5-14.クロ、フユとナツに勝負を挑む!
本日は作者が夜勤なので朝に投稿しています。
グロー歴523年9月3日 曇
おはよう!昨日はナツの店で大宴会だったね。
かなり夜遅くまでやったので、ナツの家で寝させてもらった。モンドくんはフーちゃんの部屋で一緒に寝たよ。
「な!?なんでフーといっしょなんだよ!?」
「みんなでねるからだよ〜。フーといっしょはいや?」
「そういうもんだいじゃねー!おんなのこといっしょってダメだろ!?」
「フーはいいよ?じゃあ、いっしょにねようね〜!」
「おい!?ひっぱるなぁ〜!」
フーちゃんが強引にモンドくんを部屋に連れて行っちゃった···。モンドくんもそういうのを気にしだす年頃なんだなぁ〜。
リオたちは使ってない部屋の2段ベッドの一室で寝たよ。ボクたちももう1室でフユたちと寝たよ。クロくんとエイルさん、イピムさんはリビングで寝たんだよね。
そして朝になり、ナツが朝食を用意してくれていた。焼きたてのパンとソーセージっぽいものとスクランブルドエッグっぽいものだったね。かなり豪華だよ〜!
そして、ボクたちはフユが住んでいるリム流道場にやって来た。今日はここでクロくんがエイルさんとイピムさんに試合を申し込んでるんだ。
「みんな!今日は先輩のエイル氏、それにリオ講師、そして隣の大陸から黒竜のクロ氏を招いている!槍とは違う武器を扱っているが、どのように対処するのかをそれぞれがじっくりと考えるいい機会だ!」
「「「「おうっ!!」」」」
お〜!フユも立派になったなぁ〜。リム流とフユが完成させたフユ流の2つを教えてるんだよ。最近は剣術もやりだしたようで、道場生がたくさんいるね〜。
まずはクロくんとエイルさんが試合をする。
「よろしくお願いしますね」
「こっちこそ!本気でやらせてもらうぜ!」
試合開始と同時にクロくんは突っ込んでいった!槍は間合いが大きいほど有利だけど、得物が長いから、懐に入られると一転不利になりやすいんだ。
「甘い」
「うおっ!?危なかったぜ···」
エイルさんは予想していたみたいだね。槍を持ち替えて短めに持ち、クロくんの拳に槍先を持ってきた!そのままパンチを打ち込めば拳がやられるという作戦だったようだね。クロくんはいったん引いたよ。
「では、今度は私からいきましょうか!」
「おう!かかってこい!」
「はぁああーーー!」
今度はエイルさんからの攻撃だ!槍は中間よりも短めに持ち、接近戦を仕掛けてきた!槍は長めに持って相手のアウトレンジからの攻撃が主にやるんだけど、敢えてクロくんに合わせてくれたようだ。白熱した試合になってるよ。
「やりますね〜!魔法を使ってきてない段階でここまでやられてしまうと、かなり厳しいですよ」
「その割にはまだ余裕ある顔してるぜ?やっぱ整調者ってのはすごいんだなぁ〜!」
「ははは!整調者と言っても対魔獣がメインですからね。こうして1対1は苦手なんですよ」
「苦手···、言葉間違ってねぇか?とてもそうには思えんぞ!?」
「本人がそう言ってるから正しいですよ?」
「やっぱとんでもねぇわ···」
「ははは!ではここまでにしましょうか?イピムが次に控えてますしね」
「おう!ありがとうございました!」
「では、次はオレだな」
「おう、よろしくお願いするぜ!」
「かなりの腕のようだから、オレも久しぶりに手加減なしでやらせてもらおうか!」
次はイピムさんが相手だ。大きな斧を片手で軽く振るってクロくんをけん制しつつ、ガンガン攻めていってるよ。
対するクロくんはイピムさんの斧の動きをよく見てかわしていた!
そんな時だ!クロくんはイピムさんの斧をかわす時に軽く斧の横を叩いた!
「ぬっ!?」
「もらったぜ!」
「甘いわ!!ぬぉおおおーー!!」
「なっ!?うわっ!?」
イピムさんの得意技である衝撃波がクロくんを襲った!不意打ちっぽくなったから、もろに受けちゃったね。
「ははは!なかなかやるではないか!斧の動きをずらすとは、かなり難易度が高いぞ?」
「リオさんに似たようなことされたからな。オレなりにやってみたんだぜ!」
「なるほどな!さすがだな」
「でも、やっぱかなわねぇか···。ありがとうございました!」
「こちらこそ!楽しめたぞ!」
次はフユと対戦だ。連戦だけど、クロくんはやる気十分だったよ。
「よろしくお願いしますね。剣と槍、どっちがいいですか?」
「剣でお願いするか!まだやってないしな!」
「了解。では···、いくよ!秘技、疾風迅雷!」
「なっ!?速い!!」
フユはスピードで勝負するようだね。このあとはナツとも試合するけど、その前座みたいな感じにするようだね。
「やりますね!まさか竜気で受け止めるなんて!」
「避けるのが間に合わないだけだ!」
「なるほど···。リオパパよりも強力っぽいですね!では···。秘技、大噴火斬り!」
次はパワーで抑え込みにかかった!さすがにこれは避けたね。ということは、クロくんは自分自身の竜気の強度と、相手の技の威力を瞬時に推測して対応してるって事だ。なかなかできないよ?
こうしていくつか剣技をフユが使って、クロくんはなんとかしのぎ切るので精一杯になっていたよ。
「ハァッ、ハァッ!さ、さすがにきつくなってきたぜ···」
「じゃあ、ここまでにしよう。久しぶりに強い相手で楽しかったよ。ありがとうございました」
「こっちこそ、ありがとな!」
最後はナツが相手だ。ただ···、
「···どっちかといえば、ナツの技を受けて感想聞くって事になるかな?」
「え?どういう事だ?」
「···もう疲れ切ってる。···だから、暗殺術を見てもらうよ」
「少しはフーと試合した時に見たけどな」
「···そう。···じゃ、対処してみて」
そう言って、ナツは頭の上に魔法の光の玉を作ってから投げナイフをクロくんの影に投げ込んだ!『影ぬい』って技だね。
「んなっ!?またかよ!?う、動けねえ!」
「···これは2回目か。···じゃ、次はこれ」
ナツはクロくんに向かって歩き出した。この歩いているナツは幻という『空蝉』って技だね。背後にナツ本体がいるんだよ。
結局はクロくんは身動き取れなかったので、何もできずに終わったよ。その間はナツがいろんな暗殺術を見せていたよ。
「ハアッ、ハアッ。あ、ありがとな···」
「···ん。···試合ではフーが世話になったって聞いた。···こっちこそありがと」
こうしてクロくんの武者修行は終了した。そろそろお暇しようかとすると···、
「パパ!おれ、かいでんひぎをかんがえた!みてくれ!」
「えっ!?モンド···、本当かい?」
「おう!このまえカーネさんにいっぱつぶちかましたぜ!」
「そうか···。よし!じゃあ、受けて立つよ!」
最後にモンドくんが先日創った皆伝秘技の無双十文字をフユに見せることになった。
「いくぞーー!!かいでんひぎ!むそうじゅうもんじーーー!!はぁああーーー!!」
モンドくんが槍を薙ぎ、そして振り下ろす!すぐに槍を持ち替えて十文字の中心に槍を投げ込んだ!
「ぐぅっ!?す、すごい威力だ···!?」
「ハアッ、ハアッ!パ、パパ!どうだ!?」
「ははは!素晴らしいよ!槍の基本をとことん突き詰めたんだなぁ〜。まだおれも皆伝秘技は創ってなかったかったからなぁ〜。これはモンドに先を越されたなぁ〜」
「それじゃあ!?」
「ああ。もうモンドの槍は十分一人前だよ。これからも精進するんだよ!」
「やったーー!!パパ!ありがとな!」
良かったね、モンドくん!
モンドくんはどうしても同い年のフーちゃんと比べてしまって、劣等感があったんだよ。まぁ、フーちゃんがすごすぎるだけだから、比べるのがおかしいんだけどね。
でも、モンドくんは頑張ってここまで至る事ができたんだ。フユは親として、そしてボクは祖父として、とっても嬉しいひと時だったよ。
こうしてボルタニア大陸周遊の旅は終わりだよ。他に行っても修行になるような場所って言ったらリオの実家のレジストの集落だけど···。
「絶対にバトルロイヤルになるからダメだぞー。孫もいるし、難クセつけられるからなー」
それがあるから、ここまでにしたんだよ。それじゃあ、帰るよ〜!
さすがに4連戦はキツかったクロくんでした。
これにてクロくんはボルタニア大陸での鍛錬を終えてサバール王国へ帰ることになります。いい勉強になったようで良かったですね!
そしてモンドくんは槍の理に至れました!ですが、実戦経験が少ないのでまだまだ鍛錬が必要ですが、ひとつの大きな目標は達成できました。今後もモンドくんは強くなっていきますよ〜!
さて次回予告ですが、アキくんが寝ていると、深夜に思わぬ来客が現れます。そう、マクス帝国の刺客がアキくん暗殺に来たのです!
いったいどうなってしまうのでしょうか?と言ってもハルちゃんとフーちゃんがお相手しますのでお察しの状況にはなりますけどね。
それではお楽しみに〜!




