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幼馴染


「ゆうすけ君、、」

「み、みずき、、俺は君、、、、」

なんと俺は今、美少女と名高いあの綾瀬みずきの部屋にいる。黒髪ショートカットに、くりっとした大きな目、東西南北あらゆる角度において隙の無い可愛さ、まさに王道美少女。俺といては世界の均衡が崩れそうである。


平々凡々な俺、園田ゆうすけの時を遡ること数時間前。


「、、、であるからして、皆さんの海皇学園での3年間が実りあるものになるよう、学業・部活同・恋愛、何事にも一生懸命に取り組んで、悔いのない高校生活を送って頂ければと思います。」

「一同、礼」

俺の名前は、園田ゆうすけ。

今日は高校の入学式である。長きに渡る校長先生のありがたいお話が終わり、残るは教材販売を残すのみ。

列が長い、ざっと見て30分くらいは並ぶのではないか。ふーむ今日はどうしようか。早いとこ教材買ってパパッと帰って、新作ゲームをやろう。

「楽しみだなぁ、、なんたって今作から双剣を超えた三刀流の狩猟武器が解禁されるからな。」


「すみません、こちら合計で税込3330円になります。三刀流ではなく、30円足りませんが、、」


「え、あ、、すみません。ちょっと待ってください」

恥ずかしい。あまりにも新作ゲームを心待ちにしすぎて、三刀流の心の声のくだりが漏れてしまっていたこともだが、探せど探せどお金が足りない。10円、10円、1円、5円、1円、、。

「すみません、3円足りなさそうなので、用意してまた戻ります!すみません!」

このあと、俺は中学の時の知り合いに声を掛けて、何とか教材を買い終えることができたが、

だいぶ時間をロスしてしまった。


空が暗い。廊下を小走りに歩く。


〜今日の天気は曇りのち雨、夕方から夜にかけて大雨となるでしょう〜


人気キャスターの逢海アナの声が、脳内再生される。


下駄箱に着く。


ポツポツ、、ポツ、ザーッ.......


案の定、雨が降り出した。なんて日だ、、。

「はぁ、走って帰るか」


「っっ、えと園田くん、、」

声が聞こえ振り返る。

「綾瀬、、?」


「園田くん、傘ないの?私も帰るところなんだけど良かったら一緒に帰る、、?」


突然の出来事に胸が高鳴る。鼓動がバクバクしている。綾瀬に聞こえやしないだろうか。


「い、いいのか?変な噂になっても知らないぞ」


「園田くんなら大丈夫だよ。小学校、中学校からの仲だし、、嫌だったらあれだけど」


「嫌なわけない。ありがとう、、」


綾瀬はいわゆる幼馴染であると同時に、俺の想い人でもある。これまで何度も、綾瀬に告白しようと試みてはきたものの、未だ告白はできていない。


「てか綾瀬も帰るの遅かったんだね」


「うん、あんまり人混み得意じゃないし、ゆっくり周ってたら、遅くなっちゃった。」


ポツリポツリと昔話も交えながら、帰路を辿る。変に声が上擦ってないだろうか。


「っと、、あのさ、、昔みたいに名前でみずきって呼んでもいい?高校までおんなじで、これからも長い付き合いになりそうだし」


「うんっ、、いいよ!えと、じゃあ私も昔みたいにゆうすけくんって呼ぶね。」


幸せだ。今日も告白には至らないが、一つ大きな山を越えられた気がする。綾瀬、否、みずきからのゆうすけくん呼びが頭から離れない。


そうこうしている内に、みずきの家の前に辿り着く。


「ほんと楽しくてあっという間だった、、え、待ってごめん。ゆうすけ左側びしょ濡れだよ。私ばっかり傘に入っちゃってたね。」


「いや、全然平気だよ、そんなに濡れてないし気にしないで!傘入れてくれただけでも助かったし、楽しかったから!」


「私もとっても楽しかった!けど、そんなんで帰ったら風邪ひいちゃうし、、よ、良かったらウチ上がってく、、?昔はよく遊びにきてたし、、」


「いいのか?うーん、、わるいな。けど懐かしいし、、お言葉に甘えて、久々にお邪魔させてもらおうかな、、」


「うん、そうして!ゆうすけくんが明日学校休んじゃったら申し訳ないし。」


「明日休んでたら、みずきのせいだわ」

「ふふっ、ちょっとやめてよ」

お互い笑みが溢れる。


「じゃあ、どうぞ綾瀬家に。上がって上がって」


こうして俺は、入学式初日から好きな人の家に上がることとなった。ここまで来たら告白するしかないよな。だけど、みずきは俺のことどう思ってるんだろうか、、、


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