5-5.クロ、リオの鍛練を受ける!
グロー歴523年8月32日 晴れ
おはよう!時差ぼけの影響なくなって、おおむねいつも通りに起きたよ。
軽く朝風呂に入ってから朝食を作ってると、みんなが起きてきた。今日はナツの店が定休日なのでナツが帰省する予定だ。フユもモンドくんを迎えに帰省するんだよ。
さらにケンもアトラちゃんを迎えに帰省するんだ。久々に全員集合になるね!今日はバーベキューパーティーかな?ナツも大量に仕込みをしてるって言ってたから、今から楽しみだよ~!
「おはよー、アキー!今日は早めに起きれたぞー!」
「おはよう、リオ。時差ぼけの影響なのかな?もしくは昨日寝すぎてたからかな?でもこっちに来たって事は···?」
「おう!昨日買い物行ってないからなー!朝食はこっちで食べさせてくれー!」
「···そういうことね。ちゃんと朝食代はいただくからね」
「おう!今日はケンも帰ってくるし、リナもこっちに来るから、全員で鍛練するぞー!」
「じゃあクロくんも付き合わせてあげてね。リオに鍛えてほしいって言ってたからね」
「いいぞー!弁当も頼むぞー!」
「はい、はい」
「ちがーう!もっと真剣に弁当を作るんだー!!」
某皇帝継承の儀じゃあるまいし···。なんでリオがそのネタ知ってるんだ?ただ単においしい弁当を作れって事かな?まぁいいか。
みんなで朝食を食べ終わった後に町の外にある、リオの訓練場にやってきた。
すると、フユ、ナツ、リナ、ケン一家全員がもう来ていて、話が弾んでいた。そんな中、いち早くボクたちに気づいたのはヨウくんだった!というよりはフーちゃんに気付いたというべきか···。
「フー!お帰り!無事だったか!?ケガしてないか!?」
「ただいま~!パパ!フーはだいじょぶだよ~!パパこそだいじょぶ~?」
「ああ!アイツに何度も気を失わされたが大丈夫だぞ!」
「よかった~!ちゃんとママがてかげんしてくれてたんだね~!」
ちょっと親子の会話とは思えん内容なんだけど···。ナツ···、ヨウくんに対して厳しすぎやしないかい?
「パパ、ママ!かえったぞ!」
「モンド、お帰り。どうだった?」
「パパ!ほんきでトランスしておもいっきりあばれたぞ!すたんぴーど?ってやつでな!」
「えっ!?スタンピードだって!?」
「おう!」
フユがびっくりしてるなぁ~。あとでちゃんと説明しておかないといけないかな?
「パパ!ママ!ただいま!」
「お帰り、アトラ。どうだった?」
「ちゅよいヤツにあってぜんりょくだしたぜ!よのなかにはまだまだあたいよりちゅよいヤツがいるってべんきょーになったぜ!···それと、あくってのはわるいやつじゃなくてもあくにさせられることもあるんだな。それがよくわかったぜ···」
「アトラ···、そうだね。正義と悪ってのは立ち位置で変わるものだからね。···思った以上にいい経験してきたみたいだね。アキパパ、ごめんね。アトラのお世話は大変だったんじゃない?」
「そんな事なかったよ。アトラちゃんはしっかりしてたからね」
ケンはアトラちゃんが悪を倒す!と言って暴走してないかが心配だったようだね。アトラちゃんはしっかりしてるから問題ないけどね。
そして、正義と悪は絶対的なものじゃないって理解してくれた。マクス帝国でボクがいい事したのに、犯罪者として悪人になっちゃったからね。かなりアトラちゃんとしてもショッキングな出来事だったんだなぁ〜。
「パパ!ママ!ただいま~!」
「ルメ、お帰り~!なんだか雰囲気が変わったわね···。いい経験してきたようね!」
「うん、ママ!いいべんきょーになったよ~!」
「いいなぁ~、ルメは。こんどはぼくがいきたいよ~!」
「スウ!こんどはおれがいくんだぞ!?」
「···スウにいもカークにいもどっちもちがう。···こんどはわたし」
「だめだよ~!こんどはヴィーがいくの~!スウにいでもカークにいでもネリヤでもないの~!」
「こらこら!みんなケンカしないの!次も公平にじゃんけんで決めるからね!」
「「「「え~~~!?」」」」
「···クーはべつわく。つぎはクーがいく」
「ちがうぞ!おれがいくんだ!」
「クーもセイも行きたいのか···。リナ?どうする?」
「次はいいんじゃない、コル?アキパパのいた世界だと『かわいい子には旅をさせろ』ってのがあるらしいしね」
「う〜〜ん···」
ははは。コルくんも大変だなぁ~。次はいつ行くかはわからないけどね。
クーちゃんもセイくんも行きたがってるなぁ〜。
さて、全員揃ったところでクロくんをみんなに紹介しようかな?
「みんな~!今日はウェーバー大陸から黒竜のクロくんが来てくれているんだ。しばらくはリオの家でホームステイすることになったからよろしくね!クロくん、簡単にあいさつしてもらえるかな?」
「おう!初めましてだな!黒竜のクロだ。こんなにたくさんのドラゴン族を見るなんて初めてだぜ···。俺は捨て子で人族の中で暮らしていたから、集落の事はよく知らないんだ。得意武器は体術とこのダーツってちょっとした矢だ。これに魔法を込めて放つんだぜ。短い間だけどよろしくな!」
パチパチパチパチ!
クロくんの自己紹介も終わったところでリオが前に出てきた。今から鍛練が始まるよ!
「さーて!じゃー早速始めるぞー!まずは基礎からだぞー!魔力循環を始めろー!」
「「「「おーーー!!」」」」
「クロもできるかー?」
「できるぜ!まぁ、皆さんのようにはうまくできないけどな」
「それでもいいぞー!何でもそうだけど、基礎は大事だからなー!」
クロくんも魔力循環を始めたよ。ちょっと雑な部分が多いような気がするけど、我流だから仕方ないかな?
「おー、かなりの魔力量がありそうだなー。ただ使い方が雑だぞー。もっとスムーズに流れるように回すんだぞー。いろんなところで抵抗があるから流れにくくなってるんだなー。それをなくせばもっと強力な魔法も使えるからなー!」
「なるほど···。具体的にはどうすれば?」
「今は強引に魔力を回してるだろー?何か引っかかる部分は感じないかー?」
「ん~~~···、ここ···、かな?右脇のあたりと腰の部分?」
「そーだなー。その2か所は流れが悪そうだなー。おそらく魔力の通り道が狭いんだろうなー。そこを無理やり押し込んで通すんじゃなくて、少しずつ道を広げるような感じで意識してみろー」
「んん~~?こう···、かな?」
「おっ!?いい感じだぞー。まー、急には流れやすくなることはないからなー。少しずつ広げるといいぞー!」
「なるほど···。なんだか回りやすくなった気がするぜ···。ありがとうございます!」
さすがはリオだね!これでクロくんは魔法を使いやすくなっているはずだよ。
最初の魔法の基礎を終えた後は各自それぞれの鍛練メニューをこなすことになっているんだ。スウ、カーク、ルメ、ネリヤ、クオン、ロフィがリオの指導の下、魔法の鍛錬をしているよ。
フユとナツは剣の指導をやっている。鍛練しているのはモンドくんとフーちゃんだ。
そしてレオは体術の指導だ。こちらはアトラちゃんとクーちゃん、セイくんがやっている。そこにクロくんも参加していたよ。
「クロは体術がメインだったな?なかなか様になってるじゃねえか!」
「そう言ってもらえると嬉しいぜ!」
「ただ、かなり大味な感じだな。もう少し動きをコンパクトにしてみたらどうだ?」
「そうすると威力が出ないぞ?」
「威力だけが強さじゃないぞ?フェイントを行ったり、小技を連携させて連続技を繰り出すのもアリなんだ。威力のある技は相手に相当スキが出来ないと決まらないからな。とりあえずオレの技をちょっと見せてやるぞ。フユ!悪いがちょっと相手してくれるか!?」
「いいですよ!お相手いたします!」
「···いい加減、その丁寧なしゃべり方は勘弁してくれんかなぁ~?」
「ははは···、ごめんなさい。そういう性分なので···」
こうしてレオとフユの組手が始まった!あくまで小技の連携の有用性を見せるためのものだ。フユは身体強化を最大にして防御に徹した!
「じゃあ、いくぜ!フユ!しっかり防御してないと痛いぞ~!」
「はい!いつでもどうぞ!」
次の瞬間!レオの姿が消えてフユの足元に潜り込み、強烈な足払いを食らわせた!バランスを崩されたフユにレオは回りながらその勢いのまま縦の回し蹴りでフユを浮かした状態でパンチを連打!フユが地面に着く直前にレオはフユを蹴り上げてから大きくジャンプしてかかと落としでフィニッシュしたよ···。
「ぐぅっ!?レオさん···。かなりこれキツイですよ···」
「だろ?バランスを崩して体勢を立て直す前に連続で攻撃入れるからな~。でもしっかり防御できていたな!なかなかコレを不意で食らうと大ダメージなんだけどな。フユも強くなったなぁ~!」
「ははは···。レオさんには勝てないですよ~」
「どうだ、クロ?わかってもらえたか?」
「おう!ためになるぜ!」
こうして午前中の鍛練は終了した。午後はクロくんが試合をみんなに申し込んだので、やっていくよ〜!
クロくんがリオくんの鍛錬メニューを受けることになりました。リオくんは魔法のエキスパートですからね~。このあと一気に成長していきますよ。
さらには百戦錬磨のレオくんの格闘技講座まで!やはり経験が桁違いですからね~。こちらもクロくんの実力アップは間違いないでしょう。
さて次回予告ですが、クロくんと試合をします。そこでクロくんが持っているダーツの秘密が明らかにされますよ~!普通のダーツじゃないですからもしかして···?
それではお楽しみに~!




