3
彼女は俺を王弟でも王族でも祭宮でもなく、ただのウィズとして見てくれる。
なんの飾りも無い俺を見て、俺がいいと言ってくれる。
だから彼女がいいんだよ。
妹を水竜の神殿に迎えに行く前に聞いた殿下の言葉。
迎えに行き、俺の顔を見るなり腕の中に飛び込んできた妹を抱きとめた瞬間、ふいに思い出した。
なんの飾りも無い……。
ならば妹には俺はどう見えているのだろう。
いや、そんなことは一片も考えてはいけない。妹を無事に殿下にお返しする事こそ、課せられた使命。
なるべく不自然に見えないよう、恋人のように見えるように、兄妹のように見えるように、それだけを考えればいいんだ。
今まで妹と接していた時のようにと言うのを念頭に置くが、どうしても殿下のことも気に掛かる。
暗に手を出すなとおっしゃられていた。俺が妹と親密になるのは不快なのだろう。だがそんなことを思われていても、今は演技をしなくてはならないし。どうしたらいいんだ。
下手に距離を置くと、全ての芝居が台無しになってしまう。
今までの演技が台無しにならないように振る舞いつつも、妹と二人きりになった時には過剰に触れ合わないように意識する。
だから妹が神殿の礼拝堂に神官長である女性に招かれ、神殿の外周を二人で歩くとなった時には、なるべく口を開かないようにした。
これでいいのだろう。
妹は俺に何も求めてはいない。
「すまないな。迎えが俺で」
俺が迎えに来て、妹は落胆しているのではないだろうか。
そう思うと、口に出さずにはおられなかった。
「彼は?」
「王都だ」
「じゃあ私はずっとここにいたほうがいいの?」
ここに残りたいのだろうか。
妹にとって、王都の屋敷より、王宮より、ここのほうが居心地がいいだろう。
当初から懸念してはいたが、一度戻ったら戻りたくないと言われるのではないだろうかと。
「ここにいたいか?」
「お兄様と王都に帰ります」
「そうか」
激しく首を左右に振って否定する妹にほっとした。これで戻らないなどと言われては困る。
だが、妹にとって、本当に王都に戻る事が一番良い事なのだろうか。
ここにいれば、先ほど妹の荷物を俺に渡した神官のように、妹を「お嬢」として先の巫女として大事に大事に扱ってくれるだろう。
妹を害す者は誰もいない。
誰も、妹を傷つけようとしないだろうし、ここでの生活のほうが慣れ親しんでいる分、過ごしやすいだろう。
本当に王都に戻す事がいいのだろうか。本人は戻ると言っているが。
改めて考えると、どれが正解なのかわからなくなってくる。
殿下の為を思うと、妹を王都に連れ戻して無事にお渡しするのが一番なのだが。それが果たして妹の為になるのだろうか。
悶々として考え込みながら歩いていると、ふいに視界に見慣れないモノが飛び込んでくる。
こ、これは。
何故ここにいる。
紅の鱗に覆われた、巨大な爬虫類のような姿をしたモノ。
この国において最も尊き存在、紅竜。
視線が合うと、射すくめられて一歩も動けなくなる。一歩でも動いたら喰われてしまうのではないかと思うほどの威圧感。
これが竜なのか。
紅竜の視線が動き、俺ではなく妹へと向けられる。
ニヤリと竜が笑ったような気がすると、ベロリと舌で妹の顔を舐め上げる。
ぞっとするような光景なのに、妹は穏やかな顔で竜に手を伸ばし、その頬に触れ、お互いの額を合わす。
これが、巫女。
初めて見た竜と巫女の交感する光景に、感動を覚えるよりも寒気を覚えた。
この人ならざるモノと妹は、一体どんな会話をしているのだろう。
まるで愛おしい者を見るような視線に、巫女という存在の計り知れなさを感じた。
これは凡人では巫女になどなれんな。
竜を目の前にして、最初に現れる感情は「恐怖」だ。
それなのに妹は竜に対して恐怖を抱いていない。怖いモノだとは全く思っておらず、むしろ愛情さえ持っているように見える。
小さく咆哮を上げたかと思うと、竜はあっという間に空へと舞い上がって、どこかへ飛んでいってしまう。
その姿を妹は心残りでもあるかのように見上げている。
どうしてだ。
俺は正直、竜が消えてほっとしているのに。
妹は巫女だから竜の声が聴こえ、その為に竜に対して恐怖感を抱かないのだろうか。
「本当に今はもう竜の声は聴こえないのか?」
声が擦れる。竜に対しての恐怖の残滓のようで、兄として情けない。
「はい。もう聴こえません」
本当に聴こえないのだろうか。そんな風には思えなかった。
聴こえないのならば、どうして竜とあのように、互いの声を聴くかのように出来るのだろうか。
「お前にとって、竜とは何なんだ」
「友達みたいな感じです。紅竜は」
「ともだちだと!?」
「はい」
あれを友達と言い切る妹の顔を、まじまじと見つめてしまう。
どうしてあの化け物を友達と言えるのだろう。
「竜が友とはな」
搾り出した言葉は反芻するだけのもので、それ以上何も言えなくなってしまった。
竜を友とし、王弟を恋人にしている妹。
どちらも権力の頂点にいる者たち。
そんな二人(いや、一人と一匹か)の心を溶かしてしまうのは、一体どうしてなのだろう。竜も殿下も、どうして妹に惹かれるのだろう。
答えは自分の中にあると、殿下はおっしゃった。
しかし答えは見つかるわけも無く、ただただ疑問だけが心に残った。
王都に帰ってから、殿下の軟禁が解けたこともあって、近衛の仕事に戻る。
必然的に妹と過ごす時間は少なくなり、夕飯時や寝る前の僅かな時間しか妹と過ごす事は無くなった。
決して避けているつもりはないが、殿下の言葉や竜との交感を見てしまった後で、以前のように妹と接する事が出来なくなった。
逆に妹は父といる時間が圧倒的に増えた。
母曰くだが、二人で殿下を取り戻す作戦会議をしているらしい。
作戦も何も、陛下に首を縦に振らせればいいだけなのだ。現状不可能だ。
その不可能をどうやって挽回するつもりなのだろう。全く俺には想像がつかない。
業務で殿下のお傍にいる時間も多いが、陛下直下の近衛も同席しているので、余計な話など出来るわけも無い。
家と王都の往復で過ごしていると、ある日妹からとんでもない計画を伝えられる。
「本当に実行できるのか」
「ええ。必ず紅の竜は来ます」
自信たっぷりの表情で頷く妹に、溜息が漏れる。父の表情にも多少の困惑が見える。
「既に竜の声は聴こえないのだろう。それなのにお前の言葉が竜に届くのか」
確認せずにはおられなかった。
「ええ。必ず」
その確信の生まれるところは何なのだろう。
しかしこれしか策は無いようだと、父も覚悟を決めたようだった。
「一世一代の大博打、打ってみるか」
俺の言葉に、妹は微笑んだ。
そして、博打は成功した。
予定外というか、俺も父も聞かされていなかった暴挙に出た妹を竜が助け、その身を殿下に託した。
多分、きっと、これで良かったのだろう。
秋晴れの日、正装をして王宮に向かう。
王宮の中にある一室にいる妹を訪ねると、真っ白なドレスに身を纏い、俺のところに駆け寄ってくる。
「お兄様、いらして下さったのですね」
胸元に光る大きな青い石。
殿下が何年も愛し続けた女性である事を示す、青い石。
今日、国の内外に、妹の事が公表される。
王族の結婚式なんていうのは、所詮お披露目とお祭りを兼ねたものに過ぎない。本人の意識がどうであろうと。
「当たり前だろう。俺はお前の兄なのだから」
そう言うと、妹がにっこりと微笑む。
「ええ、二人きりの兄妹ですものね」
そうだ。兄妹なんだ。
辞書に書いてある通り、妹っていうのは「きょうだいのうちの年下の女」なんだ。
もやもやと色んな感情が湧き出でては消えを繰り返しているが、それでいいんだ。
言葉に出来ない困惑に異名を付けたのは、自称恋愛の達人らしい商売女だった。
王都に戻って数日後、どうにも拭えない違和感というか、こう煮え切らない感情があって、それを晴らすつもりではなかったのだが、馴染みの女のところを訪れた。
「あら。てっきりもう二度と来ないのかと思ってたわ」
むせ返るような花の香りと共に、女が俺にしなだれかかってくる。
「酒を飲みにきただけだ」
女を買いに来たわけではないと告げると、ぷぷっと声を上げて女が笑う。
「そっか。あんた熱を上げてる女に、相手にされてないんでしょ」
熱を上げてる女? 一体何のことだ。
「どーせ初恋が上手くいかなかったからアタシのとこに来たんでしょ。わっかりやすい朴念仁ね」
くすくす笑って、女は俺の前にあるグラスに酒を注ぐ。
「初恋の相手は自分に靡かない。でも恋愛相談に乗ってくれるような相手もいない。だから悪態つかれるってわかってても、アタシのとこ来たんでしょ」
「初恋? 何のことだ。全く覚えが無いな」
注がれた酒を飲み、さも面白い話をしているかのような女の話に耳を傾ける。
この女に俺がどういう風に映っているのかが、ふいに気になった。
「あははっ。だーかーら、朴念仁だって言うのよ。あんた自分の恋心にも気付いてないんでしょ。一体どこのお姫様に恋しちゃったわけ?」
「全く記憶に無い」
「あーら。そうなの? それならそれでいいのよ。初恋は実らないものって良く言うもの。あんたの失恋に乾杯してあげるわ」
「全然話が噛みあってないが」
「そんなアタシが好きなくせに」
思わずぷっと噴き出してしまうと、女はにっこりと笑う。
「やーっと笑った。アタシの前ではそういうだらしない男の顔してなさいね。あんた堅苦しくって、ホント嫌になるわ。お役目大事って顔してさ」
そうだろうか。全くそんなことは無いと思うが。
反論してもどうせ持論を展開するだけなので、何も言わずに酒を煽る。
なんでこの女のところに来たんだろうな、俺は。
「そういえばさ、あんた噂の彼女はどうしたのよ。ラブラブデートの現場、見ちゃったんだ。あの可愛い彼女が愛しの相手?」
「噂って何だ」
「あーら。知らぬは本人ばかりなりね。近衛連隊長がカフェで彼女とデートしてたって、下っ端くんたちの間で結構有名よ」
妹の事か。
噂になっていたのなら、こちらの作戦の思惑通り、皆が騙されたという事だな。
「あれは妹だ」
「妹? あんた、妹なんていたっけ?」
「最近出来たんだ」
女は酒を一口飲んだかと思うと、俺の顔をまじまじ見る。
「何だ」
「ふーん。そっか。良くわかったわ。あんた、人の道を外れるような恋をしちゃったわけね?」
訳知り顔で頷く女の言わんとする事が、俺が妹に恋をしているという事だと気付くのに、そこから酒1杯分は必要だった。
酒を飲んで意味を考えていると、女がポンっと俺の肩を叩く。
「アタシが聞いてあげようじゃないの。アタシはこんなところで働いているだけあって、恋愛の達人よ」
ふっと笑いが漏れると、女は満足そうな顔をする。
「妹って、どんな子?」
その言葉で、やっと俺の恋の相手が妹だと思い込んでいると知る。
「妹には別に恋愛感情なんか抱いてないぞ」
ふふっと女が笑う。
「それならそれでいいのよ。ただ、あんたがデートしていた妹ってどんな子なのかなって思っただけよ。その仏頂面がにやけ顔に変わってたって言うじゃない」
そんな噂をしていた奴が誰か、後で調べておこう。
「色々あって、妹の気分転換をしてやりたくてな」
「ふーん。それで?」
「生真面目でびっくり箱ってのが、妹の総評だな」
びっくり箱の所以は、まだイマイチ掴み切れていないが。
何年も妹と接している殿下と片目がそう言うのなら、そうなのだろう。
「生真面目なのはアンタそっくりね。アンタもお役目大事の人だもんねぇ」
「そんなことは無いな。妹のほうがずっとずっと生真面目だ。どんな苦手な事からも逃げ出さない。人に対して真っ向からぶつかり、全てを受け止める」
「それで?」
興味なさそうに酒のグラスばかり見つめる女に、俺はどうして妹の事なんか話しているのだろう。
酒のせいだろうか。妓館の中でのことは外に漏れないからだろうか。心中を他に吐露する相手がいないからだろうか。俺は妙に饒舌になっていた。
「ありのままの姿を見て、ありのままに受け止める。例え相手がどんな身分であろうとも、どんな姿をしていようとも。気取らずに素朴で、とても優しい妹だよ」
やに下がった顔をしていたのかもしれない。
女が俺のことを呆れ顔で見つめる。
「あんたが今妹の事を話していた顔を、鏡で見せてやりたいね。それは恋する相手を語る時の顔だよ」
「いや。妹は嫁ぎ先も決まっている。俺なんかがあれこれ想っていい相手じゃない」
「ばーか。思いもよらない相手を愛しく想うのが恋愛ってやつよ」
溜息を吐いて、女が俺の顔をまるで哀れむように見る。そんな顔をされるのが不快かというと、案外そんなことは無く、正面から女の目を見つめ返す。
「自分の気持ちを伝えたくて、相手を自分のものにしたいと強く思いを寄せるのが恋。相手のことを想い、相手が一番幸せになる方法を考えるのが愛よ。あんたは妹にどんな感情を抱いているの?」
咄嗟に返す言葉が出てこない。
「相手の喜ぶ顔が見たいの? それとも自分を見てくれたらそれでいいの? もし後者なら恋かもしれないわね」
「いや……」
否定しておきながら、その後の言葉に詰まってしまう。
妹が殿下を恋い慕っているのはよく知っている。離れがたそうに別れた甲板で、妹は殿下だけを見つめ続けていた。
俺なんかが入る余地なんて到底無い。そのことは最初から知っていた。
だから、恋なんてするわけが無い。
「アタシはさ、こんな仕事してるせいかね、結構惚れっぽいのよ。一度寝た男には情が移るわ。だけどその中でも穏やかでいられる相手と、そうでない相手がいるの。きっとそうでない相手が恋の相手なんだろうなって思ってるの。自分を見て欲しくて、心がざわめいて嫉妬で胸が一杯になる」
思いがけない女の打ち明け話に、グラスを持つ手が止まる。
「アタシだけを見て欲しい。アタシだけに笑顔を向けて欲しい。触れたい。少しでも一緒にいたい。そんな風に思うこともあるのよ」
「……独占欲か」
「そうね。独占欲。自分だけのものにしたいの」
「恋じゃなくとも、嫉妬するだろう」
殿下のことを思い浮かべて言うと、女はクスクス笑う。
「そう? まあ簡単に言うと、所有権を主張したくなるのが恋よ」
触るなだとか、獲っていいと言いつつ俺を睨みつけてくるとか、殿下の行動は嫉妬以外の何物でもないな。
それは妹に恋をしているからなのだろう。そのことを受け入れるのは容易い。
「あんたが妹を独占したいと思わないなら、穏やかに傍にいたらいいんじゃない。兄妹なら死ぬまでその縁は切れることは無いわ。相手の幸せを思って、妹を大切にしたら?」
「ああ。前向きに検討しておく。ありがとう」
ぎょっとした顔で、女が俺を見る。
「あんたにありがとうなんて言われる日が来るとは思ってもいなかったわ」
鼻で笑い、酒のグラスを手に取る。
「阿呆。言ってろ」
ただ、わかった。
受け入れがたいが、初恋なんかじゃないとは思うが、敢えて言うならば俺が妹に抱く感情は恋愛感情なのだろう。
独占したいわけでもなければ、自分の傍に置いておきたいわけでもないが。
ただ、ほんの少しだけ、殿下に嫌がらせをしても構わないだろう。兄なのだから。
「本当に綺麗だ。嫁になんか出したくないくらいだ」
俺の賛辞の言葉に、妹が頬を染める。
「ありがとう。お兄様」
みるみるうちに染まっていく頬に触れようと手を伸ばすと、背後から重苦しい空気が流れてくる。
「ギー。俺の目の届かないところで何やってるんだよ」
「髪飾りがずれているので、直そうとしただけですよ。本当にあなたは嫉妬深いですね。サーシャ、いつでも嫌になったら戻ってきていいんだよ。こんな嫉妬深い夫を持つと、苦労するだろうからね」
俺の嫌味に殿下は苦々しそうな顔を浮かべ、妹はクスクスと笑い声をあげる。
「大丈夫よ。嫉妬深くても、口煩くても、私はウィズがいいんだもの」
チクっと胸を刺す痛みを覚えるが、殿下と妹の微笑む姿を見ると、じわじわと言いようのない感情が広がっていく。
「ササ。そろそろお披露目だけど、大丈夫か」
「大丈夫よ。それよりもあの子来るかしら」
「どうだろうね。来ても竜と飛んでいくなよ」
殿下が妹に手を差し伸べると、妹は白い手袋に包まれた手を差し出された殿下の手の上へと重ねる。
立ち上がった妹は、そのまま殿下の腕の中へと吸い込まれる。
「行かないわよ。だって絶対にウィズの事は乗せてくれなそうだもの」
「それが基準かよ」
くすくすっと殿下が笑い声をあげる。
「当たり前じゃない。これからはどこに行くのも一緒よ。そう言ったのはウィズでしょ」
思いっきり甘ったるい顔をしている殿下も、嬉しそうに頬を染めている妹も幸せそうだ。
それでいいんだと思う。
兄と慕ってくれる妹の真意だとか、俺に預けた殿下の意向だとか、そんなことを難しく考える必要はない。
俺はこの二人を裏切れない。二人ともかけがえのない相手だ。
「はいはい。べたべたするのは二人きりの時にして下さいね。見苦しいですよ、そんな鼻の下を伸ばした顔は」
溜息交じりに言うと、殿下がクスっと笑う。
「他の誰に見せるわけでもないからいいんだよ。さあ、行こうかササ」
「はい」
妹の腰に手を回して部屋を出る殿下に一礼をして、主のいなくなった部屋の窓辺へと歩み寄る。
この部屋、殿下の私室の警備という重要な任を与えられているので、ここから離れるわけにはいかないという大義名分がある。
紅色の竜は現れるのだろうか。
目を凝らして外を見てみるものの、その姿は捉えられなかった。一瞬だけ世界が暗転したのかと思うほどの闇が訪れたが。
真実は後程妹と殿下から聞こう。きっと面白い話が聞けるだろう。
もしも殿下のことを良く思っていなかったら、妹をこの手にと考えただろうか。
もしも妹が殿下とは関係なく、偶然出会っていたのなら、妹を手に入れたいと思ったのだろうか。
そのどちらでもない現状では、二人の事を切り裂こうとも思えず、どちらかと言うと二人ともこの身をもって守ろうとしか思えない。
それでいいのだと思う。
明日には婚約者の姫君に、甘いお菓子の一つでも贈ってみよう。