表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

運命の切り札との出会い

作者: はちがね

息抜きなので、多分続きません。

デュ○マベースにヴァ○ガ、バ○ィファなどをごった煮にしたようなルールです。

 そこは見渡す限り、一面の荒野。赤茶けた地面に、ほんの僅かに背の低い草が生えている。

 だが、現れた巨大な影が、そのわずかな命を踏みつぶす。

 それは、四足で歩く巨大なトカゲ。いや、その巨大な体躯そして、背骨に沿って鋭い刃の連なるそれは、一般に恐竜と呼ばれるものに似ていた。

「『古竜ステゴスライサー』、アバターに攻撃だーっ!」

 後ろに控える少女がそういうと、恐竜はそれに従いアバターと呼ばれたもの、向かい側に立つ、ナックルと鎧で武装した少年に飛びかかり、体を丸め、背中の刃で切り刻む。

「ぐわぁぁっ、…チェイントリガー発動!『封魔の雷』!」

 少年が叫ぶと、辺りに雷が降り注ぎ、辺りにいた恐竜たちが動きを止めた。

「これでお前のユニットはすべて行動済み、凌いだぜ!」

 いきがる少年に、少女はにやりと笑った。

「甘いんだなー、これが。来て!私の切り札、『古代覇竜マーダー・タイラント』!」

 少女が叫ぶと同時、地面が大きく揺れ、跳躍してきた巨大な恐竜がその場にいた3体の恐竜を食い散らす。

 全身から刃の様な骨が突き出たその恐竜は餌を食べ終えると、ゆらりと少年のほうへ向きなおった。

「なっ、ここで新しいユニットだって…。」

 呆然する少年に、無慈悲な宣告が下される。

「なかなか楽しめたけど、これでおしまい…マーダー・タイラント、ジェノサイド・クラッシャー!」

 巨竜の巨大な咢が少年に襲い掛かり…


***


「くっそー、また負けた。」

 そう言って、少年、拳崎トウキは机の上にカードを投げだして、ところどころはねた赤い髪をかきむしる。

「いやー、あそこでトリガーを出すのは驚いたけど、まぁ運が悪かったねー。」

 カードをまとめながら、すまして言うのは、長い茶髪をサイドテールにまとめた少女、古川リュウナ。

 この二人は、私、海原ミズホの友達で、中学校の休み時間にはいつもこうして、TCG「ファンタジックアバターズ」をしているのだ。

「ねぇー、ミズホも始めない?やってる友達、クラスにトウキしかいないからつまんないよー。」

「なんだよ、俺じゃ力不足だってのか?」

 食って掛かるトウキにリュウナは慌てて弁明する。

「そそそんなことはないよー。ただ、お互いデッキは一つづつだけだし…。」

「確かに…二人だけだと、見てる私も飽きてくるかも。」

 私がそういうと、リュウナは私の手を取って、

「ね、だから相手になってよう。スターターセット(好評発売中)があれば、すぐに始められるよ!」

「いや、今から始めても二人に追いつく気がしないし…それにそんなにやりたいって感じもないからね。」

「そか~、残念。ミズホは頭いいからイイ線行きそうなんだけど…。でもでも、気が向いたら教えてね、おすすめのスターターとかー、いいカードとかー、いろいろ教えてあげるからねっ。」

 彼女はそう言ってくれるけど、私がカードを手にすることは無いだろう。


「…そう思っていた時期が、私にもありました…。」

 近所の商店街でやっていた福引き、何と無しに引いたそれで、限定の特製デッキとやらが当たってしまった。

 とりあえず、近所の公園のベンチに座り、それを眺めてみる。たまに、ホビーの限定物とかにあるような、塗装もイラストもない殺風景な白い箱、お店で売っているのはもっとカラフルな箱だが、これは特別なようだ。

「どうしようか…。」

 これを機に始めるべき?でも、こんなことにお金をかけるのもな…。

「まぁ、開けてみようか…!?」

 箱を開け、中のカードを取り出した、そこに描かれていたのは―


***


「…ッ、ここは…?」

 目を覚ますと、頭上には波打つ蒼の空、いや、水面だろうか。辺りを見渡せば、岩や珊瑚でできた町の中、遠くには珊瑚でできた城のようなものが見える。

 道には、魚人が歩き、人魚が泳いでいる。

 少し注意してみてみれば、小魚や蟹や海老も、街の住人として生活している様が見える。

「海中の、国…?」

 お伽話のような海の生き物が仲良く暮らす光景。何故だか水中なのに息ができる。

 ともかく歩いてみよう、きょろきょろしながら歩いていけば、ふと辺りに影が落ちる。見上げれば、そこには悠然と泳ぐ巨大なクジラ。

「ふわぁ…。」

 だから、路地から出てきた人物に気が付かなかった。

「「きゃっ!」」

 お互いにぶつかって、私はしりもちをつき、相手は浮いていたから建物の壁にぶつかった。

「いたた…、大丈夫です…か…?」

 涙目でお尻をさする人魚の少女、私は驚き目を見張った。なぜなら、それは紛れもなく私だったから。

 いや、私は、髪はオレンジで、瞳が水色。彼女は逆―ちなみに彼女の鱗は瞳と同じオレンジ色―だが、色を抜いてみるとそっくり同じなのだ。

「うん、大丈夫よ。こっちこそよそ見しててごめんなさい。」

 ぶつかったときにとれたのだろう、近くに浮いていたハンチング帽に髪を入れ、目深にかぶりなおすと、こちらをじっと見て考え込む。

「あれ、貴女どこかで…?」

 しばらく考え込んでいたようだったが、向こうは結論が出なかったらしい。

「まぁ、いいや。貴女、他所から来たんでしょう。見たことない服だし。」

「う、うん。」

「じゃあ、私が町を案内してあげるよ。」

「え、いや…。」

 考えてみれば、今の私は、突然このお伽話の様な町にワープしてきたのだ。のんきに観光している場合ではないと思う。

「私、貴女と仲良くになりたいんだ。ねぇ、行こうよ!」

 まずは帰る方法を探したいのだけれど…。

 煮え切らない私にしびれを切らした彼女は、

「んもう、『閉じこもってちゃもったいないよ。この世界は、ドキドキワクワクに溢れてるんだから!』」

 そう言って、彼女は私の手を取った。


***


 一瞬、景色が縁取りされて見えているような錯覚を覚えた。それもそのはず、私は、さっきの少女がこちらに手を差し伸べる姿を、カードごしに見ていた。

「今のは、…夢?」

 手に持つカード「お転婆人魚(トムヴォイマーメイド)リーラ」と名付けられたカード、イラストの下には彼女の最後の言葉が書かれている。

「閉じこもってちゃもったいない、か…。」

 不思議な感覚の余韻に浸っていると、遠くから子供の悲鳴が聞こえた。

「何するの、僕のカードだよ、かえしてよう!」

「へへっ、こんなレアカード、お前みたいなガキにはもったいないぜ、俺たちが大事に使ってやるから、坊やは安心しておうちに帰んな!」

「…ッ!?」

 わかりやすく胸糞悪いカツアゲの現場、関わらないのが一番だけど、私の足は自然とそちらに向いていた。

「ちょっとあんたたち、こんな子供からカードを巻き上げるなんて、恥ずかしくないの?」

 そういうと高校生ほどの三人組は、こちらに気が付いたようだ。

「なんだぁ嬢ちゃん。俺たちに指図しようってのかぁ?」

「まぁ、今晩相手してくれるってんなら、このカードぐらい返してやってもいいけどよぉ。」

 むかつく奴等。私はデッキを取り出して、言う。

「あなたたち、カードバトラーでしょ。だったらこれで決めましょう?」

「俺とやろうってのかぁ?ギャハハハ、笑えるぜ!」

 ふと、横を見ると、カードを取られた子供が私のセーラー服の裾を引いていた。

「だ、だめだよお姉ちゃん、危ないよ。負けたら何されるかわかんないし。僕のカードはあきらめるから…。」

「ううん、貴方が良くても私が許せないの、だって…。」

 あのカードは泣いていた。気のせいかもしれないけれど。私はたしかに聞いたんだ。

「まぁいいぜぇ、俺が相手になってやるよ。」

「やっちまえ、リーダー!」

お互いに公園に(何故か)あるカード用のテーブルを挟んで立つ。

「ところで君…、」

 少年に呼びかける。

「何、お姉ちゃん。」

「私、これが初めてだから、ルールを教えてくれない?」

「…」

 三人組に笑われながら一通りのルール説明を受けた。あとは試合中に適宜説明を受けるつもり。

「まずは、アバター属性、コスト0のカードを一枚場に伏せて、デッキを混ぜて五枚引くっと。」

「準備はできたようだなぁ、じゃあいくぜぇ…」

「「ランドイン・アバター!」」


***


そこは、海中の街の入り口。遠くに城を望む岩場。

敵陣には、鎧に身を包んだ先の男が現れる。「アバターレッド」というカードだ。非水中用のユニットは、泡のような膜に守られているらしい。

私は、「お転婆人魚(トムヴォイマーメイド)リーラ」として、相対する。

「なんだぁ、アバターに個人名がついてるなんて、珍しいな。まあいい、俺の先行!ランドをチャージ!エンド!」

 相手は手札から一枚をランドゾーンに。ランドコストを使ってカードをプレイするのがこのゲームのルール。

「私のターン、ドロー。」

 手札には低コストのいくつかのカードと、一枚ある、とても大きなコストのカード。重いカードをランドにして、

「私は、『守衛クラブ』を召喚!」

 「守衛クラブ」「小さく頼りない私達でも、力になりたい、守りたい。」

攻撃力1防御力2のカード。小さな蟹が2列あるユニットゾーンの内、自陣の奥側に、アタッカーゾーンと私がいるアバターゾーンの間の、ガーディアンゾーンにおかれる。ガーディアンは、攻撃はできないが、行動済みになっていなければ、アバターへの攻撃を代わりに受けることができる。

「エンド!」

「俺のターン、ドロー!チャージしてコスト2『ゴブリンの兵士』(攻3/守1)をガーディアン召喚!エンド」

 棍棒を持った蛮族の兵士が現れた。守備が1のカード、攻撃重視のデッキなのだろうか。

「私はランドをチャージ!コスト2『商人ブリット』(2/1)をガーディアン召喚。」

 「商人ブリット」「よっ、嬢ちゃん。活きのいいのが入ってるぜ!」

 モンスターゾーンに現れる商品を担いだ鰤の魚人。

「効果発動!登場時、このユニットを行動済みにして、1枚ドロー!」

 ブリットが背中に背負った袋を投げ渡してくれる。

「なんだぁ、攻撃も防御もしてねえじゃねえか。チャージして、コスト3『ゴブリン突撃班』(3/1)を召喚!さらにコスト1『リトルゴブリン』(1/1)は、場にコスト3以上のゴブリンが出たとき特殊召喚!兵士をアタッカーに移動して攻撃!」

 棍棒を持ったゴブリンが『守衛クラブ』をたたきつぶした。

「ひゃはは!ざまぁねぇぜ!」

 流れてきた蟹の亡骸を私はそっと手に包む。

「ありがとう。あなたたちの命、無駄にはしないわ。」

「なんだおめぇ、そんな雑魚カードに何いってんだよ。雑魚なんて所詮俺たちの盾なんだから、死ぬのが仕事みたいなもんだよ。」

「…」

 確かに、あいつの言う通りではあるし、第一彼らはカードだ。だけど、私には最期の瞬間、蟹がこちらをみて、後は任せた、と笑った気がした。

「次は突撃隊、こいつの攻撃ヒット時こいつは自壊するが、同時に敵モンスターを破壊する!」

 勢いよく走ってきたゴブリンが私を槍で刺す。

「きゃあ!」

 アバターがダメージを受けると、アバターの横のチェインと呼ばれるカード、アバターをカードの世界につなぎとめる繋がりが、きれる、これが7枚すべて失われれば負け。

 だけど、このチェインは失われるとき手札に加わるし、

「お姉ちゃん、今ならこのカードが使えるよ!」

「うん、チェイントリガー発動!『秘密の抜け道』でブリットを除外!」

 「秘密の抜け道」「「急いで!こっちだよ!」彼女はそう言って私を建物の隙間、に引き込んだ。「…もう行ったかな?」そろりと顔を出す、…どうやらうまく撒いたらしい。」

 リーラがイラストに描かれている、どうやらフレーバーの彼女とはリーラのことらしい、何で追われてるんだろ…。

 こうして、トリガーで、本来コスト4の魔法をタダで唱えられた。これで対象が消えて破壊効果は不発。

「くっ、自壊しただけかよ、これだから安いカードは…、リトルで攻撃!」

 もう1枚はトリガーなし、そのまま手札に。

「ターン終了時、再びブリットを場へ、能力でドロー!そのまま私のターンドロー!チャージして、コスト3『マーメイド親衛隊』を召喚、能力でドロー。」

 「マーメイド親衛隊」(2/3)「姫様、どこですかー!?」

 上等な服の、いかにも上流階級の使用人、といった雰囲気のマーメイドが現れた。イラストでは少し慌てて何かを探している風だ。

「そして親衛隊で戦士を攻撃!!ターンエンド。」

「ちっ、雑魚が!ドロー、チャージして、ソルジャー召喚…リトルとソルジャー2体で攻撃!」

「うぐっ!」

 はじめの2体でもう,残りは半分、でも、

 突如現れた茶色い鱗の人魚の少女の舞で、ぶわりと水流が巻き起こり、もう一体のソルジャーは手札に帰った。

チェイントリガー・コスト5「カレイな踊り子」(2/2)「胸は飾りですっ、踊り子には無い方がいいんですっ!」

フレーバーテキストの通り、彼女は胸がとても薄いが、敵を手札に戻す能力は頼りになる。

「くっ、エンド…。」

 敵は犠牲を顧みず速攻をするタイプのデッキ、チェインを手札に加えさせず、ドローしていけば、だんだん差が開いてくる。相手の手札は1枚、対してこちらは、7枚。

「ドロー、チャージ、守衛クラブをガード召喚、魔法カード、コスト3『海星占い』で、2枚ドロー。」

 「海星占い」「今日は綺麗な色がいっぱい!なんだか、いいことありそうだね!」

 カードを引けるのはうれしいけど、海星がきれい=いいことあるって、単純な占いだなぁ。

「親衛隊と踊り子で攻撃!」

 二体の攻撃が、場に残っていた戦士とリトルを打ち倒す。

「ドロー、チャージ…コスト4『炎獄の鉄槌』、踊り子を破壊だ…、エンド。」

 突如上空から飛来してきた隕石に踊り子が吹き飛ばされた。だが、相手は手札0枚、かなり決定的なアドバンテージ差だ。

「ドロー、チャージ。コスト3『フィッシュ・スクール』召喚。ブリットをガード召喚、ドロー。」

 「フィッシュ・スクール」(1/1)「強い奴程よく群れる。」

 小さな魚たちの群れ、でも、一匹一匹が鋭く砥がれた鰭と鱗を持っている、もはや群れ自体が凶器の渦だ。

「ブリットをアタックに移動、ブリットとフィッシュ・スクールと親衛隊で連携攻撃。」

 このゲームではユニット2体以上の攻撃力を合計する連携攻撃がある。相手のアバターも守備力が3あるので、親衛隊だけでは通らない。

 そして、スクールは連携攻撃で本来、一回の攻撃扱いで1ダメージだけの所を、スクールの攻撃力を加算しない代わりに、+1ダメージにできる。別々に攻撃してトリガーを引かれて、攻撃中断する危険性が下がる。

 親衛隊の指揮の下、凶器の群れが敵のアバターを切り刻む。

「ぐっ、『煉獄の破砕機』合計防御力が5になるようにユニットを破壊!」

 凶悪な破砕機に飲み込まれ、スクール、親衛隊、ブリット(アタックした方)がやられた。

「み、みんな!」

「ヒャッハア!俺のターン!ドロー、チャージ!出でよコスト3『ゴブリンシャーマン』(3/1)墓地のゴブリンが3枚かつ手札3枚以下なので1ドロー、そして兵士を召喚!」

くっ、チェインの破壊でドローカードを引かれてしまった。

「攻撃!」

 二体の攻撃で私のユニットが全滅させられた。手札はあるけどランドは有限、よろしくない。

「私のターン、ドローチャージ。親衛隊を召喚、ドロー。コスト3『アクア・サバイバー』をガード召喚。」

「アクア・サバイバー」(1/3)「諦めなけりゃ、意外とどうにか生き残れるんだぜ。」

 鯖の魚人と、おなじみ親衛隊を召喚。

さらに、親衛隊の攻撃で兵士を破壊した。

「ドロー・・・、ハハハッ来たぜ!コスト5『ライジングドラゴン・紫電』をシャーマンの上に進化召喚!さらにコスト1『ゴブリンの尖兵』(2/1)召喚!」

「僕のカード…!」

「ライジングドラゴン・紫電」(5/3)「行くぜ相棒!俺たちはどこまでも強くなる!」

 突然大きな音を立てて海面が割れる。白い泡を纏い飛び込んできた影、内側からほとばしる雷が泡を切り裂く。大きな翼をもつドラゴンが、現れた。

 体には鞍を付けているが、今はその背には誰も乗せていない。

「ハハハ、紫電は1回の攻撃で2つのチェインを破壊し、さらに攻撃後ターン一回だけ未行動に戻る!!死角なしの強力なカードだぜ!さぁ、攻撃だ!」

「グォオオン!」

 鋭い雷でサバイバーがやられた、この子はやられる代わりに手札に戻れるけど、守りが無くなってしまった。

 そして、もう一撃…

「ぅあああッ!」

 雷で水を切り裂き、爪をふるう凶悪なドラゴン、でもその瞳に宿った感情は…

 痛みに耐えながら、眼前に迫ったドラゴンの顔を撫でる。

「大丈夫、私があなたを取り戻してあげる…『急流注意報!』発令っ!」

「急流注意報!」(コスト2)「あーあ、ちゃんと海流予報見ておかないから…。」

 これは相手のカードを一枚手札に戻すカード。激しい流れが巻き起こる、さらにそこに重なるように、もう一波。

「そして、もう一枚!『カレイな踊り子』召喚!」

 二枚のトリガーですべてのユニットが手札に戻り、敵はもうできることがなくなった。手札に帰っていく紫電が私に微笑みかけてくれた、気がした。

さぁ、私のターン、反撃だ。

「糞っ、何なんだよお前っ、…だが、俺はまだ5枚のチェインが残ってるぜ!お前の親衛隊とカレイだけじゃ、倒しきれねぇぞ!次のターンになれば、俺は尖兵から再び紫電に進化させられる!このターンで俺を倒せるのか!」

 まぁ、攻撃に乏しい青のカードでは、守備力3のアバターに、1ターンに5ダメージは少し厳しいものがある。けど、

「…?何笑ってやがる?」

 うん、おかしいね、チェインは1枚。このターンで決められなければ負けちゃうだろうし、負けたら何をされるのか、考えれば恐ろしい。でもね、

「すっごく楽しいよ、今、貴女と一緒に戦えること、冒険できること、すっごくドキドキワクワクするっ!行くよっ、リーラ!私達のターン!」

 高らかに宣言すれば、私が変わる、世界が変わる!

「ターン開始時、リーラの効果発動!手札を一枚捨てる!」

 (リーラ)は被っていた帽子を脱ぎ捨てる、水色の髪が流れにさらわれてなびき、その流れが強く、渦巻き、私の姿を覆い隠す。

「チェイン2枚以下かつランド4枚以上なら、デッキから、『水の都の姫君(アクア・プリンセス)リーラ』を探し、アバターに上書き召喚する!」

 渦が晴れると、現れるのはティアラを身に着け、髪をツインにまとめた、輝くドレスの人魚姫。

 「水の都の姫君(アクア・プリンセス)リーラ」(2/2)「水の都の姫君(アクア・プリンセス)の名の下に、ありとあらゆる海の生き物が集う。」

「効果発動、登場時デッキから好きなユニットを手札に、さらに、お転婆リーラの効果で、このスタートステップ中、手札に加えたカードをコストマイナス2で即座にプレイ!来て、私のお友達!コスト6『水精獣(アクア・フレンズ)グランホエール』を踊り子の上に進化召喚!」

 突如、辺りが影に包まれた、頭上には、悠然と泳ぐ巨大な鯨。

それは巨大な大地のように、絶対的な存在として君臨している。いや、イラスト通りなら実際に背中が島になっているはず。

水精獣(アクア・フレンズ)グランホエール」(5/4)「今日こそ貴方の背中を制覇してやるんだから!―リーラ」

「効果で、親衛隊を手札に!代わりにフィッシュスクールを召喚!」

 ホエールの効果は、手札に戻したユニットのコスト+1以下のコストのユニットを召喚する効果。

「ドロー、チャージ。もう一枚フィッシュスクール召喚!」

 このままでは攻撃可能なカードが一足りないけど…。

「さらにリーラの永続効果!青のカードはすべて攻撃力プラス1!」

 これでリーラも戦える。このゲーム、ガーディアンが居なければアバター自身が攻撃できる。守りを捨てることになるけど。

「な…な…」

 巨大なユニットに敵は茫然としている。

「まずは私で攻撃!」

「ぐわあああ!」

 トライデントを棒術の要領で使い敵のアバターの体勢を崩し、穂先で奴を海底に縫い付ける。よし、トリガーなし。そして…

「スクール2体とホエールで連携攻撃!」

 ホエールが大きく尾びれを振って生み出した流れに乗り、魚の群れが敵を切り刻む。

「ホエールは2ダメージを与える、スクールも合わせて4ダメージ!」

「ぐわああああああ!」

 4枚でトリガーが出たようだけど、もう関係なかった。

 この世界とのつながりを失い、あいつは光になって消え失せた。


***


「そ…そんな…」

「リーダーが負けるなんて…」

 後ろの2人は茫然としている。

「すごい!凄いよお姉ちゃん!」

「あはは、どうにかなってよかったよ。」

「おい、あんた…。」

 リーダと呼ばれていた男がようやく言葉を発した。ショックから立ち直ったらしい。

「さぁ、私の勝ちよ。この子にカードを返しなさい。」

「ああ、悪かったな、坊主。」

「う、うん、返してくれるなら、もういいよ。」

 やけに素直になったな、この不良。少年もちょっと引いてる。

 でも、ともかく、紫電は嬉しそう、よかったよかった。

「さて、私はこれで…。」

「まってください!」

 不良三人が私の目の前に整列した。

「姐さんには負けました、ぜひとも舎弟にしてください!」

「はぁ!?」

 


「へぇ~、そんなことがあったんだ~。」

「笑い事じゃないよ、逃げ切るの大変だったんだから。」

 そう返すと、リュウナはからからと笑って、

「それで、どうするの?そのデッキ。」

 私は手元を見下ろす、昨日手に入れたばかりだけど、このデッキは昔から持っているような、懐かしさがあった。

「せっかくだし、始めてみるよ。なんだかんだ言って、昨日はけっこう楽しかったしね。」

「ふふ、そう来なくっちゃ、じゃあ、早速相手してよ。ボッコッボッコにしてあげるんだから!」

「私だって負けないわよ!」

 お互いにデッキを構える。

 そして、唱える。世界を変える、魔法の言葉。

 行くよっ、(リーラ)っ!

「「ランドイン・アバター!」」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ