とかにあるような、塗装もイラストもない殺風景な白い箱、お店で売っているのはもっとカラフルな箱だが、これは特別なようだ。
「どうしようか…。」
これを機に始めるべき?でも、こんなことにお金をかけるのもな…。
「まぁ、開けてみようか…!?」
箱を開け、中のカードを取り出した、そこに描かれていたのは―
***
「…ッ、ここは…?」
目を覚ますと、頭上には波打つ蒼の空、いや、水面だろうか。辺りを見渡せば、岩や珊瑚でできた町の中、遠くには珊瑚でできた城のようなものが見える。
道には、魚人が歩き、人魚が泳いでいる。
少し注意してみてみれば、小魚や蟹や海老も、街の住人として生活している様が見える。
「海中の、国…?」
お伽話のような海の生き物が仲良く暮らす光景。何故だか水中なのに息ができる。
ともかく歩いてみよう、きょろきょろしながら歩いていけば、ふと辺りに影が落ちる。見上げれば、そこには悠然と泳ぐ巨大なクジラ。
「ふわぁ…。」
だから、路地から出てきた人物に気が付かなかった。
「「きゃっ!」」
お互いにぶつかって、私はしりもちをつき、相手は浮いていたから建物の壁にぶつかった。
「いたた…、大丈夫です…か…?」
涙目でお尻をさする人魚の少女、私は驚き目を見張った。なぜなら、それは紛れもなく私だったから。
いや、私は、髪はオレンジで、瞳が水色。彼女は逆―ちなみに彼女の鱗は瞳と同じオレンジ色―だが、色を抜いてみるとそっくり同じなのだ。
「うん、大丈夫よ。こっちこそよそ見しててごめんなさい。」
ぶつかったときにとれたのだろう、近くに浮いていたハンチング帽に髪を入れ、目深にかぶりなおすと、こちらをじっと見て考え込む。
「あれ、貴女どこかで…?」
しばらく考え込んでいたようだったが、向こうは結論が出なかったらしい。
「まぁ、いいや。貴女、他所から来たんでしょう。見たことない服だし。」
「う、うん。」
「じゃあ、私が町を案内してあげるよ。」
「え、いや…。」
考えてみれば、今の私は、突然このお伽話の様な町にワープしてきたのだ。のんきに観光している場合ではないと思う。
「私、貴女と仲良くになりたいんだ。ねぇ、行こうよ!」
まずは帰る方法を探したいのだけれど…。
煮え切らない私にしびれを切らした彼女は、
「んもう、『閉じこもってちゃもったいないよ。この世界は、ドキドキワクワクに溢れてるんだから!』」
そう言って、彼女は私の手を取った。
***
一瞬、景色が縁取りされて見えているような錯覚を覚えた。それもそのはず、私は、さっきの少女がこちらに手を差し伸べる姿を、カードごしに見ていた。
「今のは、…夢?」
手に持つカード「お転婆人魚リーラ」と名付けられたカード、イラストの下には彼女の最後の言葉が書かれている。
「閉じこもってちゃもったいない、か…。」
不思議な感覚の余韻に浸っていると、遠くから子供の悲鳴が聞こえた。
「何するの、僕のカードだよ、かえしてよう!」
「へへっ、こんなレアカード、お前みたいなガキにはもったいないぜ、俺たちが大事に使ってやるから、坊やは安心しておうちに帰んな!」
「…ッ!?」
わかりやすく胸糞悪いカツアゲの現場、関わらないのが一番だけど、私の足は自然とそちらに向いていた。
「ちょっとあんたたち、こんな子供からカードを巻き上げるなんて、恥ずかしくないの?」
そういうと高校生ほどの三人組は、こちらに気が付いたようだ。
「なんだぁ嬢ちゃん。俺たちに指図しようってのかぁ?」
「まぁ、今晩相手してくれるってんなら、このカードぐらい返してやってもいいけどよぉ。」
むかつく奴等。私はデッキを取り出して、言う。
「あなたたち、カードバトラーでしょ。だったらこれで決めましょう?」
「俺とやろうってのかぁ?ギャハハハ、笑えるぜ!」
ふと、横を見ると、カードを取られた子供が私のセーラー服の裾を引いていた。
「だ、だめだよお姉ちゃん、危ないよ。負けたら何されるかわかんないし。僕のカードはあきらめるから…。」
「ううん、貴方が良くても私が許せないの、だって…。」
あのカードは泣いていた。気のせいかもしれないけれど。私はたしかに聞いたんだ。
「まぁいいぜぇ、俺が相手になってやるよ。」
「やっちまえ、リーダー!」
お互いに公園に(何故か)あるカード用のテーブルを挟んで立つ。
「ところで君…、」
少年に呼びかける。
「何、お姉ちゃん。」
「私、これが初めてだから、ルールを教えてくれない?」
「…」
三人組に笑われながら一通りのルール説明を受けた。あとは試合中に適宜説明を受けるつもり。
「まずは、アバター属性、コスト0のカードを一枚場に伏せて、デッキを混ぜて五枚引くっと。」
「準備はできたようだなぁ、じゃあいくぜぇ…」
「「ランドイン・アバター!」」
***
そこは、海中の街の入り口。遠くに城を望む岩場。
敵陣には、鎧に身を包んだ先の男が現れる。「アバターレッド」というカードだ。非水中用のユニットは、泡のような膜に守られているらしい。
私は、「お転婆人魚リーラ」として、相対する。
「なんだぁ、アバターに個人名がついてるなんて、珍しいな。まあいい、俺の先行!ランドをチャージ!エンド!」
相手は手札から一枚をランドゾーンに。ランドコストを使ってカードをプレイするのがこのゲームのルール。
「私のターン、ドロー。」
手札には低コストのいくつかのカードと、一枚ある、とても大きなコストのカード。重いカードをランドにして、
「私は、『守衛クラブ』を召喚!」
「守衛クラブ」「小さく頼りない私達でも、力になりたい、守りたい。」
攻撃力1防御力2のカード。小さな蟹が2列あるユニットゾーンの内、自陣の奥側に、アタッカーゾーンと私がいるアバターゾーンの間の、ガーディアンゾーンにおかれる。ガーディアンは、攻撃はできないが、行動済みになっていなければ、アバターへの攻撃を代わりに受けることができる。
「エンド!」
「俺のターン、ドロー!チャージしてコスト2『ゴブリンの兵士』(攻3/守1)をガーディアン召喚!エンド」
棍棒を持った蛮族の兵士が現れた。守備が1のカード、攻撃重視のデッキなのだろうか。
「私はランドをチャージ!コスト2『商人ブリット』(2/1)をガーディアン召喚。」
「商人ブリット」「よっ、嬢ちゃん。活きのいいのが入ってるぜ!」
モンスターゾーンに現れる商品を担いだ鰤の魚人。
「効果発動!登場時、このユニットを行動済みにして、1枚ドロー!」
ブリットが背中に背負った袋を投げ渡してくれる。
「なんだぁ、攻撃も防御もしてねえじゃねえか。チャージして、コスト3『ゴブリン突撃班』(3/1)を召喚!さらにコスト1『リトルゴブリン』(1/1)は、場にコスト3以上のゴブリンが出たとき特殊召喚!兵士をアタッカーに移動して攻撃!」
棍棒を持ったゴブリンが『守衛クラブ』をたたきつぶした。
「ひゃはは!ざまぁねぇぜ!」
流れてきた蟹の亡骸を私はそっと手に包む。
「ありがとう。あなたたちの命、無駄にはしないわ。」
「なんだおめぇ、そんな雑魚カードに何いってんだよ。雑魚なんて所詮俺たちの盾なんだから、死ぬのが仕事みたいなもんだよ。」
「…」
確かに、あいつの言う通りではあるし、第一彼らはカードだ。だけど、私には最期の瞬間、蟹がこちらをみて、後は任せた、と笑った気がした。
「次は突撃隊、こいつの攻撃ヒット時こいつは自壊するが、同時に敵モンスターを破壊する!」
勢いよく走ってきたゴブリンが私を槍で刺す。
「きゃあ!」
アバターがダメージを受けると、アバターの横のチェインと呼ばれるカード、アバターをカードの世界につなぎとめる繋がりが、きれる、これが7枚すべて失われれば負け。
だけど、このチェインは失われるとき手札に加わるし、
「お姉ちゃん、今ならこのカードが使えるよ!」
「うん、チェイントリガー発動!『秘密の抜け道』でブリットを除外!」
「秘密の抜け道」「「急いで!こっちだよ!」彼女はそう言って私を建物の隙間、に引き込んだ。「…もう行ったかな?」そろりと顔を出す、…どうやらうまく撒いたらしい。」
リーラがイラストに描かれている、どうやらフレーバーの彼女とはリーラのことらしい、何で追われてるんだろ…。
こうして、トリガーで、本来コスト4の魔法をタダで唱えられた。これで対象が消えて破壊効果は不発。
「くっ、自壊しただけかよ、これだから安いカードは…、リトルで攻撃!」
もう1枚はトリガーなし、そのまま手札に。
「ターン終了時、再びブリットを場へ、能力でドロー!そのまま私のターンドロー!チャージして、コスト3『マーメイド親衛隊』を召喚、能力でドロー。」
「マーメイド親衛隊」(2/3)「姫様、どこですかー!?」
上等な服の、いかにも上流階級の使用人、といった雰囲気のマーメイドが現れた。イラストでは少し慌てて何かを探している風だ。
「そして親衛隊で戦士を攻撃!!ターンエンド。」
「ちっ、雑魚が!ドロー、チャージして、ソルジャー召喚…リトルとソルジャー2体で攻撃!」
「うぐっ!」
はじめの2体でもう,残りは半分、でも、
突如現れた茶色い鱗の人魚の少女の舞で、ぶわりと水流が巻き起こり、もう一体のソルジャーは手札に帰った。
チェイントリガー・コスト5「カレイな踊り子」(2/2)「胸は飾りですっ、踊り子には無い方がいいんですっ!」
フレーバーテキストの通り、彼女は胸がとても薄いが、敵を手札に戻す能力は頼りになる。
「くっ、エンド…。」
敵は犠牲を顧みず速攻をするタイプのデッキ、チェインを手札に加えさせず、ドローしていけば、だんだん差が開いてくる。相手の手札は1枚、対してこちらは、7枚。
「ドロー、チャージ、守衛クラブをガード召喚、魔法カード、コスト3『海星占い』で、2枚ドロー。」
「海星占い」「今日は綺麗な色がいっぱい!なんだか、いいことありそうだね!」
カードを引けるのはうれしいけど、海星がきれい=いいことあるって、単純な占いだなぁ。
「親衛隊と踊り子で攻撃!」
二体の攻撃が、場に残っていた戦士とリトルを打ち倒す。
「ドロー、チャージ…コスト4『炎獄の鉄槌』、踊り子を破壊だ…、エンド。」
突如上空から飛来してきた隕石に踊り子が吹き飛ばされた。だが、相手は手札0枚、かなり決定的なアドバンテージ差だ。
「ドロー、チャージ。コスト3『フィッシュ・スクール』召喚。ブリットをガード召喚、ドロー。」
「フィッシュ・スクール」(1/1)「強い奴程よく群れる。」
小さな魚たちの群れ、でも、一匹一匹が鋭く砥がれた鰭と鱗を持っている、もはや群れ自体が凶器の渦だ。
「ブリットをアタックに移動、ブリットとフィッシュ・スクールと親衛隊で連携攻撃。」
このゲームではユニット2体以上の攻撃力を合計する連携攻撃がある。相手のアバターも守備力が3あるので、親衛隊だけでは通らない。
そして、スクールは連携攻撃で本来、一回の攻撃扱いで1ダメージだけの所を、スクールの攻撃力を加算しない代わりに、+1ダメージにできる。別々に攻撃してトリガーを引かれて、攻撃中断する危険性が下がる。
親衛隊の指揮の下、凶器の群れが敵のアバターを切り刻む。
「ぐっ、『煉獄の破砕機』合計防御力が5になるようにユニットを破壊!」
凶悪な破砕機に飲み込まれ、スクール、親衛隊、ブリット(アタックした方)がやられた。
「み、みんな!」
「ヒャッハア!俺のターン!ドロー、チャージ!出でよコスト3『ゴブリンシャーマン』(3/1)墓地のゴブリンが3枚かつ手札3枚以下なので1ドロー、そして兵士を召喚!」
くっ、チェインの破壊でドローカードを引かれてしまった。
「攻撃!」
二体の攻撃で私のユニットが全滅させられた。手札はあるけどランドは有限、よろしくない。
「私のターン、ドローチャージ。親衛隊を召喚、ドロー。コスト3『アクア・サバイバー』をガード召喚。」
「アクア・サバイバー」(1/3)「諦めなけりゃ、意外とどうにか生き残れるんだぜ。」
鯖の魚人と、おなじみ親衛隊を召喚。
さらに、親衛隊の攻撃で兵士を破壊した。
「ドロー・・・、ハハハッ来たぜ!コスト5『ライジングドラゴン・紫電』をシャーマンの上に進化召喚!さらにコスト1『ゴブリンの尖兵』(2/1)召喚!」
「僕のカード…!」
「ライジングドラゴン・紫電」(5/3)「行くぜ相棒!俺たちはどこまでも強くなる!」
突然大きな音を立てて海面が割れる。白い泡を纏い飛び込んできた影、内側からほとばしる雷が泡を切り裂く。大きな翼をもつドラゴンが、現れた。
体には鞍を付けているが、今はその背には誰も乗せていない。
「ハハハ、紫電は1回の攻撃で2つのチェインを破壊し、さらに攻撃後ターン一回だけ未行動に戻る!!死角なしの強力なカードだぜ!さぁ、攻撃だ!」
「グォオオン!」
鋭い雷でサバイバーがやられた、この子はやられる代わりに手札に戻れるけど、守りが無くなってしまった。
そして、もう一撃…
「ぅあああッ!」
雷で水を切り裂き、爪をふるう凶悪なドラゴン、でもその瞳に宿った感情は…
痛みに耐えながら、眼前に迫ったドラゴンの顔を撫でる。
「大丈夫、私があなたを取り戻してあげる…『急流注意報!』発令っ!」
「急流注意報!」(コスト2)「あーあ、ちゃんと海流予報見ておかないから…。」
これは相手のカードを一枚手札に戻すカード。激しい流れが巻き起こる、さらにそこに重なるように、もう一波。
「そして、もう一枚!『カレイな踊り子』召喚!」
二枚のトリガーですべてのユニットが手札に戻り、敵はもうできることがなくなった。手札に帰っていく紫電が私に微笑みかけてくれた、気がした。
さぁ、私のターン、反撃だ。
「糞っ、何なんだよお前っ、…だが、俺はまだ5枚のチェインが残ってるぜ!お前の親衛隊とカレイだけじゃ、倒しきれねぇぞ!次のターンになれば、俺は尖兵から再び紫電に進化させられる!このターンで俺を倒せるのか!」
まぁ、攻撃に乏しい青のカードでは、守備力3のアバターに、1ターンに5ダメージは少し厳しいものがある。けど、
「…?何笑ってやがる?」
うん、おかしいね、チェインは1枚。このターンで決められなければ負けちゃうだろうし、負けたら何をされるのか、考えれば恐ろしい。でもね、
「すっごく楽しいよ、今、貴女と一緒に戦えること、冒険できること、すっごくドキドキワクワクするっ!行くよっ、リーラ!私達のターン!」
高らかに宣言すれば、私が変わる、世界が変わる!
「ターン開始時、リーラの効果発動!手札を一枚捨てる!」
私は被っていた帽子を脱ぎ捨てる、水色の髪が流れにさらわれてなびき、その流れが強く、渦巻き、私の姿を覆い隠す。
「チェイン2枚以下かつランド4枚以上なら、デッキから、『水の都の姫君リーラ』を探し、アバターに上書き召喚する!」
渦が晴れると、現れるのはティアラを身に着け、髪をツインにまとめた、輝くドレスの人魚姫。
「水の都の姫君リーラ」(2/2)「水の都の姫君の名の下に、ありとあらゆる海の生き物が集う。」
「効果発動、登場時デッキから好きなユニットを手札に、さらに、お転婆リーラの効果で、このスタートステップ中、手札に加えたカードをコストマイナス2で即座にプレイ!来て、私のお友達!コスト6『水精獣グランホエール』を踊り子の上に進化召喚!」
突如、辺りが影に包まれた、頭上には、悠然と泳ぐ巨大な鯨。
それは巨大な大地のように、絶対的な存在として君臨している。いや、イラスト通りなら実際に背中が島になっているはず。
「水精獣グランホエール」(5/4)「今日こそ貴方の背中を制覇してやるんだから!―リーラ」
「効果で、親衛隊を手札に!代わりにフィッシュスクールを召喚!」
ホエールの効果は、手札に戻したユニットのコスト+1以下のコストのユニットを召喚する効果。
「ドロー、チャージ。もう一枚フィッシュスクール召喚!」
このままでは攻撃可能なカードが一足りないけど…。
「さらにリーラの永続効果!青のカードはすべて攻撃力プラス1!」
これでリーラも戦える。このゲーム、ガーディアンが居なければアバター自身が攻撃できる。守りを捨てることになるけど。
「な…な…」
巨大なユニットに敵は茫然としている。
「まずは私で攻撃!」
「ぐわあああ!」
トライデントを棒術の要領で使い敵のアバターの体勢を崩し、穂先で奴を海底に縫い付ける。よし、トリガーなし。そして…
「スクール2体とホエールで連携攻撃!」
ホエールが大きく尾びれを振って生み出した流れに乗り、魚の群れが敵を切り刻む。
「ホエールは2ダメージを与える、スクールも合わせて4ダメージ!」
「ぐわああああああ!」
4枚でトリガーが出たようだけど、もう関係なかった。
この世界とのつながりを失い、あいつは光になって消え失せた。
***
「そ…そんな…」
「リーダーが負けるなんて…」
後ろの2人は茫然としている。
「すごい!凄いよお姉ちゃん!」
「あはは、どうにかなってよかったよ。」
「おい、あんた…。」
リーダと呼ばれていた男がようやく言葉を発した。ショックから立ち直ったらしい。
「さぁ、私の勝ちよ。この子にカードを返しなさい。」
「ああ、悪かったな、坊主。」
「う、うん、返してくれるなら、もういいよ。」
やけに素直になったな、この不良。少年もちょっと引いてる。
でも、ともかく、紫電は嬉しそう、よかったよかった。
「さて、私はこれで…。」
「まってください!」
不良三人が私の目の前に整列した。
「姐さんには負けました、ぜひとも舎弟にしてください!」
「はぁ!?」
「へぇ~、そんなことがあったんだ~。」
「笑い事じゃないよ、逃げ切るの大変だったんだから。」
そう返すと、リュウナはからからと笑って、
「それで、どうするの?そのデッキ。」
私は手元を見下ろす、昨日手に入れたばかりだけど、このデッキは昔から持っているような、懐かしさがあった。
「せっかくだし、始めてみるよ。なんだかんだ言って、昨日はけっこう楽しかったしね。」
「ふふ、そう来なくっちゃ、じゃあ、早速相手してよ。ボッコッボッコにしてあげるんだから!」
「私だって負けないわよ!」
お互いにデッキを構える。
そして、唱える。世界を変える、魔法の言葉。
行くよっ、私っ!
「「ランドイン・アバター!」」