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今日も目の前では社交辞令の応酬が続いている。
日中は外に出てもいいよなんて甘い言葉に喜んでいたのは束の間のこと、あっという間に要注意人物に掴まってしまった。
それから連日、何故か三人でテーブルを囲む日々が続いている。
丁度右手側に彼、そして左手側に彼と社交辞令で会話する相手が座っている。
異様な雰囲気に感づいてなのか、それともそれぞれが手を回したのか、この一角には誰も近付いてこようとはしない。
元々限られた人しか使えないラウンジみたいなんだけれど。
ニコニコと笑っている彼だけれど、部屋に戻ると疲れた顔に戻る。そんなに疲れるなら、毎日相手にしなくてもいいのに。
けど、私なんかでは考えもつかないような理由があって、社交辞令で時間を潰しているんだろう。
対する相手はどんな事を考えているのだろう。
こちらもまた楽しそうにしているけれど。
これから行く隣国の第七王子らしい。そして彼の兄である国王の正妃の弟。
どうしてそんな人物がこの船に乗っていたのか、まあなんらかの意図があってのことなんだろうけれども明かすわけがない。
全部素直に何でも話せばいいってものでもないよと彼は笑う。
限られた中で有益な情報を引き出し、それを推測と照らし合わせて答えを導き出す。そういう方法もあるんだよ、と。
そして彼は付け加えた。「俺は直球勝負のお前が好きだけどね」と。
思い出したら、頬がにやけるのが止められない。
本当に彼は驚くほど私には甘い。
勿論スパルタの時はあるんだけれども、それでも基本的には自由にさせてくれるし、お互いの身分差を感じる事もない。
本来なら口を利くのも不可能な相手なのに。
私でいいのと聞けば、お前がいいと即答する。不安げな顔をすると、すぐに気が付いてくれる。
二人だけだからかもしれないけれど、でもそのちょっと甘やかされている感じが心地良い。片意地を張ることも無い。背筋は伸ばせって口うるさく言われるけれども。
ただ、こうやって第三者を挟んだ時の彼は別人のようだ。
笑顔は武器になる事を、私は身を持って知っている。身を守る鎧にもなる事も。
だから彼は他を寄せ付けないような笑顔を纏い、隣国の王子と対峙し続けている。
「奥様はいつ旦那様とお知り合いになられたのですか」
ちょっと訛りのある独特の喋り方で話しかけられ、彼の顔を窺う。
うーん。やっぱり笑顔か。
こういう場合の対処法を実践で身に着けろということかしら。
あ、そうか。
もしかしたら、この面倒な時間も私の訓練の一環だったのかもしれない。今まで気付かなかったよ。
もう一度彼の方へと視線を送ると、柔らかい笑みを浮かべる。助け舟を出す気は毛頭無いらしい。鬼教官め。
「偶然ですわ。ねえ、あなた」
彼に微笑みかける。絶対に真実は気取られてはならないと言われた、数日前の会話を思い出す。
その日は座学だった。
どうやら少しは怒るのもやめてくれたようで、ちょっとほっとしてる。
折角一緒にいられるのに、なんだか二人でイライラしていてもしょうがないじゃない。
今までずっと離れていたんだから、もうちょっと甘い雰囲気になっても良いと思うのよね。
といっても娯楽があまりない船上だからしょうがないのかしら。
「で、大体の国の歴史はわかったな?」
珍しく眼鏡なんかかけた彼が、教師の顔で問いかけてくる。
「うん。昔習ったことあるし。建国王と呼ばれている始まりの王様が諸侯をまとめて現在の国を建国した。治水と灌漑に重きを置いたのよね」
「ああ、それまでは大河が氾濫するごとに死者が出る事も多く、作物も計画的に作ることが出来なかった」
彼はコンコンと指を机にあてて音を立て続ける。まるで考え事でもしているよう。
変な話なんだけれど、彼は支配する側の人なんだなって話の端々から伝わってくる。
どのようにして民をコントロールするか、大地を支配するか。
根底にあるのはそういった考えで、天候に左右される事を不思議とも思わない私とは視点が違う。
旱魃、大雨。それによってもたらされる食料不安。
それをどう解消するかという事なんて、私考えた事もなかったもん。
座学を聞く毎日で、王族のというのが正解なのか、支配階級のというのが正解なのかわからないけれど、立ち位置の違いを感じた。
予め天候がどう変わるのかを把握しておく事が出来たら、とても効率的に対処が出来る。
だから王族は、天候を動かすことが出来る竜たちと共存する事を選んだんだわ。
ご神託という名の未来の予言を知るために。そしてその情報を独占する為に。
そうでなかったら、恐らく支配する上では目の上のたんこぶなんじゃないかな。
人心は竜たちを信仰する形で、王族よりも竜たちを慕っている。
「あのね」
「ん?」
少しずり下がった眼鏡を押し上げつつ彼が首を傾げる。
「いっそさ、取り込む事は出来ないの? 竜たちを。効率を考えるならその方が良いような気がするのよね。かなり難しいって事は重々承知なんだけど、そう思って」
ふっと鼻で笑われ、彼がその眼鏡を外す。
「それは誰しも考えただろうな。実際、長兄はそうしようとして失敗した。それはお前も知っているだろう」
「そうだけど、共存するっていうのが最良なのかな。あ、それは支配する事を念頭に置いた場合ね。それは不可能だって事はわかっているんだけど」
椅子にもたれかかり、彼が興味深そうな顔で私のことを見る。
そりゃ、私はどっちかというと、あちらの人間だものね。そんな私が言い出すのはおかしいと思われたかな。
「竜に差し出す生贄を、どうせなら王家の人間だけにしてしまえば、王家の神性が高まると思うの。今もご神託は王家にしか伝えられないけれど、例えば王城にご神託を伝える人を置く事が出来たら、かなり民の見方が変わってくると思うのよね」
「それがお前の導き出した答え?」
「……うん。間違ってる?」
頬杖をついて、彼は視界を宙へと向ける。
溜息を吐き出したかと思うと、机を挟んで向かい側に座る私を手招きする。
彼の方へを身を乗り出すと、そうじゃないというようにもう一度手招きをするので、彼の傍に立つ。
「どうしたの?」
彼を見下ろすように立っているのに、手を握るだけで彼は立ち上がろうとはしない。
「竜の声を聴ける人間を自らの子孫だけから出したい。それが建国王の出した答え。故に最初に巫女と呼ばれるようになった生贄を自分の妃にした。その考えは今も脈々と受け継がれている。そして王族以外の人間も同じ考えを持っている」
「うん」
「巫女の血を手にしたものこそ、この国の真の支配者になりえる。だから人はこぞって巫女であった人物を求める」
「うん」
胸がざわついて息苦しいくらいなのに、彼から目が離せない。
「皮肉にも、他に比べれば輩出数は多いものの、王家からもそう多くの巫女は誕生していない。竜を崇め奉る神殿を支配する為に、神殿の長は王族に限られている。だから、その人物は後世に血を残さないことが多い」
「そうなの?」
「先の長から今の長が巫女になるまで、おおよそ60年の開きがある。その間を神殿から長は離れる事は出来ない。だから子孫を残すことは不可能だった。恐らく今の長もそうなるだろう」
とても美しくて、それでいて体の弱い女性の姿が脳裏に浮かぶ。彼の婚約者でもあるとてもとても綺麗な女性。
「だからこそ、新たな巫女の血の供給が必要になるんだ」
ずきりと胸が痛む。それに呼応するかのように彼の眉間に深い皺が寄る。
「どんな氏素性だろうが構わない。王家にとって巫女であった人物というのは、なんとしてでも手に入れたい存在なんだ」
「うん」
頷いて返すものの、ちくりと刺さったトゲのような痛みに顔が歪む。
「だから、巫女は望めば王妃にもなれるって言っていたのね。そこまでしてでも、王家にとっては欲しい存在なのね」
「ああ」
「じゃあどうしてあなたは私を選んだの?」
珍しく彼が動揺したかのように、目を見開く。
するりと逃れるように腕を彼から離し、少し距離を置いて立つ。
どうしても聞きたかった。いつもいつもはぐらかされてしまうけれど、どうして彼が私を選んだのか。
物理的に婚約者の人を娶るのは難しいというのはあるかもしれないけれど、それで諦めてしまえるような程度のものだったの? 生まれた時からの婚約者だとは聞いているけれど。
「だって、先の長にもう少し任期を続けてもらえば、今の長である婚約者の人を娶る事も可能だったはずよ。ある程度の時間があれば、子供を産ませることだって可能だったはず。そしてその後に長に就任して貰えばいい。それが一番あなたの選択肢の中では最良のものだったはずだわ」
私の発言を、ふんと彼が鼻で笑い飛ばす。
「本当に聡明だな、お前は」
褒められたのかもしれないけれど、彼の目は笑ってはいない。
まるで、かつてお互いに正装をして対峙して心中を探り合っていた時のような緊張感が漂っている。
「俺はその選択はしなかった。お前を選んだ。それが不満か」
「ううん。そうじゃないの。どうしてなんだろうなと思っただけ。あの時点では、あなたは私を選ぶという選択は無かったはずだもの」
「答えは単純だよ。婚約者側が神殿にいることに固執した。ただそれだけの事だ」
一生分の恋ならしたわ、と笑って答えた女性の姿が頭に浮かんだ。
とても幸せそうに笑っていた。
彼の事なんて、ひとかけらも気に掛けていなかった。
「あなたは私が竜に関わる人間であったことを公にして欲しい?」
彼は立ち上がって首を横に振る。
「いや、お前が望むなら隠し通そう。俺とお前だけがその事実を知っていればいいよ。本当は違う瞳の色の事も、首筋に残る竜の噛み跡も、俺だけが知っていれば良い」
「どうして?」
「だって俺はその事にあまり価値を見出していない。俺はそんな事を理由に、お前を選んだんじゃないから」
そういう彼の服を指先で摘んで、見上げて彼を見る。
目を細めて、口元に笑みを浮かべている彼が愛おしい。
「ありがとう」
コンと彼の胸に頭をつける。
本当は言いたいことがたくさんある。
きっと村娘で庶民の私じゃ、彼の隣に並ぶのには相応しくない。大体の事は思い通りになると彼は言うけれど、現実はそんなに簡単じゃないだろうと思うの。
だからその辺りをどうするつもりなんだろうかとか、本当は私が竜と関わりがあったことを公表しちゃったほうが事が運びやすいんじゃないだろうかとか。聞きたいことは山ほどある。
過去に7年もの長い間私がしていた、特殊な仕事。
それは竜の巫女。
竜の声を聴き、ご神託を彼に伝えるのが私の役目だった。今は他の人がその役割を引き継いでいる。
巫女を辞めた後、少なからずトラブルに巻き込まれる事があった。
それは私の血を求めてやってくる人が後を絶えなかった事。そして中には強硬手段に出ようとした人もいた。
だから、巫女の価値は嫌って言うほど知っている。
だけど巫女っていう色眼鏡を抜きにして、彼には私自身を見て欲しいと思う。きっとそういう事も、彼はわかっているから公にはしないと言うのだろう。
巫女をやっていましたとは言わず、人に問われれば、特殊な仕事や役目を担っていましたとしか言わない。私も彼も。
二人の間でも、その単語さえ口に出さない。それが暗黙の了解になっている。
ただこれだけは伝えておこう。
「もしも過去を隠したままだったら一緒にいられないなら、ばらしても良いと思ってるの。一緒にいられなくなるほうが嫌なの」
にやりと笑われたのは、気のせいだろうか。ううん、きっと気のせいなんかじゃない。
「そんなに俺がいい?」
ああ、またこういう展開になるのね。
どうしていつも茶化すように言うんだろう。
「あなたが良いの。他の誰でもなくて。これで満足?」
開き直って言うと、何故か爆笑された。
どうして……?
腹を抱えて笑う彼の様子を呆然と見ていると、急にぎゅっと抱きしめられる。
「お前は俺にとってはただの女だけど、過去を他人に知られたらそういう風には見てくれない。どう利用するか、もしくはどうやって血を手に入れるかを考えるだろう」
耳に届く声は真剣そのもの。
「だから絶対に俺の傍を離れるな」
「うん」
「ある貴族の養子にする事で話は済んでいる。だから素性を問われたら貴族の娘と答えろ。いいな」
「わかった。ありがとう。守ろうとしてくれて」
この腕の中にいれば安心できる。心からそう思える。
「それと、この間の異国人にも知られるな」
異国人というのは、この間喧嘩した日に少し話をした人のことよね。
「あれは厄介な人間だ。ここに本来ならいるはずのない人物だ。奴が入国していたという情報を俺は掴んでいない」
顔をしかめる彼を覗き込むと、ポンポンと頭を撫でられる。
「隣国の第七王子だ、奴は。兄上の義理の弟。もしも公式に訪問していればそれなりの対応をしなくてはいけないが、そういった情報は一切掴んでいない。お忍びだな」
それにしたって、と更に彼が続ける。
「大概の情報は俺のところに入ってくるはずなのに、一切の情報が無いというのもおかしい。何らかの策略があるに違いない」
そんなに悪人っぽくは見えなかったんだけれど、そういうものなのかな。
ちょっと身分はありそうだけれど、普通の人に見えたのに。
「自国においてさえ、竜に関わる人間は重宝される。なら、他国の人間ならどう考える?」
抱きしめられているはずよね。座学に続きにしか思えないんだけれど。
でも一生懸命考える。もしも私が隣国の人間で、この国を支配しようと思うなら。
「もしも可能なら、だけれど」
「言ってみろ」
「うん。早いのは王家の中に自分の勢力を増やすわ。で、内部崩壊を企む。それかいっそ武力で制するって案もあるわ。でもそれは犠牲が多いし、簡単に一国を滅ぼすなんて出来ないと思うの」
先の大戦を思い出す。
かなりの人的被害だけでなく、もう住めなくなってしまったほど被害が出てしまった街もあるという。
それだけの被害を受けてもなお、この国は今までと変わらずに王家が支配し続けている。
「支配系統が二つあるなら、どちらかを制してしまえば良いと思うのよね。しかも信仰の対象となっている神を支配下に置けば、少なくとも人心の掌握は出来るわ。だから長い目で見れば、支配する事も可能になるんじゃないかしら」
ふっと彼が鼻で笑う。
「正解。じゃあお前ならどうやって神を支配下に置く?」
「巫女を自国から選ばせるわ。その為に歴代の巫女を全て掌握する」
言いながら背筋が寒くなる。
中にはまだ未婚の巫女経験者もいるだろう。そういった人を全て自国に連れ帰り、そして目ぼしい相手を見繕って子供を産ませる。そして次第に自国からしか巫女が出なくなれば、ゆっくりとではあるけれど確実に国の中枢に食い込むことが出来る。
また、巫女たちが自分の国を捨て、他の国に大挙して嫁いだという事実が残れば、そちらに移住しようと思う者も出てくるかもしれない。
国王と同列の象徴的存在だから、巫女は。
「巫女を手に入れれば、それだけで人心は動くだろうから、とりあえず掻っ攫ってでも一人二人は連れ帰るかも」
「お前なかなか腹黒いね」
「腹黒いって、ひどっ」
クスクスと彼が声を上げて笑う。
「知識と、それを使いこなす賢さは必要だよ。俺としては褒めたつもりなんだけど」
「あまり嬉しくない褒め言葉だわ」
眉をひそめる私の眉間を彼が指差す。
「ブスになるぞ、そんな顔してると。あと口は尖らせない」
「はーい」
「伸ばさない」
お小言を言っているはずなのに、彼はやけに嬉しそうな顔をしている。正直、私は何にも面白くもないわよ。
腹黒いとか貶され、それに不満を言えばお小言を言われ。
眉間にちゅっと音を立ててキスをされて上を向くと、彼が耳元で囁く。
「誰にも言うなよ。お前の秘密。俺とお前だけの秘密だよ」
そういう言い方ずるーい。変にドキドキしちゃうよ。
彼は私に甘いけれど、強さを求める。難局を一人で切り抜けられる強さ、知識、そして狡さ。
要注意人物に彼とどこで出会ったかを訪ねられて、なんと答えるのが正解なのかはわからないから彼に説明して貰おうかと思ったのに、ただただ微笑みを浮かべているだけ。
こんちくしょう。
「馴れ初めなんて、恥ずかしくてお話できませんわ」
ふふふっと笑みを浮かべて返し、ねえと首を傾げて彼を見る。
「そうだね」
おっ。もしかして正解だったのかしら。良かったわ。
目の前のお茶を一口飲んで、隣国の王子の顔を見る。返答に不満がありそうには見えないわ、ニコニコしているし。
良かった。乗り切った。
ほくほくとしながら、テーブルの中央に盛られたお茶菓子に手を伸ばすと、低い声が左側から響く。
「隠さなくてはならないような秘密でもおありになるのですかな。私の知るところ、あなた方が公的に婚姻関係を結んだという事実は聞いた事がありませんねえ」
意地の悪い笑みは私を値踏みし、彼を挑発しているようにも見える。
緊張感で手に汗を握っているけれど、気取られてはいけない。
「ふふふ、お察し下さいませ。愛の逃避行中ですの。ね?」
彼に振ると、彼もまたうっすらと寒気のするような笑みを浮かべている。能面のような笑いのまま、答えようともしない。
ぱくんと手にしていたお菓子を口に放り込み、二人の冷戦を気にする事もないようなフリをしてお茶を飲む。
「わたくしちょっと喉が痛むの。風邪かしら。そろそろ部屋に戻りませんか」
二人に提案するように言い、てきぱきと目の前のお皿やらカップやらを片付けていく。
片付けると言っても、カウンターにいる船員に渡すだけなんだけれど。
全てを手渡し終わって振り返ると、二人とも何故か苦笑を浮かべている。
あ、もしかして貴族の娘としてはこれはやりすぎ? 普通は片付けなんてしないよね。失敗したかも。
「風邪をうつしてもいけませんから、治ったらまたお茶でも致しませんか」
隣国の王子に問いかけると、目を細めて笑う。
「ああ、構いませんよ。お身体ご自愛下さい」
「ありがとうございます。ではごきげんよう」
王子の横をすり抜け、彼の腕に手を回して微笑むと、ポンと頭を一度撫でるように叩かれる。
「今日はゆっくりすると良い。船旅の疲れが溜まっているのかもしれないね」
「そうなのかしら。じゃあゆっくりお昼寝してもいいかしら」
ぷっと彼が噴き出す。
「ああ、構わないよ」
そんなどうでも良いような会話をしつつ廊下を歩いていると、背後から肩を掴まれる。振り返ると、隣国の王子が険しい顔で立っている。
「決めた。お前、俺の妃になれ」
はいー?
「嫌です」
即答よ、即答。だって、言っている意味がさっぱりわかりません!